リンちゃんが突然いなくなってしまってから、早いものでもう1か月が過ぎようとしています。
その日、8月28日。
私は7時から、町内会の環境整備に参加していました。
いつもなら大よそ1時間の作業ですが、この日は急遽30分で切り上げることに。
どうやらコロナ対策のようです。
だったらいっそ中止すれば・・・?という話ですが、
そうならなかったのは前回が悪天候により中止となったためと思われます。
そのさらに前は6月5日でしたから、いつもの現場はご覧の通り伸び放題。
今年度の環境整備はこの日が最後なので、短時間でもやろうと決定されたのでしょう。
30分でできることには限りがありますが、とにかく目立つところを一気にやってしまいます。
これでも草刈り機損料はいつもと同じ千円ですから、美味しい労働ではありました。
・・・しかし。
上の画像を撮影した際、親父から着信が入っていることに気がつきました。
こんな朝早く?
もしかして、リンちゃんに何かあったのか・・・?
ざわざわした胸騒ぎを覚えながらも、とにかくすぐに折り返します。
親父の第一声は、危惧した通り「リンの様子がおかしい」でした。
「朝様子を見に行ってみると、あちこちに血の塊が落ちとって、
ぐったりしてご飯も食べんし水も飲まん。明日まで保たんかも知れん・・・」
・・・そんな馬鹿な。
昨日の時点ではすぐさま生命に関わる状態ではなく、
明日手術のできる病院を紹介受診する予定だったのに。
親父によれば、エリザベスカラーを着けていてもどうしても患部が気になったのでしょう、
無理矢理舐めたり噛んだりしてしまっていたようです。
そのせいで、前日ゴルフボール大だった患部は大きく膨れ上がり、
真っ赤になっているとのこと。
まずい。これはいけない。
とにかく、取りあえず応急処置だけでもしてもらわなくては。
電話を一旦切り、日曜日でも開いている動物病院を急いで検索します。
すると運よく、前日受診した病院が日曜日の午前中は開いていることがわかりました。
診療開始は9時。
この時点でまだもう1時間ほどありましたが、すぐ親父に電話し、
とにかく点滴なり何なり、応急処置だけでもしてもらうよう伝えます。
現状では、それしか手の打ちようがありません。
少し休んでから、私も親父宅に向かうことにしました。
ですが・・・
10時過ぎ。
「病院に着いたら、もう死んどった」
気の抜けたような親父の声が、スピーカーから聞こえてきました。
夢想だにしなかった展開に、返す言葉もありません。
病院に連れて行こうとクルマに乗せた際にはまだ息があったが、
いざ着いてみると完全に脱力していて反応もなく、その場で死亡が確認された。
・・・とのことでした。
「これから連れて帰る」と言う親父。
私もすぐに向かいます。
リンちゃんは、小屋のそばで横たわっていました。
タオルで覆われた患部。
めくってみると、目を覆いたくなるような状態になっていました。
長さにしてマグカップほどの、赤黒い袋状のものがだらりと露出しています。
患部がどうしても気になり、
舐めたり噛んだり、あるいは触ったりしているうちにどんどん悪化し、
出血や炎症を引き起こしてしまったのでしょう。
まだ温かいリンちゃんの身体。
しかしいつものように声をかけて撫で撫でしても、もう反応してくれることはありません。
お手も、もう自分からしてくれることはありません。
リンちゃん。
痛かったよね。辛かったよね。
ごめんな。
リンちゃん。
リンちゃん・・・。
・・・私にできることはもう、ただ泣き崩れること以外ありませんでした。
動物と人間との間にある「言葉の壁」が、堪らなく恨めしく思えました。
親父は気を紛らわすかのように、車内の片づけや墓を掘る準備をしています。
そうしないではいられない親父の心中・・・
まさに断腸の思いでした。
私も重い腰を上げ、二人でリンちゃんを土に還します。
そして水とご飯と、リンちゃんの好きだったおやつ。
もう、お座りもお手も、待てもしなくていいよ。
好きなだけ食べてな・・・。
あれから、もう1か月。
もう二度と、リンちゃんに逢うことはできません。
ですがこの小屋には、いつもリンちゃんがいます。
しっぽを振り回し、キュンキュンと大喜びで迎えてくれる、リンちゃんが。
リンちゃん。
ありがとう。
ずっと忘れないよ。
ずっとずっと、大好きだからね。
・・・ありがとう。