カナダ在住者が遭遇した出来事や文化の違いを綴っています。

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カナダでは2005年に連邦レベルで同性結婚が認められています。

オンタリオ州で認められたのは2003年(カナダでは結婚は州法)。

米国で連邦レベルで同性結婚認められたのは2015年。

 

「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」とのことですが、カナダではどうなったかというと…

特に何も変わってません。

家族観や価値観って環境からの影響は受けても、強制されて変わる・変えるものではないので。

一方で、社会や価値観は、より多様性を受け入れる流れにはあると思います。

 

このカナダの同性婚の連邦レベルでの認可についてドキュメンタリーをみたことがあるのですが、当時、既にコモンローパートナー(1年以上同棲したカップルは結婚とほぼ同等の権利が認められる)があり、同性愛者の人からも「何故、わざわざ事を荒立てるのか?」という反発があったそうです。中には「売名行為だ」という人たちも。

ですが、このコモンローパートナー、ほぼ同等の権利であって、結婚と同じ権利ではないのです。

そこには法的な関係とそうでないカップルの差があります。

(異性カップルも、ずっとコモンローパートナーだったのに、年数を経て、結婚したカップルがいます。それはやはり、コモンローパートナーと結婚が異なる扱いだからです)

 

愛する人と一緒にいたいという人たちに法的に権利を認めるって、素晴らしいことのような気がするのですが。

「極めて慎重に検討する課題」とか、「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」とか。

いや、既に社会や価値観が変わってきているから、認めましょう!という風が来ているのですが、そこはガン無視ですか…?

諸行無常と仏教の教えにありますし、"There is nothing permanent except change"(変化を除いてに永続するものはない(変化だけが永続的なものである) と、ギリシヤの哲学者ヘラクレイトスでさえ、言ってるんですよ。

それを2023年において政治家の立場で「家族観や価値観、社会が変わってしまう課題だ」と言ってしまうって、ある意味、凄い(酷い)。社会の価値観の変化を殆ど認識できてないってことなのではないでしょうか?

 

こんな発言をしておいて「多様性を重視」とか虚言を吐くのは何故なのでしょうか?多様性が受けいられないなら、そのスタンスでいけばいいのでは?多様性を拒否しているのに、多様性重視を装うという薄っぺらさって何なのでしょうか。

荒井秘書官の発言で岸田首相は「今回の発言は、政府の方針とは全く相いれないものであり、言語道断だ。進退を考えざるを得ない」と言ってますが、いや、政府の方針って、同性婚断固拒否なのでは?秘書官の発言がそれを裏付けてませんか?

本当に、荒井秘書官の発言に全く相いれないのであれば、今頃、同性婚って認可の準備に入ってませんか?

 

偏見や思考の違いはどこにでも確実にあります。

でもそれを表に出して、政治家の立場でありながら発言するのであれば、どこかの誰かが飲み屋でクダまいていて暴言吐いているのとは、全然違います。政治家としての責任が伴うのです。

 

記憶の限りでは、日本も、他国の同性婚認可の流れに際して『外国で結婚した同性カップルを結婚カップルとして取り扱う』という対応の準備をしていたはずなのです。自治体レベルではなく、国レベルで。

でも今、そういう法案は存在しないので、どこかで頓挫したのかな?と。

頓挫したというよりは、邪魔や圧力が入り、頓挫させられたんじゃなかろうか?という疑念があります。

日本でも柔軟に政治的に対応しようと尽力していた人たちが、いた・いるはずなのです。

その人たちの成果が表に出てこない・これないのは非常に残念です。

 

ちなみに友人の「2023年なのに!」というのは、カナダのトルドー首相が2015年に議員の男女比率を半々にした時に、その理由を訊かれて"Because it's 2015"(だって2015年だからね(もう2015年なんだから議会の性別が半々になるのはあって然るべきだろろう?という意味))と答えたっていうのに由来しているのかな?と。

(個人的には、トルドー首相が首相としてふさわしいと思っていませんし、その政治手腕や、スピーチも「うっへー!」と思うものも多々あります)

 

友人の「日本の「検討する」「考えておく」ってNo wayだよね?」には噴きました。

え?どっから学んだの?

私は友人から『Noと言い過ぎる日本人』と言われているので、私からではないんですよね…。

日本文化の理解度が深いッ!

 

カナダはリベラルな国のように思われていますが、一方でカソリックが強い力を持っていたこともあり、過去にはゲイコミュニティへの攻撃や、犯罪者扱いなど、不当な扱いが酷かった側面もあります。

カナダが理想郷な訳ではありませんが、変化を受け入れる姿勢(というかむしろ変化があって当たり前だと思っている)は大きな強みであるように思います。

 

 

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