お師匠の茶入と花入 | 萬屋あっちゃん商店 レンズ・万年筆沼にようこそ♪

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白鳥は 哀しからずや空の青 海のあをにも染まずただよふ   

中途半端にハマると勿体ない。ドップリとハマると精一杯楽しめます。(笑)


まさかお師匠の茶入を手にする事が出来るとは思ってなかった。
お師匠の生前にお宅に月一で教えを請いに行ってた頃、まだ寄贈してなかった時に、お宅にある茶入を皆順番に見せて貰った。その時に氏曰く「茶入は(作品集に載せた物も含めて)7~8個しか作ってない。」そう仰ってたのでそう思ってた。それから25年以上の月日が流れ、まさかヤフオクで出会うとは思わなかった。
何処かのお茶人が身罷られて、ご遺族が美術商に売った物が出品された感じだろう。

 

ここ数年、ヤフオクとかオークションは平成令和の大放出って側面があると思う。バブル期であればゼロが1つ2つは余計についてただろうって感じの落札価格で落とせる事が往々にしてある。しかし、転売屋の横行で「マジかよ!?」って出品価格で手が出ない物も多い。カモられてしまうリスクも凄く高くなったので、物を見る目は昔より必要である。貧乏人の我には大変ありがたいご時世になって来ている。本物かどうかの目を持って居ればカモられる事は無い。大正時代とかの大名家の放出に近い物があるので、転売屋も横行するのかも知れない。カネが欲しい奴らは法外な値段で一斉に出品し、相場を釣り上げる。迷惑な話なのであるが、それでも欲しいという人はその相場で買ってしまう。これはもう仕方ない。逆に1000円出品とかで出して、誰も入札されずに流れる物、1000円で落とされる物、そこそこなお値段で終わっちゃう物も沢山ある。悲喜交々嬉し悲しなのもオークション。
お師匠のお茶入はウチに来る様にお願いしますと天空のお師匠に祈って入札したので、めでたく我が家に来て良かった。昔は、水差しの蓋を教わってた時、志野の水差しの蓋をお手本に貰ったり、ぐい呑みも志野や自然釉のを結構な数お手本に貰った。

25年振りに星になってるお師匠に、またお手本だよって貰った感じがして嬉しい。

珠光緞子の仕覆だそうである。仕覆も手仕事でマジマジと見たのは今回が初だが、底板があって色んな所に手の込んだ技が見られて凄いなぁと。主役は茶入だが脇役の仕覆も日本の手仕事で凄い。

 

火表がココで自然釉も綺麗にかかって、釉景色も綺麗です。釉薬をよく見ると禾目天目や烏盞天目の様な縦に流れた模様が見える。自然釉が降り積もって溶けて流れた模様である。これは窯内の炎の流れなどで変化するので、窯の形状、窯詰めの様相、そう言うのでも変わる。とは言え、お師匠の窯では基本的にいつも綺麗に出る。

 

口縁部の部分もこってりと自然釉がかかって居る。灰のケイ酸分が粘土と出会ってガラス化するって陶芸を始めた最初の頃に凄いなぁと思った。窯が欲しくても買えず、七輪を2つ使って楽焼きみたいな感じで最初始めたが、ドライヤーでの強制燃焼で内部が1500℃近くになって七輪の珪藻土が溶岩の様に真っ黒になって溶けてしまい大変だったが、楽焼きの釉薬で飽き足らずに炭の灰被りをその初期に経験してたので、自然釉の出来る工程は実験済みで面白かった。あの経験があったからこそ、その後の作陶に随分と活かされた。

 

火表の禾目が見えると思います。つるっとしたガラス面な部分や、幕が掛かった感じになってたりと千差万別。顕微鏡写真でも撮るとミクロな変化も凄いと思います。

 

底の銘。「快遊山祐利」の刻印とその右側に草書風な手書きの「木」松葉が書かれてます。この松葉が決め手な部分があり、偽物は松葉が無い。
轆轤を教わった時、轆轤から花入れを切り離して、轆轤に残った糸切り面にこの辺に銘を入れるとサマになるんだよって感じで松葉をお師匠が書いて見せてくれましたね。そんな事も1つ1つ教わった日々が懐かしい。

 

これは火裏で胎土そのままな面です。
黄ノ瀬土は酸化で黄色っぽい感じですが、還元でこんな感じに茶色くなります。

 

茶入れの基本形、お師匠の肩衝茶入でした。

それだけでは寂しいので、釉景色が素晴らしいお師匠の鼓形花入も同伴。

 

お師匠の花入れと言うと、松皮刀でしのいだ花入れがメジャーなのだが、これは鼓型の花入で火表の自然釉のかかり具合が素晴らしく、灰がガラス化してますよってのが良く判るのでお気に入りです。

 

お師匠の茶碗、ぐい呑みなどにも、火表がこう言う風に釉雪崩になって居る物があります。茶色く薄い灰被りな物よりも変化に富んでて派手なので見栄えがします。
窯の灰が良く被る場所に置かれた数少ない物だけがこうなります。

 

口縁部は胎土が溶けてカサついてます。高温の爆風で胎土が溶ける長時間焼成の総カロリーも凄いので、耐火度の高い信楽の黄ノ瀬もヘロヘロに。(笑)

 

上から流れ落ちた溶けた自然釉が溜まって、泡を吹いて割れたクレーターが見えます。それのお陰で手触りはイマイチに。他より厚くなってビードロ色になってます。

 

せき止められて溜まってた自然釉が一条流れ落ちました。やはり他より厚いのでビードロ色です。薄い部分は表面に茶色の幕が張ってます。

 

火裏はこんな感じ。細いので火裏にも巻き込んだ胚が被った感じになってます。

 

2個と同じ物はこの世に無い自然釉の景色。自然の不思議さ面白さを感じさせてくれます。小学校の頃の「なぜなぜ」な好奇心で見たら陶芸って面白いですよねぇ。化学式とか関係なく単純に不思議で面白い。そう言うのが純粋に楽しい陶芸です。

お師匠が星になってもう10年くらい経ったろうか???
ご無沙汰しちゃってて数年会ってないままお別れか~となり、その後2度ほどお宅にお邪魔し奥様と夜中まで飯も食わずに談笑した。それからまた5年くらいご無沙汰してしまっている。奥様ももう高齢なので元気にしておられるか気になるが、電話して何かあるとまたそれも怖いので電話できない。それがまた困るのだ。

家にあるお師匠の作品を順番に載せて行こうと思いつつちゃんと載せてないので、キチンとライトアップしてまた撮影して置きたい。奥様にはお師匠からの色んな教えを伝えてねと遺言の様に言われている。PC使って色々とやるあなたに託す的に最後にあった時に言われた。今は陶芸を出来ずに居るけど、教わった事は残っているので、また再開出来る様になりたいものである。現状はみんなあげちゃって自作品が殆ど無いのであるwww
困ったものだ。^^;;;

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