先生、府中市には京王線、南武線、武蔵野線も通っています。
そうだ。東京の中心に位置するし、付近に多摩川が流れ、さらに平地でもあるので発展することは運命づけられているともいえる。新宿から約20キロ。今の京王線が新宿と府中を結んだのは1916年のことだ。
今では府中から新宿まで約20分で行けます。
そうだね。さて、鉄道が集まるのは多摩川の恵みでもある。明治になって日本は近代化していくわけだが、府中はここでも注目を集めることになる。そう。近代都市建設のために必要なもの、すなわち「砂利」が多摩川が流れる府中で採取できた。
砂利を都会に運ぶ必要がありますね。
その通り。関東大震災(1923年)、高度経済成長(1955年頃から1973年頃)、東京オリンピック(1964年)などに必要な建築作業などにも砂利が必要だ。そこで、1910年に東京砂利鉄道(のちに下河原鉄道)が国分寺~下河原(今の中河原駅の南東)に開通したが、1976年に武蔵野線に吸収された。下の写真は現在も残る下河原鉄道の名残だ。
下河原緑道 | 府中観光協会 (kankou-fuchu.com)より
さらに南武線ももとは砂利を運ぶための鉄道だった。しかし、多摩川での砂利採取には問題点もあった。
それは何ですか?
砂利の採掘は川に様々な悪影響を及ぼした。堤防の破壊、河床面の低下による橋梁基礎の露出と危険、水質の汚染などだ。1964年には多摩川での砂利採取は禁止となった。
砂利は今はどこから採取しているのですか?
ダムや堰に堆積した砂利を活用している。多摩川の恵みは鉄道を府中に集めただけではないよ。まず、砂利採取地の跡に多摩川競艇場ができた。
多摩川の水を利用したのですね。
そうだ。正確には井戸水だけどね。さらに、目黒の競馬場が移転してきて、1933年に東京競馬場がオープンした。馬を飼う厩舎には大量の水が必要なので、地形の影響から滝や湧水が豊富にあり、多摩川が流れる府中が選ばれたのだよ。まだあるよ。↓を見たまえ。
サントリーのビール工場見学(東京・府中市)|〈天然水のビール工場〉東京・武蔵野 (suntory.co.jp)より
ビール工場じゃないですかぁ。先生の好きなやつですよ!!
まぁ、好きだけどね(笑)。これも良い水が豊富にあるから府中にあるんだよ。競艇場、競馬場、ビール工場などにより税収があるので、府中は住民サービスが良く住みやすいという評判がある。
近時は駅前の再開発も進み、ますます住みやすい街として発展しつつあるのではないでしょうか?
さらなる発展に期待です。
3回にわたって東京都府中市について書いてきましたが、実際に府中市を歩いて、様々なものを見聞したことが学習のきっかけになった。このようなフィールドワークも、たまにはやるようにしたらどうだろう?
私たちも、またフィールドワークしたいです。
では、次回をお楽しみに。末尾になりますが、今回の府中市探索を企画した日本地政研究会(日本地政研究会 | Facebook)の皆様に感謝です。基本的にはどなたでも街歩きフィールドワークに参加できますので、ご希望の方は、日本地政研究会 | Facebookにコンタクトしてみてください。費用は実費のみです。
拙著です↓。 ↑のように講師と生徒二人の会話形式で社会科を語る本です。 ゼミナールに参加する気分で、単なる暗記じゃない、基本から説き起こす社会の参考書をぜひ知ってほしいです。 以下から立ち読みも可能です。
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拙著に込めた思いについては
「やさしい中学地理」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
「やさしい中学歴史」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
「やさしい中学公民」について | やさしい社会ブログ (ameblo.jp)
を参照してください。
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