(前回からの続き)
本稿では、ロシアのメドベージェフ前大統領が昨年末にツイートした「2023年の10大予想」について思うところを綴っています。
で、同氏は、アメリカについて、今年、内戦(Civil War)が勃発し、その結果、テキサス州とカリフォルニア州が独立する、などと予想しています。個人的に、この「テキサス独立」こそ、同予想でもっとも「わが意を得たり」と感じたところです。実際、最近ではこちらの記事でもその可能性を指摘しましたしね・・・
で、同記事でも述べたように、そして上記予想のとおり、もはやアメリカは「真性インフレ」(永続的な実質マイナス金利状態→ドルの信認の崩壊)から脱出することは不可能・・・となれば、かの国の現在の「分断」状態が今年以降、さらに顕著となり、様々な対立が次々に生じていくなか、やがてインフレで苦しむ者と利益を得る者とのあいだで戦争・・・に等しいほどの激しい衝突が起きる・・・確率は相当に高いでしょう。となっても、当然ですが、両者が和解して皆ハッピーになる・・・ことなどけっしてあり得ません・・・って、その元凶となるインフレは二度と解消されないからです。であれば・・・
・・・インフレでトクをする自分たちだけで、この混乱から逃れるべくアメリカから独立しよう、と合理的に(?)考える人たちが出てくるのは、とても自然な流れ・・・って、その第一候補が「テキサス」というわけです。かの州はインフレ、つまり「モノ>カネ」な世界で、そのモノの代表選手であるエネルギー(原油&天然ガス)をしこたま有していますからね。これがもたらす利益を(テキサス以外の)「アメリカ」に差し出すことなく自分たちだけが独占的に享受できる(ことでインフレからも逃れることが可能となる?)わけだから、そうしない選択肢はないような気が・・・
もうひとつ、「アメリカ」から独立することの大きなメリットとして、それによって米軍事予算にともなう巨額の納税負担から逃れることができる点が指摘できるでしょう。独立すればテキサスは、その地政学的な位置づけなどから、アメリカ(連邦政府)と一緒にウクライナや中東などの世界各地の軍事戦略なんぞにコミットする必要なんてま~ったくなくなりますから(?)、おのずとその防衛支出はずっと少なくてOKとなります。ここは、メドベージェフ氏がテキサスと並んで独立を予想するカリフォルニア(などのすべての州)についてもいえることです。
で、そのカリフォルニアですが、個人的には、エネルギー資源(原油・天然ガスなど)が乏しい(つまり前述「真性インフレ」な世の中では脆弱)という点で、軍事費負担が大幅に減るという利点を差し引いても、独立の成算は・・・テキサスよりも厳しいだろう・・・って、インフレの抑制が相対的には難しい、と予想します。それでも、テキサスが抜けた後の―――インフレが激化一途の(?)―――「アメリカ」ならばそこに留まるより、いっそ・・・と思い切る可能性も出てきそうですが、じゃあ、どうしたものか・・・
その場合、独立カリフォルニアの活路は、目の前に広がる太平洋・・・対岸の、ぶっちゃけ中国との連携強化に見出す・・・しかないでしょう(?)。その独立は「東海岸」(ワシントン&ラングレー政府)の(表向きに過ぎないが)中国敵視的な「クアッド」(Quad)政策などから距離を置くことと同義。であればカリフォルニアはこの際、「国益」追求第一で、アメリカに遠慮することなく、中国と堂々と付き合えばいい・・・って、中国企業の誘致、メイド・イン・チャイナに対する関税撤廃、中国人留学生の大量受け入れ、などなどを通じて。これらはカリフォルニアにとってはもちろん、中国にとっても大いに歓迎光臨でしょう・・・って経済的にも、そして(アメリカを分裂・弱体化させるという点で)対米戦略的にもね・・・(?)