(前回からの続き)
ということでウクライナの情勢は、「開戦」1周年を目前に控えたいま、同国東・南部においてロシア軍に対して明らかに劣勢にあるウクライナ軍を後押しするべく、欧米各国が戦車等の兵器を同国に供与する・・・ことを含めた財政支出の拡大→金利上昇圧力増大→耐え切れないので中銀が実質マイナス金利下にもかかわらず金融緩和再開→インフレ激化へ、といったお約束の?コースが見えてきたところです(?)。まあこうして、こちらの記事に書いた予想のとおりになるしかないわけで・・・(?)
では逆に、軍略上は優勢な(?)ロシアはどうかというと・・・そのあたり、つまり経済そして財政面でも、欧米各国より(そして日本よりもずっと?)優位に立っているといえそうです。その大きな根拠が、同国の昨年の経常収支が大幅な黒字、しかも前年比で86%も増えて過去最高を記録したこと(2274億ドルの黒字)・・・ってウクライナで戦争しているにもかかわらず・・・
で、報道によれば、そのいちばんの貢献要因は原油・天然ガスの輸出で、貿易黒字は2823億ドルに達しました。ここはとくに中国への輸出が寄与し、実際、中ロの貿易額も同最高の1900億ドルだったそう。これらからは、欧米各国の経済制裁の影響はほとんど感じられない・・・どころか、ロシアはいっそう潤ったようすが窺えるほどです・・・って皮肉にも?ウクライナに軍事侵攻したおかげで。つまり、それを材料に、投資家が原油先物等を買い煽ってその価格を押し上げた、というところも、かの国を大いに利する結果になった、ということ。じゃあ、その投資家って、どこの国の人々なんですか、そしてその投資元本を融通しているのは誰なんですか、って話ですよ・・・
上記したことからすると、ウクライナ支援に深入りすればするほど欧米各国はインフレで弱体化し混乱していくいっぽう、ロシアのほうは、インフレつまり自国産エネルギー価格の上昇による輸出収益の増加で財政収支が安定すること等で、占領エリアの実効支配をますます強めることができそうです(?)。
となれば、今後の現実的な展開は、ロシア・・・ではなくウクライナ支援側のほうが分裂していく方向では。つまりインフレに相対的に弱い国が同支援に消極的になったり(あるいは本当に不可能になったり)ロシア産エネルギーの安値購入みたいな上記制裁やぶりをしたりすることで、各国の足並みが乱れ、やがて互いを非難し合うようになって、とくに欧州・・・のなかでもユーロ圏の対ロ共闘スタンスが崩壊する・・・などとなっていく可能性が高いような気がします(?)。となったら、後ろ盾がなくなったウクライナは、いっそう不利な(ロシアに有利な)和平条件を受け入れざるを得なくなりそう・・・
そうなってしまう前に―――インフレとこれが引き起こす欧米各国の内部分裂がこれ以上激しくなる前に―――上記した米実業家イーロン・マスク氏のウクライナ・ロシアの和平案あたりで事態を収拾するべく動いたほうがよろしいかと思いますけれどね・・・