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【ユーロ圏のスタグフレーション入りをリードするのはイタリア?】イタリアに見る対インフレ無策ぶり⑤

2022-08-01 22:30:18 | ヨーロッパ
前回からの続き)

 本稿で述べているイタリア・・・の金利を眺めていると、以下の2つの点で異様だな~と感じます。1つめは、前述のとおり現在、同国の長期金利ギリシャのそれを上回っている(イタリアの長期国債がギリシャのそれよりも価格が低くなっている)こと。これ、さすがに一時的な現象でしょう(?)・・・が、この「逆転」が起こってから1か月ほど(も)経っているうえ、先日は欧州中央銀行ECB)の利上げ決定があったわけですが、それでも元に戻らないというのは・・・やはり投機筋がECBにプレッシャーをかけている(?)ってことなのだろうな、と思えてなりません。ちなみに先週末時点のイタリアの長期金利は3.1%前後、そしてギリシャは3%を微妙に下回るくらいの水準と、依然として(長期国債の価格で)「ギリシャ>イタリア」のままです。なお、ユーロ圏で最も低いドイツの長期金利は0.8%前後です。

 で、2つめの異様さは・・・上記のとおりです。つまり・・・イタリアの長期金利(はもちろんギリシャやドイツなどのすべてのユーロ圏国の長期金利)がこれほどまでに低い・・・って、あまりに低すぎる、ということ。で、何に対して低いのか?といえば、当然、インフレ率に対して、です。本稿1回目でご紹介のとおり、6月のイタリアの消費者物価指数(CPI)は前年同月比で8.5%もの上昇、そして・・・29日の最新情報(EU統計局発表)によると、ユーロ圏の7月のCPIは同8.9%上昇と6月の8.6%上昇からさらに高まり、エリア全体でインフレが加速していることが確認されました。なお、その主因がエネルギー価格の高騰にあることは、最近ではこちらの記事に書いた通りです。

 まあ・・・だからこそ欧州中央銀行(ECB)は金融引き締めに転じたのでしょうが、これまた前述のとおり、各国の長期金利は同利上げ前よりむしろ下がって(国債価格は上がって)きています。ということは、現局面で市場は長期国債を買っている・・・って、同引き締めでユーロ圏がリセッションに向かうと読んで(?)・・・いるのでしょう(?)。が、実際には真逆・・・って、まるで景気が超過熱しているかのような物価高が起こっていて、しかもいっそう高進している―――インフレ率が高まり、いっぽうの長期金利がこうして下がって、その差し引きの実質金利のマイナス幅が拡大の一途をたどっている―――有様です。こうしたことから、ユーロ圏は・・・スタグフレーション―――景気後退とインフレが同時発生しているという悲惨な事態―――に入りつつある、といえるのでしょう・・・

 ・・・って、そのとおりでしょうが、もっと正確には、ユーロ圏では金利の上昇に耐えられない国に合わせる必要があるためにインフレ下にあってもECBが十分な金融引き締めをすることができず(って、それどころか一部の国に対しては掟破りの?国債購入[金融緩和]をするしかなく)、その結果、インフレがいっそう高進して、それで人々の生活水準がますます悪化して・・・といったコースに向かわざるを得ない、といった具合。そんなふうに中銀としてのECBの足を引っ張っている国の筆頭が・・・きっとイタリアなのでしょうね・・・

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