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いきなり、論語である。写真は金谷治先生訳注の岩波文庫版「論語」。キョーヨーなのである。アジアの中で仏教と儒教と道教というのは教養の基本中の基本である。その中の儒教の基本中の基本、100数十年前までは子供がならうものだったものです。「マナビテトキニコレヲナラウ」という学而の冒頭くらいは、まあ、中学校か高校の漢文の時間に誰でもちょこっとくらいするから、誰も知らないということはない。かくいう私でも、それくらいは、一応覚えている。只、古典というものは、案外、右も左も、上も下も知ってるようであんまり知られていないか、下手すると知らないことをいいことに明らかに間違っていることすら流布されかねない。

よくあるのが、論語は宗教というよりは処世術、人生訓、もっとひどいのになると、コンビニで「ビジネスに役立つ論語」などとトンでもびっくりな本まで並んでいる。

もちろん、古典だからどう読まれようがそれはあくまでかってではあるし、そういうことは古典だからこそ出来ることなんだけれども、折に触れて論語には言及していきたいが、誤解を恐れずに申し上げると論語は「聖人君子の書」ではありません。

自慢じゃあないですがね、私は高校卒業くらいから「論語は読むべし」と決意して、それから今まで見事にあっというまに20数年ツンドクに徹して今もって一回も通読していないというとんでもない奴である。

世の中には「論語読みの論語知らず」という言葉があるけれども、「論語読まない論語知らず」は、世に人多しといえども、まあ、京都府下には私くらいなもんでしょう。
っとこれは半分冗談としても、(半分はホント、ゴメン)先ほど「聖人君子の書ではない」といったが、恐れてなかったはずの誤解をないように説明しちゃいますと、「聖人君子の姿が書いてある本ではなくて、「聖人君子」となって、そういう人が世の中を納めるように、2500年ほど前に、頑張ったけれども成功しなかった、ある学校というか、教団のトップであった孔子の言行録」なのであります。それも内容も時系列も断片的というかばらばらです。只、一貫しているのは今の言い方にすれば「理想」を死ぬまであきらめずに追い求めた人の姿で、これを時系列や内容が断片的に記載されているからこそ、私のようにつまみ食い的に読んでも、なんとなくわかったようになったり、またやっぱり判らないから、いろんな本にあたってみたりすることができる。

言い換えると、孔子は処世術としてはどう考えても失敗の連続である。それは自分の説を曲げなかったということでのことだけれど。すくなくとも「ビジネスに活かす」ことは、あんまりできないように思いますし、またいわゆる通俗道徳の書でもないです。ビジネスに活かすなら、成功する方法論であるし、通俗道徳なら、現状の体制を維持しようとしなければならないはずですが、論語の内容はそのどちらでもないからです。

あんまり長くなっても限がないので、またいずれ、論語については個別に、つまみ食い的に述べることにしますが、今日の終わりに、論語が誤解されてるその原因というか、単に批判するというのではなく、これが何故日本における論語のスタンダードになっていったのか、考える資料として、でもやっぱり批判的になっちゃうけど、掲載しておきたいのが以下「渋沢永一の論語と算盤」であります。

論語と算盤 - 渋沢栄一(※クリックするとiTunesが起動します)
iTunesのオーディオブックで論語関連でまともに購入できるというのはこれ位しかなく、また2000円して8時間というボリュームがあるのはいいんですけど、一部、渋沢永一の言い回しを変更していたり、また、元々発行されていた本の順番や段落とは違う編集がされていたりと、問題が多いとは思いますが、いわゆる一般的に「論語」といってイメージされる世界はこういう世界でしょう。そして、私がイメージしている論語の対極にあるものがどういうものか、知りたい方は一度求められてもいいのではないでしょうか。

もうひとつ、これは単純にオモシロいから、こういうトンでもない論語もあるのだということを知ってもらえればと思うのでご紹介しておくと、諸星大二郎先生の漫画「孔子暗黒伝」であります。





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集英社文庫のコミックもあるんですが、私も持ってるこのカラーイラストのカバーのジャンプスーパーコミックス版のものを強くお勧めしたい。見た感じ、いかにもおどろおどろしそうでしょ。一気に読めます。こちらは何度でも読み返しております。



まあしかし、読むにせよ、読まないにせよ、もしくは読めないにせよ、古典は、できれば、原典を手元においておきたいものです。で、20年間、置きっぱなしじゃあ、駄目なんですけどね。




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