天竺堂の本棚知識・教養

論破に期待 反出生主義の理屈 『生まれてこないほうが良かったのか?』

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『生まれてこないほうが良かったのか?』

 「反出生主義」という思想がある。
 「人間は存在すべきではない」みたいな考え方で、格差社会や環境問題などを背景に、近ごろ注目されてる模様。

 私たち人間が受ける快楽が多いことを「善い」状態、苦痛が多いことを「悪い」状態とする場合、この世に人間が存在していれば、快苦の量がそのまま善悪につながる。他方、人間が存在しなければ、苦痛がないのは「善い」状態で、快楽がないのは「善くも悪くもない」状態と言える。
 快苦を感じる主体がいないことは、少なくとも「悪い」状態ではない……そんな理屈らしい。
 この思想を実践すると、人類は子孫を残さず、絶滅を目指していくことになる(自殺は苦痛を増やすから良くないそうな)。

 個人的には「間違ってる」「認められない」と強く思うし、同様の人も多いはず。
 だけど、あやふやな感情論ではなく、きちんと理屈でもって対抗しようとすると、なかなかに難しい。

 本書では、古今東西で述べられてきた反出生主義的な言説を紹介するとともに、これに批判的・否定的な人々の意見を掲載。著者自身の反論もある。
 しかし、シンプルで明快な反出生主義の主張に比べ、反論の方にはいささか強引なところもあって、説得力はイマイチ。

 それでも、論破するために考えを重ねていく営みの中から、いつの日か、より良い社会をもたらす思想が生まれるはず……と期待してます♪

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