区分所有法(書面決議&電磁的方法の決議) | 保坂つとむの宅建合格塾

区分所有法(書面決議&電磁的方法の決議)

みなさん、おはようございます!

今回は、区分所有法において、最も難しい内容の1つである“書面決議&電磁的方法による決議”を解説します。

ちょっとばかり上級者向けの記事でボリューミーですので、覚悟(笑)してお読みください!(^^)!




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●●● 区分所有法(書面&電磁的方法による決議)●●●

そもそも… “電磁的方法”ってなんだ?
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「電磁的方法」は,条文上「電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であって法務省令で定めるもの…」と定義されている(区分所有法39条3項)。
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すいぶん難解な定義だが(^_^;),要するに…
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IT技術を用いて,自分の意思を伝えようとするときは,どうしたらいいのか?」ってことを,堅苦しく言っているだけだ。
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電子メールなどの“オンライン”化」と言ったほうが,わかりやすいかもしれない。
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ただし… 「磁気ディスクCD-ROMなどを,“相手方に直接手渡し”する方法」なども含まれるので,厳密には“オンラインのみではない


それでは… 本題に入ろう。 
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「書面」「電磁的方法」のルールは,“リアル”の集会(実際に区分所有者が集まってする集会)開催する場合・開催しない場合…の双方に登場する。
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以下… それぞれに分けて,説明する!

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【リアルの集会を開催する場合

リアル”の集会が開催されるのに,それに“出席できない区分所有者”は,次の1)3)の方法で,『議決権』行使できる。


1)書面
区分所有者は,議決権を,書面によって行使できる。
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書面”による議決権行使は,「区分所有法」上認められた“当然の権利”である!
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だから… これに関するルールが,「規約」「集会の決議」決められていなくても,当たり前のように,この制度を利用することができる。
それどころか… 規約や集会の決議で,「書面による議決権行使を認めないぞ…」と定めても,そんな定めは,“NG”となる!)


2)代理人
区分所有者は,議決権を,『代理人』によって行使できる。
なお… 「委任状」の提出による議決権行使は,“書面”ではなく,“代理人”による議決権行使となる!)
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代理人”による議決権行使も,上記1)と同様,「区分所有法」上の“当然の権利”となっている。
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したがって… 「規約」「集会の決議」で,代理人に関する定めがなくても,当たり前のように利用できる。
こちらも… 規約や集会の決議での「代理人による議決権行使はダメ…」といった定めは,“NG”となる!)
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ちなみに… 代理人には“誰でも”なれる。


3)電磁的方法
「区分所有法」では,次のように定めている。
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● 区分所有者は,次のa)またはb)で定めることにより,「書面」による議決権行使の代わりに,電磁的方法によって,議決権を行使できる。
 a) 規約
 b) 集会の決議『普通決議』OK!)
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上記1)2)と違って,“電磁的方法”による議決権行使は,「区分所有法」上認められた当然の権利…ではない
これは… パソコンやインターネットの環境が無い人などは,利用できなかったりするため,“当然の権利”としてしまうと,環境による“差別”となり,かえってマズイと考えたからだ!)
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したがって… 『規約』『集会の決議』で,「“電磁的方法”による議決権行使も,OKだよ!」と定めなければ,利用できないわけだ。
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注意してほしいのは… この場合の“集会の決議”は,普通決議(区分所有者および議決権の『各過半数』による集会の決議)」OK…という点である。
次のコーナーで… “全員”という文言が登場するが,これと,ゴッチャにならないよう注意しよう!)

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【リアルの集会を開催しない場合

区分所有法上,または規約により集会で決議するよ…”と決められている事項については,“リアル”の集会を開催せずに,「書面」「電磁的方法」だけで“決定”できる制度が設けられている。
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厳密にいうと… この制度には,次の2つのタイプがある。
● 決議”タイプ ⇒ 下記1)で説明!
● 合意”タイプ ⇒ 下記2)で説明!


1)“決議”タイプ
例えば… 最近増えてきた“超高層マンション”などは,区分所有者が“何百人”もいたりするので,集会と開くといっても,“場所探し”から大変なことになる。
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そこで… 「書面」または「電磁的方法」だけで,決議できるようにしましょう…と考えられた比較的新しい制度だ。
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決議タイプ』は,次のようなプロセスで,物事を決定する特徴がある。
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● 「書面で決議するけど,いいですか?」とか,「電磁的方法で決議したいんだけど,いいよね?」などのように,“事前に”区分所有者『全員の承諾』をとる。
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● 実際に,「書面」「電磁的方法」で決定する際は,“通常の決議要件(例えば… 管理者の選任なら各過半数)”を満たせば,決議ができる。
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条文上(区分所有法45条1項)は,「区分所有者“全員の承諾”があるときは,書面又は電磁的方法による“決議をすることができる”。」という表現となる。
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決議タイプ』のポイントは,“事前の承諾”の際に,“反対する者が1人”でもいたら,「書面」「電磁的方法」による決議自体が“NG”になってしまう…という点だ。


2)“合意”タイプ
この合意タイプ』にも,「書面」「電磁的方法」の“両方”がある。
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特徴は… 決議タイプ』にある“事前の承諾”をとらない点にある。つまり…
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● いきなり「合意書面」「電磁的方法での合意」を“かき集めて”,物事を決めてしまう!
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…わけだ。
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その代わり… どんな内容を決めるにせよ,常に,区分所有者『全員』による『合意』が必要となる。
例えば… 管理者の選任でも,“全員の合意”が必要だ!)
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条文上(区分所有法45条2項)は,「区分所有者“全員”の書面又は電磁的方法による“合意”があったときは,書面又は電磁的方法による“決議があったものとみなす”。」という表現となる。



注)上記2)合意タイプ』は,新築マンションの分譲時に,以前から頻繁に利用されている。
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マンションの“分譲前”は,まだ管理組合が存在しないので,いわゆる「公正証書規約」の場合を除き,正式な規約を成立させることができない。
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そこで… 分譲業者が“規約”を作成し,販売時に各購入者から“書面による合意”を取り付けて,“全購入者(区分所有者全員)からの合意”が揃った時点で正式な規約を成立させる…というパターンをとっている。
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新築マンションを購入した経験がある人なら,購入時に“そういえば,規約案みたいなものを提示されたかも…”といった心当たりがあるのではなかろうか…
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「宅建業法35条」の“重要事項の説明”において,マンションの説明の際に登場する規約の“案(規約案)”も,じつは,この合意タイプ』を利用した“規約案”のことである。

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今回の記事は…ここまで!






【制作・著作】
たっけんコム(http://www.takken.com/)代表 保坂つとむ

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