あの頃。〜オタクは気持ち悪いからXXしかないと思った【映画レビュー】 | おたるつ

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モノホンのおたくにジャンルは関係ねえはずだ!
ってわけで、おたくのるつぼ。略しておたるつ

サブタイトルこれしかないと思ったんですけど、思いっきりネタバレになるので伏せました。

徹底してませんけど、一応前半はネタバレなし、後半にいくにつれネタバレありのスタイルでやってます。

ハロプロのオタクを扱ったオタクからの期待値が異様に高い本作。

現役のオタク、“あの頃”続行中のわたくしも公開初日に見てまいりました。

 

 

【あの頃。】

監督:今泉力哉
原作:劔樹人
脚本:冨永昌敬

キャスト

劔樹人=松坂桃李、
コズミン=仲野太賀、
ロビ=山中崇、
西野=若葉竜也、
ナカウチ=芹澤興人

イトウ=コカドケンタロウ、
アール=大下ヒロト


 

〈ストーリー〉

大学受験に失敗し、バイトばかりでバンド活動もままならず落ち込んでいた劔は、松浦亜弥のMVを見てアイドルにハマる。

アイドルに夢中になる日々で出会った仲間たちと笑い合い、くだらなくも熱い青春のような日々を送るが、やがてそれぞれの道は離れていく。

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劔樹人さんの自伝的コミックエッセイを実写映画化。

恥ずかしながら劔樹人さんがあの劔樹人さんだって、本作の映画化が決定して初めてちゃんとつながりました。

「神聖かまってちゃん」のマネージャーの人ですね。イベントで何度かお見かけしましたわ。

 

本作はモーニング娘。、松浦亜弥などで知られるハロー!プロジェクトのオタクたちが主役。

アイドルの追っかけ、オタ活、最近は推し活と言ったりしますが、同じものに夢中になる仲間たちとのひきこもごもが描かれます。

 

私も10代でJリーグにハマってゴール裏の仲間に入れてもらって、オタクはおもしろいぞ!と教わりました。

その後ももクロでアイドルを見るようになり、現在は半地下でCDを積んでいます。

時期でいうとZ新規、アイドル戦国時代末期にその世界を知ったので、劇中で描かれるゼロ年代のアイドル事情を知りません。

ドルヲタになってから、ハロヲタからサブカル方面で活躍する人たちのラジオやトークイベントで当時を様子をたびたび聞くようになりました。タマフルとかね。杉作J太郎さんのイベントも行った。

で、変な人がとんでもない熱量でオタクにいそしんでいた伝説的時代。“間に合わなかったZ新規”はあこがれのようなものを抱いていました。

鑑賞後に考えると、本作に私が求めていたのは自分がオタ活で体験したあるある、感動が「あの頃。」にも同じようにあるという確認みたいなものだったと思います。

 

実際、オタクの再現度はかなりリアル。

年齢と服装がバラバラな3人はだいたいオタクの集まりと言いますが、まさにそれ。

いろんな友達とバカやってオタクは楽しそう! というのが伝わります。

主人公の劔さんがあややのMVを見てハマるとこ、あれはオタクみんな身に覚えがあるでしょう。

MVを見終わった松坂桃李の両目にあややと同じライトが宿る演出が「わかる!」となり、笑いました。

 

私もあります。深夜に何時間も「ピンキージョーンズ」のMVを見続け、気がつくと号泣していました。

はあ、仕事辞めよ…とそこで決意しました。弱っている時のアイドルは刺さりやすい。本当そう。

こうやって自分の“あの頃。”を語りたくなってしまうのも、本作の醍醐味だと思います。

 

私は推しのいるグループのリリースイベントが楽しいけどつらい時期がありました。

とにかく毎日のようにリリイベがあって、平日は仕事終わってダッシュしてライブ見てCD予約して推しと話して、休日は朝からどこかのリリイベ会場に行ってライブ見てCD予約して推しと話して帰って寝て朝起きて仕事行く。

体力的に行くこともしんどいけど、物理的金銭的に行けないことがあると精神的にしんどい。

その時間と金を体力をつくりだす生活がしんどい。推しはもっとしんどいだろう。

1日何公演もあったので、仕事の都合つけてリリイベ行って仕事行って仕事終わってまたリリイベ行く生活約4ヶ月弱。

この頃、妄想キャリブレーションの「青春プロローグ」を毎日聴いてました(推しの歌はライブで聴くから聴かなくていい、CDまだ出てないし)。

 

♪いつか振り返る日が来るなら 絶対今だと思うんだ

 取りこぼせない どんな瞬間も 青春プロローグ

 

推しとオタクたちと駆け抜けるこの日々が、未来から見た“あの頃”になると信じて時間と金と体力を絞り出してました。

 

オタ活を通して大人になってからもできるヘンテコな友達、新しいことにも興味がもてる自分でいられること、推しからもらったエネルギーで自分のことも頑張れること。

“あの頃。”と時期を区切ったとしても、その地続きの“今”も、楽しくいられる術みたいなものは残るんですよね。

そして、今どこで何をしてても、あの頃の仲間が集まれば、同じ曲を聴いて同じ話をして笑って泣ける。

子供の頃の友達とはちょっと違う、どうしようもない人たち。

 

ああ、いいね、そうゆうの…

 

と、頭ではわかるんですけど、今回そうはいきませんでした。

 

前述しましたが、オタクの再現度が高すぎる。

映画に協力したハロヲタさんたちの話もいろいろ聞きかじりました。

衣装なども細部までこだわっていると聞きかじりました。

たぶん本当に当時もこうゆう感じだったんでしょう。

 

え〜〜〜〜ん、

気持ち悪いよう〜〜〜〜〜。

 

オタクがとにかく気持ち悪くて、共感とか感情移入する前に気持ち悪くて関わりたくない…。

いや、アイドル戦国時代末期のおたくとはいえ、ドルヲタの男友達いっぱいいますよ!?

Jサポ時代だっておじさんばっかりでしたから。

なんでハロヲタ(映画に出てくる)こんなに気持ち悪いんですか…。

 

この映画に出てくるオタク、推しへの愛が感じられないんですよ。

推しそのものから得ているパワーじゃなくて、仲間内でワイワイやってるのが楽しい感じがしてしまいました。

東京じゃないから現場多くないから、今と違って接触が珍しいから、あるでしょうけど

それにしても現場に行けよ、推しを語れよ、推しとともに泣き笑いせよ、推しに通づる活動に情熱を燃やせよ。

なんだよ、キンコーズで自作グッズいくらだったとか自慢してんじゃないよ。

チケット2枚とって1枚余らせててオタク仲間に言ってないとか、大事なライブなのに遠い席転売買って済ますとか(推しじゃないからいいのかもしれないけど)

あんなチケ活やってたらオタク仲間の信用失いますよ、

チケ活しっかりやれ!!

 

作中で頻繁に催されるイベントがどんなものなのか、よく分かりませんでしたが内輪ウケでお客さんからお金とってるんですか?あれ…

あのイベントを見に来るお客さんは何が楽しくてあれを見に来ているんですかね…。

そんなに有名でおもしろいオタクの方々なんですか、彼ら…。

現場もたいして行ってないっぽいのに?

どうしても自分のオタ活をベースに彼らを見てしまい、オタクとして好きになれませんでした。

 

オタクとして好きになれないどころか、男性キャラクターとしてもかなりつらいとこがありました。

コズミン…コズミンは本当に気持ち悪い。

どうしようもない愛すべきオタクはいるけど、コズミンは無理。

私の男オタク友達の皆さん、本当に清潔で身なりもきれいで優しくておもしろくてありがとう。

みんなのこと好きになった。気持ち悪い人いません。

コズミン無理すぎてラストの感動的であろうシーンも、看護師さんにチンチン触らせようとしてると思ってしまったくらいです。

 

オタクは気持ち悪いから死ぬしかない

 

冒頭、ネタバレになるからと伏せたサブタイトル。

ガンに冒され亡くなってしまうコズミンを見て、なんと非人道的な感想を持ってしまったんでしょう。

オタクが気持ち悪いってそれブーメランですから。

推しと世間から見たら私だってコズミン。最近、推しのGIFスタンプつくってますから。気持ち悪。

 

しにた〜〜〜〜〜

死にたくないけどしにた〜〜〜〜〜

 

オタクが気持ち悪いダメージと、そういう自分もオタクなので気持ち悪いという現実に打ちのめされ、推しの動画見て「今が一番楽しい!」と現実逃避に走るしかなかった。です。

強く生きよ…。