「稜のあんな顔、初めて見た――でも、あんな顔をさせたなんて…稜に会うのが…こ、怖い」


「何もしていないんだから、お前が怖がる必要はないだろ…怖がるなら、稜を脅したDrだよな?」


軽井沢に戻る車の中。東京に一緒に出て来たDrと何故か舞の代わりにバカ恭介が乗っていた。


「いやいや、僕だって怖がる必要はない。稜が怒りをぶつける相手は何時だって健人じゃないか」


「確かに…ったく、舞を俺に任せっきりにして、何かあると俺のせいで、それでもって、あいつはいつも良いトコ取りで」


「仕方ない、仕方ない。それが夫と愛人の差。良いところは夫が、面倒なところは愛人が、それで全てが上手く行く♪」


助手性に座るDrが妙な節で手拍子打ちながら言う。妙にご機嫌だが、まさか、妙な薬やっているんじゃないだろうな?


「健人…お前、ずっと愛人のままでいるつもりなのか?」


「それは仕方ないよ。稜は夫だから今の状況も受け入れられているけど、その逆は無理、無理。そういう点じゃ、健人の姫への愛は海よりも深いよなぁ~。愛人だから、あまり報われないけどぉ~」


そうだ、ホテルを出る前、軽く食事した、あの時、ちょっと酒を飲んだんだった。Dr、あれぐらいで酔うなよ。


「いや、そういう事じゃなくてさ……舞香じゃなくて、他の誰かと…って、考えられないのか?」


Drの醜態が酒のせいだと判明し、ほっとしている俺の隣で、恭介が真剣な声で聞いて来た。似合わない。


「考えられない」


「おぉおおっ、即答ぉ~」


完全に酔っ払いだ。あの程度の酒でこの醜態。この先、Drに酒は飲ませない。


「舞香は可愛い、それは俺も分かる。でも、ほんのちょっとでも、考えてみる気、ないのか?」


「健人も一度だけ、他の誰かを考えた事があるんだよ。れんれん(黎の愛称)が生まれ、姫が落ち着いていた頃に…勿論、姫の了解を得てね」


「――けどなぁ、ダメだった。舞以外は無理だ。心が受け付けない。」


「心だって、カっコイイぃ~」


ちょっとマトモな事を言うから落ち着いたのかと思ったら、甘かったな。


「先の事は分からないけど、な――俺の事は気にするな。結構、愛人ってのも、楽しいもんだぞ?」


「さっき、稜が良いトコ取りとか文句を言っていなかったか?」


「言ってた、言ってた」


「うるせーっ、稜の文句ぐらい良いだろっ!俺はいつも稜に振り回されているんだから」


「仕方ないね、愛人なのだから…稜は健人を信頼しているから、気兼ねすることなく振り回せている。信頼し合う夫と愛人。美しいねぇ」


この酔っ払い。合間、合間に正気に戻りやがって、メンドクサ…ってか、気持ち悪っ。


「俺には無理だな。愛人を作ることは出来ても、愛人にはなれない」


「俺だって好きで愛人になった訳じゃねぇよ、バカ。ノリで…というか…成り行きだ、成り行き。」


「あ、ノリと言えば…ノリで結婚した恭介くんは、ビシっと決める準備は出来ているのかい?」


「……………。」


人の心配している場合じゃないだろ、バカ恭介。








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1か月と2週間ぶりぐらいですね、ありさ☆です


時間の経つのが早過ぎて、ビックリ( ゚д゚)ァラヤダ

ちょっとサボったつもりだったのに…1か月以上、とか

ご無沙汰しておりました。


残暑お見舞い…って、ほども暑くもないですね(;´▽`A``

妙に不安定なお天気の中、いかがお過ごしですか?


私は絶好調ではありませんが、なんとかやっております。


皆さまも

不安定なお天気に負ける事なくお過ごし下さいませ。


また、お付き合い頂ければ幸いでございます。