MEDINT(医療通訳研究会)便り+

医療通訳だけでなく、広く在住外国人のコミュニケーション支援について考えていきます。

パーソナルスペース

2020-03-17 04:00:48 | 通訳者のつぶやき
私の本業はスペイン語の相談員です。

コロナウィルスが流行り始めた頃、
一番困ったのはクライエントとの距離の取り方でした。

「こころの距離」であるバウンダリーは
プロの通訳者、相談員として仕事を続けるためにも
意識的に確保していますが、
「身体的な接触・距離」は、文化によって違います。

私の通訳言語はスペイン語で
中南米の方を対象に仕事をしています。
握手やハグは一般的な挨拶です。
挨拶をしないと、ぎこちない空気になるし
ラポール(信頼関係)を得るのに時間がかかることもあります。

今では、あのスキンシップ大国(!)イタリアでも
握手やハグやキスはやめるように言われていますが
まだ日本で市中感染が確認されていなかった頃には、
握手やハグを断るのはなかなか大変でした。

とりあえず、握手して、もうしわけないけど
すぐにアルコール除菌したり
そのままどこも触らずに手を洗いに行くという形をとりました。

マスクをする文化のない方々の前でマスクをするのも
相手にとっては嫌だろうなと思いながらも
ごめんねと言いながらマスクをして対応していました。
(今では、相談者のほうがマスクをしてきます)

15年程前に、医療通訳者の立ち位置の議論をしたときに
言語によってパーソナルスペースが違うことがはっきりしました。
教科書に書かれたような対応だと
言語によっては患者や家族とのラポールが築けないことも感じていました。
外国人を対象とする通訳者には異文化対応の視点が常に求められます。
医療通訳者には医療行為はできません。
でも、私は横にいるだけで血圧が下がるような医療通訳者が理想だと思っています。

感染症は一時的ではあるけれど
人と人とのパーソナルスペースをかえるなあと少しさびしく思います。

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