ゴジラ映画の8作目。
子役には勝てない。
ゴジラの息子?ミニラ?はあ?などと思っていた自分にお仕置きだ。
これは可愛い。
こんなの、笑ってしまうじゃないですか…!
南海の島で昆虫怪獣に遭う
あらすじをご紹介しましょう。
またもや南の島である。
日本からの派遣隊が「シャーベット計画」なる、ナゾの実験を行っている。
放射能がどうのこうのと言っている。
怖すぎないだろうか。
男ばかりの隊員たちと、島に乗り込んできたジャーナリスト。
そこに、見目麗しい女性が加わるのだ。
これは…違う展開に発展するのでは…と、気が気ではない。
本作、これまでの怪獣映画とは毛色が違う。
タイトルにあるように、ゴジラに息子ができるのだ。
ということは、ゴジラは母親なのかと世間は大混乱したらしい。
パパゴジラと宣伝されたようだが、ならば母親は…?
などなど、いちいち気にしていたら楽しめない。
この頃のゴジラ作品は、ツッコんだら負けである。
ゴジラに息子ができてしまうこともそうだが、本作に登場する敵は怪獣というよりも巨大昆虫である。
いきなりの路線変更。
だがそれが良い!
カマキラスにクモンガ。
名は体を表す。
この2種類の虫モンスター、動きが見事なのである。
それぞれの特徴を最大限に利用。
どうやって動かしているのか、特撮初心者のババア(当方)には見当もつかない。
キャストとスタッフ
博士役の高島忠夫は老け役だが、肌の張りがピチピチ。
副隊長の平田昭彦は何が起ころうとも動じない。もはや心を失くしているのでは疑惑。ただし、今回は善人側だ。
隊員役の土屋嘉男が良い! ナゾの孤島勤務に限界を迎えてしまった役柄で、この人が錯乱すると映画がピリリと締まる。狂気の展開に突入するかとドキドキした。
ナゾの美貌女性は前田美波里。資生堂の香りも漂うよう。泳ぎも上手い。勝気なようでいて気配り上手な役柄で、ギャップに萌える。
ジャーナリスト役は久保明。『マタンゴ』の主役か!
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佐藤勝の音楽は軽妙でポンワカしている。
とうとう、円谷英二は特技監修に回ってしまった。特技監督は本格的に跡を継いだ、有川貞昌。ジャングルの戦いは迫力で、怪獣を見上げるカメラは巨大さを物語る。
操演の中代文雄に、巨大昆虫の操作法をゼヒ教えていただきたい。
福田純監督のターゲットは子どもだ。父子の情愛を描きたかったとのこと。その際に、ゴジラの威厳は捨てた模様だ。
ミニラの魅力が炸裂しているワケ
本作、これまでのゴジラ映画の中で最もキャストが少ない。気がします。
その分、たっぷりと昆虫やゴジラ親子のシーンを用意。
生物がとてつもなく大きく、造形が異常。
その威圧感が素晴らしい。
かといって、緊迫感は主に土屋嘉男の担当であり、怪獣たちの乱闘では案外ハラハラしないので、ゆっくり楽しめる。
見どころはやはり、子育てだろう。
そして親になるゴジラ。
まだミニラとは名づけられていないが、生まれた息子のキモ可愛さに驚く。
どんどん可愛くなっていくのだから、たまらない。
ミニラの愛嬌が炸裂。
可愛いが過ぎるぞ。
ミニラの中の人のクレジットは「小人のマーチャン」で、お名前は深沢政雄。
小柄な体を活かしたスーツアクターや舞台で、コメディアンとしても活躍された。
『怪獣島の決戦 ゴジラの息子』撮影風景
この方の動きで、ミニラの魅力が生み出されている。
表情も封じられているのに動きで見せる芸は、チャップリン超えかもしれない。
ただ、お名前の表記は、現在であれば100%無理だろう。
そんな現代のいったい何が多様性だろう?と思わされる。
全編が優しい空気に包まれた、愛の子育て記録である。
戦後の世相も落ち着いてきた頃合いだろうか。
パンアメリカン航空やバヤリース、分かりやすい宣伝も愉快。
海外旅行の扉が開いたことも感じさせる、そんなゴジラ映画だ。
1967年製作/85分/日本
英語タイトル:Son of Godzilla
配給:東宝
監督:福田純、特技監督:有川貞昌、特技監修:円谷英二、脚本:関沢新一、斬波一絵、製作:田中友幸、特技撮影:富岡素敬、真野田陽一、合成:向山宏、操演:中代文雄、特技助監督:中野昭慶、造形:安丸信行、出演:高島忠夫、前田美波里、久保明、平田昭彦、土屋嘉男、佐原健二、黒部進、中島春雄(ゴジラ)、小人のマーチャン(ゴジラの息子)
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