本日のテーマ

【老子の教え

~柔らかいものと固いものの違い~】

 

 

中国には何人もの偉大な哲学者がいましたが、その一人に老子がいます。
老子は二五〇〇年ほど前、中国は春秋戦国時代に生きたとされる伝説の哲学者です。
老子の哲学は、常識的発想を鋭く逆説的な論理で説いています。


 

今は、先が見えない不安な時代だからこそ、中国のすばらしい哲学者の語りを新たに見直したいものです。
 

『自由訳 老子』新井満著 朝日新聞より

 

 第三章
 ――やわらく しなやかに――

 

 世の中には
 やわらかなものと固いものがある
 生れたての赤ん坊は
 いかにもやわらかく弱々しい
 それが年老いてゆくと
 だんだん固くなり
 最後は死んで硬直してしまう
 動物も植物もおよそどんな生きものも
 いのちが生々と輝いている時は
 やわらかくしなやかなものだが
 死が近づいてくるとどんどん固くなる
 だから、次のように言うことができる
 固さとは、死と老いのシンボル
 やわらかさはとは、生と若さのシンボル
 そもそもいのちとは
 やわらかくしなやかなものなのだよ
 やわらかな木や枝はなかなか折れにくいが
 固い木や枝はぽきんと折れてしまう
 頑固な武器も同様でね
 強大な軍隊も
 ただ剛強なだけでは勝てない
 臨機応変に対処できるやわらかさと
 しなやかさがなくてはね
 結局、ものごとの最後にはつねに
 柔弱なものが
 剛強なものに勝つんだよ

 

 

「固いもの」と「柔らかいもの」の違いがよく分かりました。

また腕力や強引なやり方よりももっと智恵を使うことの大切さが説かれています。

 

問題が起きた時、直ぐに大きな騒ぎをしても解決などできません。
慎重にひとつひとつ進めることが大切です。
目先のことで大切なものを失わないために……。