本日のテーマ

いじめられた経験を生かした人たち】

 

 

いじめは他人事ではありません。
 

わたしの知人の娘さんが、小学校2年から4年までいじめを受けていました。
家族で悩みながらも、ご両親の支えで何とか乗り切り、その経験を見事に生かしました。
その娘、A子さんは小学校を卒業し、中高一貫校に進みます。
その学校では、A子さんが在籍したクラスは6年間いじめがなかったそうです。


卒業が近づいたある日、お母さんと娘さんが先生と面談したときのことです。
担任の先生がこんなことを話しました。
「A子さんには感心していました。じつはA子さんがいたクラスだけ、6年間いじめがなかったのです。いじめが起こりそうになるとみんなをまとめてくれました。いじめられそうなタイプの子をいつも守ってくれました。そんなA子さん姿勢がいじめを起こさせなかったのです」
この話を聞いたお母さんは誇らしく思ったそうです。
A子さんの家族は、学校で起こったことをA子さんが両親に話し、いつも話し合っていたそうです。

そんなある日、A子さんはこのように思ったそうです。
「自分がいじめられて辛い思いをしたから、いじめで辛い思いをする子をなくそう」
そんな想いからいじめに取り組んだそうです……。


わたしはこの話を聞いて嬉しくなりました。
それは自分の経験を生かす素晴らしいことだからです。

 


2012年8月21日読売新聞に、いじめられた経験を語る弁護士の大平光代さんの記事が掲載されました。


(大平光代 1965年、兵庫県生まれ。中学校時代にいじめを受け、非行に走る。暴力団組長との結婚、離婚などを経て弁護士に。2003年12月~05年10月、大阪市助役)

 

大平さんは中学2年のとき、持ち物を捨てられたり、クラス中から無視されたりしました。
それに耐えきれず、割腹自殺を図ったのです。
大平さんは語ります。
「ふざけ合いのレベルを少しでも越えたと思ったら、『それはいじめだよ』とくさびを打っていく。そうしないと、子どもは『これぐらい許されるのか』とエスカレートする」

 

大平さんに対し、自殺未遂後もいじめはやまず、学校にも家庭にも「居場所がない」と感じた大平さんは非行に走った。親たちには、子どもが「ここにいていいんだ」と思えるような安全な居場所を作ってやってほしい、と望む。子どもをいじめの加害者にしないためには、家庭の成育環境が肝心と話します。

 

最後に、いじめられている子どもたちへ。
「苦しみは永遠に続くわけではない。周りのどこかに相談に乗ってくれる大人が必ずいる。あなたが逃げ込める安全な居場所もあるはず。だから、乗り越えられます。どうか、生きぬいて下さい」

 


いじめられたことのある人の経験談はとても貴重なものです。
それは、いじめられる辛さを知っているからです。
大平さんのお話で、特に印象に残った事です。
ふざけ合いのレベルを少しでも越えたら、『それはいじめ』それはいじめと教える
② 子どもの居場所をつくる
③ 相談に乗ってくれる大人が必ずいる

 

いじめの問題は周りの人の力が必要です。
それぞれの立場の人が、問題意識を持ち、いじめに対し、目を向けることが大切です。
特に③では、“いじめられたことのある経験者”が力を発揮できるのではないでしょうか。
大平さんの記事を読み、経験者しかできないことがあるよう思いました。

 

経験には意味があるように思います。
それは、同じ立場に置かれる人の気持ちを理解できることかもしれません。
いじめなどの問題は、そんな経験者の力を必要としているのではないでしょうか。