酒が美味くない | 断酒てへ日常

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断酒を続けること、そのために断酒例会に毎日出席を続ける日々

 長年勤めていた会社からリストラされて、その後3回再就職しました。しかしいずれも長続きしませんでした。そもそもリストラされたのは、私がすでにアルコール依存症になっており、まともに仕事ができない状態だったからなのです。しかし当時の私はリストラされた原因が酒にあるとはわかっいませんでした。ただ、仕事に対する意欲もわかず、何とか言われた仕事をこなしているふりをするだけだったのです。

 

 都合3回目の失業でした。それまでの失業では、数か月で再就職先を見つけることができていましたので、今度もそのうちに就職先が見つかるだろうと思っていたのですが、なぜか見つかりません。

 ハローワークに行って、失業手当の給付基準を満たさなければいけないのですが、行き帰りにも酒を飲んでいる有様で、うかっとしていて、期限を忘れて、手当をもらうことができなかったりしていました。実際就活もまともにしていず、家族の手前就活をしているポーズをしているだけでした。

 

 そんなことをしているうちに、何もせずただ家にいるだけになっていました。子供たち3人は大学に行っているし、妻も勤めに出て昼間は私一人です。当然のように酒を飲んでいるだけです。せめて午前中は飲まないでおこうと思うのですが、何もしないでいる状態がいたたまれず、結局酒を買ってきてしまうのです。

 

 そんなことで、午前中の内から酒を飲むのですが、ふと「酒がちっとも美味しく感じない」ことに思い至りました。そもそも酒と言うのは美味い肴とそれにあった酒をゆったり味わいながら飲んでそれを楽しんでこそ美味いものです。ただ、買ってきた焼酎をそのまま飲んでいてそんな満足が得られるわけは無いのです。

 

 「おかしい、自分は酒が好きで、いつも美味いから酒を飲んでいたはずなのに、今ここで飲んでいる酒はそんな酒ではない。ちっとも美味くない」そう思ったのです。まさにその通りで、その酒は、ただ体はアルコールを要求するので、その要求を満たすだけのために飲んでいたものだったのです。

 

 そこで初めて自分がまともな酒の飲み方をしていないことに気が付いたのです。ひょっとすると自分はアル中になりかけているのではないだろうか、この飲み方は止めなければいけない、と思いました。でも、午前中は飲まないでおこうと持ってもそれすら実行できないのに、まともな飲み方に戻れるはずもありませんでした。

 

 そこではじめて、自分の酒に問題があると気が付いたのですが、その時はリストラから6年ほどたっていました。アルコール依存症になってからすでに7~8年くらいは過ぎていたのです。自分が進むべき道は、ちゃんとしたアルコール医療にかかることしかなかったのです。でも、医療につながるにはそれからさらに2年間の無職で連続飲酒に期間を必要としました。そしてその間に家族も失うことになってしまったのでした。

 

 断酒に至るには出会い、きっかけ、チャンスが必要だと言われます。その時期に巡り合うにはまだ時間がかかったという事です。


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