安倍元総理がなぜオーストラリアの政治家からこれ程(現職、元首相4人が葬儀に出席するために来日)慕われていたのか、在豪邦人の個人的な意見を書き連ねていきたいと思います。。。
安倍総理が、「中国に偏り過ぎていたオーストラリアの目を覚まさせた」という意見もあるようですが、ちょっと違うかなと。そもそもオーストラリアが中国寄りになってきたのは、もちろん中国政府の積極的なアプローチや在豪華僑の人たちの巧みなロビーイングもあるのでしょうが、土台になったのは国民がアメリカに振り回されるのに嫌気がさしていたようなところがあったようでした。
国力の差、特に軍事力、そして第二次世界大戦では日本軍との戦いの大きな後ろ盾になってくれた事をきっかけにアメリカにはビックブラザーとして頭が上がらない。しかしながら最近では全く関係の薄い遥か遠くの中東での戦争にまで駆り出され、自国の兵士の命が失われても何も文句も言えない状況にうんざり。
そこへ中国が経済大国として台頭してきて、オーストラリアがガッツリ中国寄りに。しかし豪中の蜜月は長くは続かなかった。
中国とのビジネスはシビアで信頼関係の構築が難しい。政治家にはハニートラップに、賄賂にとなんでもありで信用できない。オーストラリアはビジネスも政界もかなりクリーンですから驚いたことでしょう。更に、オーストラリアを小国とみなし内政干渉し放題。思い通りにいかないとわかると、政府高官や政治家が中国のメディアを通じて暴言。「オーストラリアは靴の裏に付いたガムの噛みカス」と言い放っていました。公共の場でこれですから、見えない所、個人同士ではどれほどの罵詈雑言を投げ掛けられたのだろうかと推測します。
ちなみに中国高官が豪州兵士の虚偽の画像を使って豪貶めようとした事件がありましたね。(この時日本は「うちも偽画像でやられた、南京事件とか」と切り出して、歴史を捏造しようとする傾向があることを知らせ、日本への理解を深める良いチャンスだったのにと思いますけどね)
さて話を戻しますが、【アメリカか中国、どちらを選ぶのか?】という選択を迫られ、どっちも嫌だと思い悩んでいたところに現れたのが安倍総理率いる日本。
日本は大国ながら、オーストラリアの事を”しもべ”扱いせず、対等な国として扱いますし、政治家からビジネスマン、留学生に至るまで常に礼儀正しく信頼がおける。「二つのうちの一つしか選ばなくてはいけない!」と煮詰まっているところに日本は一筋の光明だったのだろうと。
だからと言って日本はオーストラリアを従えて第三極になろうと考えているわけではなく、協力して独立した国としての振る舞おうと言うアプローチですから、世界の端っこの気楽な国と若干軽んじられていたオーストラリアににとっては、自国の重要性を高めてくれた心強い存在だったのだろうと思います。
だから異例の4人もの総理゛軍団”を送り込んできてくれたのでしょう。豪州の政治家がこれほど安倍総理の死を悼むのは、強い感謝の気持ちがあったからだと思います。そしてもちろん安倍氏への高い評価と、今後日本との関係を維持したいと言う強い思いもあるでしょう。
インドからモディ首相が日帰りでやって来てくれたのも同じような理由ではと。安倍総理の評価が高いのはむしろその他の国々ではないかと。誰に対しても敬意を持って接すると言う日本的な方法で大きな信頼を勝ち得たのでしょうね。
日本とオーストラリア(というか西洋人)では和解の仕方が異なり、日本人は水に流して和解、しかしオーストラリアはがっちり話し合って和解したいのです。日本式では避けているように思われていたのですが、もともと余り文句を言わないオーストラリアは、謝罪と賠償を求める日本の隣国と同類に思われたくないと言うのもあったのか、日本に付き合って戦争の話題を避けていたのに、安倍さんがきっちり向き合ってくれたおかげで、日豪関係強化の妨げになっていた小さなとげが抜かれたのだろうと思います。
追加:この首相軍団来日で明らかになったオーストラリアの良い点をご紹介。
オージーは人目を気にせず、慣習にも囚われないのです。「他の国は誰がいくのか?」とか、「慣習的に現役の総理が参加するなんてどうなのか?」「4人も送って格下だと思われないか?」とか気にもしないのが凄い!ただ安倍元総理を追悼するのにふさわしい人を4人選んだのでしょう。
そして現職と前職3人の党が違うところも特筆すべき点。政権を担っている労働党の強みを活かして同党の総理経験者を選んでもよかったのです。例えばこのギラード氏は東北大震災で一番最初に来日した他国要人で日本とのつながりも深い方ですよ。http://blog.livedoor.jp/lovespoonful/archives/51845963.html…