【熟睡できない人】が眠るためにやること|眠れない精神病院 体験談3-10

【熟睡できない人】が眠るためにやること

私はアルコール依存症で精神病院の閉鎖病棟にいくたびか入院しました。

この記事は、精神病院で起こったことや体験談を書いたものです。


早朝に目が覚める。

まただ。うつ病の早朝覚醒というやつだ。

目が覚めて時計をみる。

まだ夜中の3時だった。

もう眠れない

早朝に目が覚め、睡眠薬がなく眠れない。

「うつ病」の症状だ。

●筆者筆者

 


メンヘラ男。アルコール依存症歴11年、25歳でうつ病、39歳でアルコール依存症とうつ病を再発、さらに双極性障害になりメンヘラに。断酒に失敗し広島の瀬野川病院、呉みどりヶ丘病院などの精神病院・閉鎖病棟に10回も入院。精神障害者手帳2級、障害年金2級。断酒・入院・うつの体験談、どうやって飲まないで生きていくかのノウハウを書いていきます。

※なお、筆者の体験談は事実のままですが、断酒会の事例は架空の人物ものとします

熟睡できない理由

早朝覚醒で眠い
早朝覚醒で眠い

精神病院に入院し、入眠障害(眠れない)、中途覚醒(途中で目が覚める)や早朝覚醒(朝、早すぎる目覚め)に悩まされるようになった。そのせいで昼間がだるく、しんどいからだ。

熟睡できない理由に、思いつくものがある。

1.身体を十分動かしていないため、身体が疲れていない

院内では週に2回、1時間ずつだけ、体育館での運動がある。

そもそもジムに通っていたため、運動量がまったく足りない

2.難しい本などを読んでいないため、脳が疲れていない

アルコール勉強会などはもう何度も受けたか忘れたくらいのなので、右から左なのである

目ぼしい本はすでに読んでしまった。

3.ほぼ病棟にいるため、太陽光を浴びていない

日光を浴びて14時間後に分泌される「メラトニン」(睡眠にかかわる脳内ホルモン)が分泌されて眠くなる。

日光にほとんどあたっていないため、メラトニンがちゃんと分泌されていないかもしれない。

4.風呂が週に2回しかない

風呂は午前か午後の昼間なので、風呂に入ってリラックスしてそのまま寝る、ということができない。

5.タバコを消灯ぎりぎりまで吸ってしまう

夜のことを考えて、消灯10分前にみなが集まり、タバコをふかす

そのせいで余計に眠れなくなる。

6.液晶テレビを消灯ギリギリまでみてしまう

ヒマを潰すため、ついついテレビを観てブルーライトを見続けてしまう。

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たっぷり熟睡するにはどうしたらいい

読書
読書

では、よく眠るにはどうすればよいかというと、単に逆のことをすればいいことになる。

1.身体を十分動かして疲れさせる

シャバでは、事務系の仕事ならジョギングやジムなど行う。

現場系の人なら仕事だけで疲れるてよく眠れるだろう

2.脳を疲れさせる

こんどは逆で、事務系の仕事ならそのまま脳が疲れる。

現場系なら本を読む・ブログを書くなどがあるが、疲れてそのまま寝そうな気もする。

3.朝、目覚めたら太陽光を浴びる

これはよくいわれることだ。

太陽光を浴びることで14時間後にメラトニンが分泌され、自然に眠くなる

睡眠障害の人であれば「ロゼレム」というクスリを使う。

4.風呂にゆっくり入ってリラックスする

38度くらいのぬるいお湯にはいってリラックスさせ、副交感神経を優位にする。

42度などの熱湯に入ると、逆に交換神経が優位になり、興奮して眠れなくなるので注意。

【副交感神経とは】
副交感神経は、からだの各部分の活動性を下げ、次の活動に備えて回復、修復させるために働きます。食事中、食後、 心身ともにリラックスしているとき、寝ているときには、副交感神経が優位にはたらいて、回復優先モードになります。

【交感神経とは】
気合いを入れて仕事をしようとするとき、スポーツなどで勝負に出るとき、トラブル回避の際などには、交感神経が優位となり、血液循環や代謝を上げて活動性を高めます

名古屋ハードセンター 自律神経と心臓の関係 より引用

5.寝る前のタバコ・コーヒーは避ける

もちろん、就寝直前タバコ・コーヒーは避けたほうがよい。

特にコーヒーは、カフェインの半減期(血中濃度が半分になる時間)が6時間もある。

厳しい医師のもとでは、コーヒーは午後3時までしか飲めない。

夕方に飲んでしまうと、午後9時でもカフェインが70~75%も血中に残っているため、眠れなくなるのだ。

6.寝る前のテレビ、パソコン、スマホ、ゲームは避ける

これもよくいわれることだ。

テレビはともかく、スマホは20~30センチほどの至近距離で強いブルーライトを浴びる事になる。

ブルーライトは睡眠ホルモンを抑制し、入眠を妨げてしまう

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大量の睡眠薬をもらって寝る

睡眠薬
睡眠薬

消灯は夜の9時。

その時間が近づくと、睡眠薬が必要な患者は詰所の窓口に順番にならび、睡眠薬をもらう。

窓口のガラスのむこうの看護師へ「101号(室)の金田一です」と順に病室、名前をいう。

看護師はそれと同じことが記入されている透明の小袋を選び、指先で破り、白く丸い何粒かの中身をぼくへ手渡す。

私はうつ病による不眠がひどくて、睡眠薬を10錠近くもらっていた。

私はそれらを手のひらで受け取り、タッパーのお茶で胃に流し込み、看護師にクチをあけて見せちゃんと服薬していることを確認してもらう。

しかし、こちらは睡眠薬がないと眠れないから睡眠薬をもらうのだ。

睡眠薬を飲まないなんて事は絶対にない。

なんで服薬確認するのかよくわからない、と毎回思っていた。

熟睡できないため、早朝に目が覚める

朝焼け
朝焼け

それはともかく、大の大人が「夜9時に寝ろ」なんて無茶な話だ。

無茶だが、いちおう睡眠薬を飲まされるので、10時~11時までには入眠してしまう。

しかし、こちらは働いているわけでもない。

朝昼晩飯食って、その合間にアルコール依存症の勉強会が1時間あり、テレビを観て、タバコを吸ったら夕方だ。

よって疲れているわけがない。

そのため入眠してきっかり5時間後、3時の早朝に目が覚めるのであった

目が覚め、時計を見、ベッドで上を向いたり横を向いたりうつぶせになったりをひたすら繰り返す。

しかし再び時計を見ても5分もすすんでいない。

しかもこのまま眠りに落ちる雰囲気すら感じない。

しかたがないのでベッドから起き出し、部屋を出て、人気のない、まだ灯りのついていない暗いデイルームへ向かう。

看護師詰所の蛍光灯から、なんとか本が読めるほどのささやかな光が漏れてくる。

そこで適当に本を読んで時が進むのを待つしかない。

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同じように早起きした患者が起きてくる

筋肉の話
筋肉の話

すると、だいたい同じ時刻にY君が起き出してくる。

にやりと笑って、

「おはようございます、また目が覚めましたか」

「おはようございます、ええ。またです」

そう、同じく早朝に目が覚めてしまい、もう眠れない患者が何人も起き出してくる。

3時に起き出してきたY君は30代前半の若者。

酒の席でトラブル(暴力事件)を起こし、警察沙汰になった。

その時にたまたまアルコールを飲んでいた、ただただそれだけの理由で、ここ広島県一の精神病院閉鎖病棟送りになった、かわいそうな若者である。

Y君から話を聞いてみると。

ふだんは高タンパクで低脂肪な食生活を送り、酒はめったに飲まず毎日かかさず筋トレで身体を鍛えている

身体も精神にもまったく異常がない。

彼が酒を飲むのは、週末にビールを少しだけ。

だから、アルコール依存症ではない。

彼はアルコール依存症者とはまったくもって反対の、規律正しい生活を送っている様子だった

その彼が、なぜか「酒が原因」で精神病院送りになった。

むごい。

そのへんの医師の診断については、Y君もぼくもよくわからなかった。

とにかくそんな健全なY君が3時すぎに起きてくるのだ。

消灯が早すぎるのだ。

Y氏身の上話

大阪の街
大阪の街

Y君の身の上ばなしをしよう。

生まれも育ちも大阪の「西成区あいりん地区」で、コテコテの関西人だった。

あたりまえだが流暢でネイティブな関西弁で話しかけてくる。

私は、東京で言えばどちらかというと「アメ横」や「浅草の競馬場あたりの下町」をぶらつくのが好きだ。

妻が行きたがる東京ディズニーランドなんぞには一切興味がない。

関西方面はというと心斎橋や道頓堀より、いちどは新世界やあいりん地区をぶらついてみたかった。

その憧れの あいりん地区で育ったという彼とは、話が合った

毎日毎朝、何時間も話をした。

そのような日々を送っているうちに、ある日、私の身に異変が起きた・・・・・・。

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精神病院で毎朝語り合う日々

筋トレの毎日
筋トレの毎日

毎朝、いったい何の話しをするのかというと。

筋肉」である。

細かく言うと「筋肉をいかにして鍛えるか」である。「筋肉をいかにしてイジメ抜くか」でもある。

とにかく閉鎖病棟の夜中というか早朝3時から日々筋肉について野郎ふたりが語り合う。

しかし、ふたりとも裸だったり、変態同士というわけではない。

私は家から送ってもらった、どうでもいい半パンと長そで姿だった。

しかし彼はわざと色あせた紺色のGパンと、これも古着のように色あせた元は黒だったであろうTシャツ。

ファッション
ファッション

まるで彼はアパレルショップから出てきた店員のようにオシャレだった。

ふたりは別々の小さなテーブルに掛け、片手にマンガを持ちながら、しかし隣どうしで話す、そういった格好である。

私はボクシングを少しかじっていた。

そのため、パンチ力を上げるための広背筋、(首から肩の)僧帽筋、(肩の外側の)三角筋を鍛えあげて、いわゆる “上半身逆三角形” のシルエットにななってしまう。

が、彼は違う。

まだ30代半ばだからか、結婚も子どももいないからか、私にはすでに用がなくなった「ファッション」というのにこだわっていた。

シュッとした、と、関西では言うのですか。

スレンダーな、と、一般的には言うのですか。

肩幅はほそく、しかし胸板は厚く。そうするとTシャツを羽織った時に、彼の理想のシルエットになるのだそうだ。

そのへんの所は私はあまり理解できなかったが、とにかく「筋肉を鍛えなければならない」方向ではおおむね意見が合致し、話しあい、PDCAは順調に進められた。

閉鎖病棟の中で、身のまわりのベッドやイスやそのほかの材料を使用し、いかに筋肉に負荷をかけて鍛えるか

という難題も、互いに意見を出し合い、励ましあい、実行した。

次の日の3時に、いかに筋肉をイジメ抜いたか報告しあった。

そんな感じで、閉鎖病棟の日々は過ぎていった。

気がつくと「朝食の時間ですよ!」と看護師の声が飛んできたこともあった。

ああ、もう8時だ。

ということは、夜中の3時から5時間もぶっ続けで筋肉バナシをしてたのか。

やはり変態かもしれない。

とにかく、そんな具合で閉鎖病棟の日々は過ぎていった。

連れタバコ

連れタバコ
連れタバコ

タバコは、というと。

これは職場と同じで、気の合う人に声をかける。

人差し指と中指をクチビルに当てたり離したりして「タバコ、行きませんか」と合図をし、連れタバコをする

孤独が好きな終始無言なヤツや、あと適応障害などで皆になじめない人、どちらかというと嫌われてたりするヤツは一人タバコである。

アルコール依存症と薬物中毒患者たちはクスリが切れたらごく普通の人々だったりするので、よく連れタバコになる。

同じ勉強会に出席しなければならないため、アルコール依存症はアルコール依存症同士、薬物は薬物同士で「つるむ」ことが多い。

デイルームで時を過ごすにしても、その仲間同士でつるんでいることが多い。

話しはそれたがとにかくその晩は、私とY君とアル中仲間で連れタバコで喫煙所にいた。

時間は無限にある。

だからといってタバコに次々と火をつけると、タバコ代がとんでもない事になる。

2本くらいで止めて、ベンチに座ったヤツらと話しに夢中になるようにする。

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急に発作が!

発作
発作

そう。

その晩、なんの話しをしてたのだろう。

なんだったかは思いだせない。

ただただ、夢中になって語っていたのは覚えている。

語っている途中で、とつぜん言葉が止まった

まだ喋っている途中、話はまだ続いているのだが・・・・・・う・・・・・・あ・・・・・・

声が出ない。

脳内で発声したいコトバがぐるぐると回っているのだが、クチが動かない。

声帯が鳴らない。

続けて、身体中のチカラがすべて抜けていくのを感じた。

座っているベンチの、右側に倒れていった。


何だこれは!? 何の現象だ!

これはいったい何なのか、その時には分からなかった・・・・・・

まとめ 【熟睡できない人】が眠るためにやること|精神病院は眠れない

精神病院の早い消灯には閉口しました。早く起きるのはいいのですが、明かりは点けられない、テレビも点けられない、とにかく朝メシまで5時間も潰さねばならなかったのです。

話は後半にうつるのですが、どうやら私は「躁状態」による発作だったらしいのです。うつ病もあるため、「双極性障害」というやつです。

入院する度に病気がひどくなる・・・・・・


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