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恐怖の森オダン

総首都ヴァレロンから交通機関でヨフツキ行きの定期便に乗る

このヨフツキ行きには都市伝説がある


「ヴァレロンから約6時間進んだ辺り、有るはずの無い駅が希に姿を現わす」



都市伝説とは言ってもその真実を知らない人は少ない

これは半分実話であり、実際にはその駅はただの廃駅である

通常はその駅は通過するが

それでも希望申し立てればその駅にも停ってくれるので

希に停る事もある

いつもは停まらない、人の気配感じられない駅にたまに停るのは気味が悪い


そんな事からこの都市伝説は生まれた



今日はその駅が姿を現す日
…俺の一行が降りるから


今回仕事で今その駅に降り立ってしまった

FEがこんな街中で仕事とか聞いた事が無い…


今日の一行はいつものメンバーではなく、4人


先輩FE、サハニティウスに捕まってしまった



以前にパーティーの誘いを受け、こじつけの理由で断ったが

あれから2度目の誘いを受けて断り、また3度目の誘いが来た

断ってばかりも気まずいので、今回は受けようと承諾したらこんな仕事だった


…ホントこの人に関わるとロクな事が無い



なぜ今回の仕事が嫌なのか!


今回の目的地はこの廃駅から歩いて3分ほど

塀と門に囲まれ、閉鎖された不自然な森がある


その森の名はオダン
恐怖の森オダン

「死ぬ気が有ってもオダンには行くな」

などと恐怖を唆る言葉まで生まれるほど

誰もが恐れ、近づきたがらない森である


しかし、そんな風に言われるようになってまだ20年ほど

それ以前、元々オダンは人が住んでいたきれいな森であった


古くからここに住む民族は

自然を愛し、森を愛し

森と人が共存出来る、機能的かつ美しく整備された町並みを作り上げた


その街は政府より景観保護区域に指定され

審査と講習を受けた人だけが観光に行けるほどの街だったらしく

うちの親父曰く、若い頃に一度行った事があるらしい

あまりの素晴らしい景観に数分呆然としていたとか


しかし、今から20年ほど前

魔族であるレリシュ族が突然森に襲いかかり

住み着いてしまった。


地方守護隊が対応に当たるも、守護隊程度では相手ににはならなかった

当時は大陸浄化主義提唱団が世間を騒がせ、激戦が続いた為、連合軍は地方に手を回せる余裕が無く、何も解決の方法なく、人々は涙を飲んで森を後にした

怪我人は多かったが、死人が出なかったのは幸いだった





その後連合国はレリシュ族をネガティブ勢力と認定したが


森の外に出て人を襲うような事もない

結局何が目的で森を襲ったのか原因は不明で

ただ大人しく森に住み着いているだけなので、早急に対策が必要な状況でもなく

軍としてもそれほど重要性も無い案件に討伐隊を出す余裕も無い


更には先住民曰く

仮に軍が入って奴らを追放してくれた所で、今度またいつ襲って来て怪我人が出るか、もしくは今度は死人が出るか分からない

しかも軍とレリシュ族の戦いの跡となった
煙と血の匂いで汚れた凄惨な森を見ても心が傷つくだけ

そう言って討伐を必要とはしなかった


どこまでも森を愛する民族だった



その後、森に一番近かった駅は廃駅となり、それが都市伝説を生んだ


レリシュ族はそれ程強大な戦力を持っているわけではない
ただ、見た目が不気味とかのレベルじゃない

人によっては一目見ただけで暫くトラウマになってしまうとか



過去に恐怖の森に入った事のある人の話によると

レリシュ族は、森に侵入者が入ると周りの物陰に大勢集まって牽制するようにこちらを睨んでくる

その時、仲間同士何か話しているらしく、ヒソヒソと話し声のような声を出す
勿論言葉は通じない

そして、危害は加えて来ないかと安心したと思うと

何が怒りに触れたのか、突然襲いかかってくる

そうかと思うとまた物陰からこっちを睨んでくる


何が怒りに触れるのか想像も出来ないとか





今日、この森に来たのは、ある依頼からだった

依頼主はジェアンタという女性


かつてオダンの森に住んでいた人の娘とのこと

母親が幼少の頃から患っていた病気がとうとう悪化して

数週間前に永眠された


亡くなった母より生前によく聞かされたオダンの話

オダンの家には今も忘れられない思い出の宝物が有ったんだ


そんな話を何度も聞かされた


今まで母と二人で暮らしてきたが

ずっと付き合いの有った男性との結婚を反対された

父は家庭を放り出して蒸発してしまった

そんな経験のある母だから自分の事を思ってのことだとは分かっている

それでも過剰なまでに男を警戒する母を疎ましく思うようになり

反対を押し切って結婚してしまった


それ以来

母とは喧嘩も多くなり、距離を置くようになったが

そのせいで孫の顔を見せてやれる事が少なく

寂しい一人暮らしをさせてしまったのが一番の悔いだと女性は語る。


ならばせめてもの償いとして

母の宝物を墓前に上げてあげたい


そんな思いが有りながらも、頼れる相手も居なくて

どこに依頼すればいいかも分からず、悩んでいた時に声を掛けてくれたのが旧友のFEであったとのこと

それがサハニティウスの仲間で

今回のパーティーリーダーであるルイドレクリンだ



オダンと聞いて逃げ出したかったが

親子の愛情を目の前にして逃げるはEFの恥!

か、どうかは定かではないが…


ともかく、そんな話を聞いていながら「やっぱりやめ!」とは言えない

俺はホラーの類が苦手なんで

恐怖心がハンパないけど



意を決していよいよ重い門をゆっくり開き、俺達は進んだ













…けど



サハニティウスはあまり動じないKYな性格なので
こんな状況でもやはり陽気な男だった




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1 件のコメント:

  1.  もうこのブログも更新されないのかと思うと寂しい。

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