大垣祭り・中町 布袋軕 天井画(天井絵)制作〈その8〉、彩色開始 | 後藤 仁(GOTO JIN)の日本画・絵本便り

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後藤仁ブログ2~絵師(日本画家・絵本画家、天井画・金唐革紙)後藤仁の日本画・絵本・展覧会便り。東京藝大日本画卒,後藤純男門下。「アジア/日本の美人画」をテーマに描く。東京藝大,東京造形大講師。金唐革紙製作技術保持。日本美術家連盟,絵本学会,日中文化交流協会会員。

「大垣祭り〔ユネスコ無形文化遺産・国重要無形民俗文化財〕・中町 布袋軕(ほていやま)」(岐阜県大垣市) 
 天井画(天井絵)制作

 絵師(日本画家・絵本画家) 後藤 仁、GOTO JIN


  (※フェイスブック Facebook に記述した内容から、今回、彩色(黒龍の鱗)の工程を、まとめています。)

                 

 2022年4月30日(土)。この「大垣祭り 天井画」制作は、他の作品制作との兼ね合いで、ゆとりを持って1年余りの制作期間を想定し、早めに制作を開始しました。ところが、この大垣祭り復元事業は、文化庁と大垣市の助成事業でもあるので、来年4月の予算決定後まで制作を待って欲しいという事を、昨年10月頃に伝えられ、今まで据え置いていました。
 ようやく予算が決まったと言うので、いよいよ、本格的に制作再開です───


 この大型連休は、絵本制作をひとまず置いておいて、この「天井画」制作一本に集中しようと計画しています(私には、世間で言う所の、いわゆる「遊戯・休養の連休」など、ありません・・・)。
 昨日(4月29日/金)は、骨描き(こつがき)まで完成していた本画に、”彩色”をほどこしていきました。黒系のかなり荒い粒子の岩絵の具を、かなり濃い目の膠でといて、黒龍の鱗に彩色しました。特荒の絵の具は、筆ですくって画面まで持っていって塗るのが、とても難しく、なかなか手間がかかります。
 この日は、鱗の外縁の一度塗り目を行い、およそ半分弱まで描けました。疲労して、腰も痛くなり、結構、大変です〰〰。しかし、とても良い感じですよ~。😆



いよいよ、これから彩色開始~!










 2022年4月30日(土)~5月3日(火)には、「黒龍」の鱗・外縁の一度塗り目”彩色”を進め、完成させました─── 😚。今回、使用した岩絵の具は、黒色系の”特荒”の岩絵の具です。ことさら特荒ですので、筆で塗るのが非常に難しいです。

 「軕(やま/山車)」は祭りの時に激しく動かされますし、天候の影響等も受けやすいでしょうから、かなり頑丈な画面が求められます。加えて、大垣祭りの「軕」は、大垣市~ひいては、日本の・世界の宝でもありますので、十分に100年はもたせたいという思いがあります。
 今回の岩絵の具が”特荒”だという事もありますが、”膠(にかわ/日本画の絵の具の接着剤)”はいつもの和紙用より2倍強は濃いものを使用し、絵の具の割れが生じないギリギリの範囲で、板への喰い付きを最大限にしました。また、今回は様々な膠を混ぜて、それぞれの長所・短所を補い合う事を目途としました。昔の三千本膠、新三千本膠「飛鳥」、乾燥鹿膠、軟靭鹿膠、墨製造用の膠を混合して使用。・・・それが本当に効果が高いかどうかは不明ですが、様々な環境変化等に対応できるのではないかと、期待します。

 鱗・外縁の一度塗り目が終了し、「黒龍」の迫力は更に増してきました 🐉。この後、鱗の更なる彩色~龍の各部位の彩色へと進めていきます。乞うご期待 ─── 💘









腰が辛い体勢だね~。






今回、使用した膠。
 左上から、昔の三千本膠(現在は製造終了で売っていません)、新三千本膠「飛鳥」、墨製造用の膠、乾燥鹿膠、軟靭鹿膠。


使用した画材と。


「大垣祭り〔ユネスコ無形文化遺産・国重要無形民俗文化財〕・中町 布袋軕(ほていやま)」(岐阜県大垣市) 
 天井画(天井絵)『黒龍と四つ姫の図』 「黒龍」 鱗・外縁の一度塗り目の彩色 完成



 2022年5月4日(水)~5日(木)は、「黒龍」の鱗・年輪”彩色”をほどこしました。今回、使用した絵の具は、黒灰色系の荒い粒子の顔料です(通常の画材店でも日本画画材専門店でも売っていない、かなり特殊な品物)。塗るのは、前の特荒黒色よりは多少やりやすいですが、それでも、かなり困難です〰〰。(@_@)
 一つの鱗に対して、2~5本の年輪を入れていきますので、時間もかかって、作画はとても大変です。2日かかって、ようやく全身の半分弱まで進みました~。
 しかし、黒龍の鱗の立体感と迫力が更に増して、なかなか良い感じですね〰〰  ( ^^)丿















 2022年5月9日~12日で、「黒龍」の鱗・年輪の黒灰色・一度塗り目”彩色”を完成させました。😌
 今回は黒灰色系の特荒粒子の特殊な岩絵の具を用いました(通常の画材店でも日本画画材専門店でも売っていない、かなり特殊な絵の具)。粒子の荒い絵の具は塗るのが難しいのですが、おおよそ良い感じです。
 「日本画」では、大きな作品は基本的に地面で描きます。私は正座自体には慣れており、何時間でも平気なのですが、細部の描写になると、腰と足が極端に折れ曲がり、まるで苦行か拷問のような形態になります。これで一気に1時間以上、小休止しながら、長い時は1日に6時間以上、描き続けますので、極めて辛い作業になるのです・・・。
 後半、このサイズだとミニテーブルに乗せられそうだと気付き、やってみると、随分、楽になりました~。何事も工夫してみるものですね~。😆
 「黒龍」の迫力がどんどんと増してきましたが、まだまだ、これからが見所ですよ。乞うご期待〰〰 
  ( ^^)丿




テーブルに乗せると、随分、彩色が楽な事が分かりました。  ヽ(^o^)丿









「大垣祭り〔ユネスコ無形文化遺産・国重要無形民俗文化財〕・中町 布袋軕(ほていやま)」(岐阜県大垣市) 
 天井画(天井絵)『黒龍と四つ姫の図』 「黒龍」 鱗・年輪の一度塗り目の彩色 完成