東大国語 過去問解説 第5回 ‐ 東京大学 2013年度 第二問 古文 | 臨海セミナー 東大プロジェクト 国語科

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東大国語 過去問解説 第5回

東京大学 2013年度 第二問 その1

 

東大の国語では、現代文でも古文でも漢文でも
「説明せよ」という問いが多く出題されます。
 
 
この「説明せよ」という出題には
様々なパターンがあります。
 
 

たとえば

 

「傍線部の比喩的な表現を一般的な表現に言い換えよ」
「傍線部には省略されている部分があるから、それも明示せよ」
「傍線部の表現から読み取れる心情・意図を説明せよ」

 

などなど。


 
設問の「説明せよ」が、どういう意図で「説明せよと問うているのか
 
傍線部やその前後微視的(ミクロ)に分析する視点
文章全体(リード文や注も含め)を巨視的(マクロ)に把捉する視点
の両方をもって読みとっていかなければならないところが
東大の国語の難しさ=面白さなのだと思います。


どのような内容をどのような表現で書いたら点数をもらえるか
ということは、出題者がこの文章の中で、この部分に傍線を引いてこの大きさ(小ささ)の解答欄を設けてこのような問いを立てたその意図は何か、と考えることによってしか決められません。
 
 
たとえば、次の問題。
 
東京大学 前期 国語 2013年度 第二問 文科(二)
「御気色かはらせ給へば」(傍線部イ)とあるが、なぜそうなったのか、説明せよ。
(解答欄は約14㎝×1行)

※批評のために必要な最小限度の引用にとどめています。問題全体は市販の過去問集等をご参照ください。

 
最近の東大は1行14㎝弱の解答欄。
常識的に、そこに収まるのは30~35字程度でしょう。

 
世の中には、「できるだけ小さい字で要素を詰め込め」
教えられているカワイソウな生徒もいるようです。
東大を目指そうという優秀な高校生には、複数の塾をかけもち
している生徒も少なくないので、「○○では、そう習ったんですけど」と私の所に質問に来る生徒もいます。
でも東大入試はビックリ人間コンテストではありません。

(むしろ、雑多な内容を詰め込んで要領を得ない答案は嫌われると思います。)

 
 
では、その限られた字数で、様々な情報の中から何を優先して書けばよいか。順を追って考えてみましょう。
 
 
ここの主語は源頼朝。
「気色かはる」とは、「感情が表情にあらわれる」「機嫌が悪くなる」「(怒りなどで)顔色が変わる」といった意味。
ここで問われているのは、「なぜ頼朝の顔色が変わったのか」もしくは「なぜ頼朝が怒ったのか」ということです。
 
 
傍線部直前の頼朝の発言に基づきつつ、解答欄の大きさを無視して答案を書くのであれば、
「八幡宮で芸を披露するのだから、当然頼朝を中心とした鎌倉勢の繁栄を祈念する演題でなければならないのに、観衆がどう思うかも考えず、静が反逆者義経を慕う歌舞を演じたから。」(82字)とでもなるでしょうか。
しかし、ここでは1行の解答欄しか与えられていません。
 
 
35字程度でまとめるとしたら、こんな感じでしょうか。
「静が、八幡宮に奉納するには不適当な、義経への思いを託す歌を詠んだから。」(35字)
「静が、鎌倉勢の繁栄を祈念すべき所で義経への思慕を示す歌を詠んだから。」(35字)
「静が、観衆の評判を気にすることなく、義経への思慕を示す歌を詠んだから。」(35字)
 
この中に正解はありそうですか?


《次回へつづく》


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