民法  2011(H23)-30-3 | 行政書士試験 記述式 完全対策ブログ たけのこ太郎

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行政書士になって独立開業!一国一城の主!そのための行政書士試験・記述式問題の完全対策を綴ったブログです

みなさんこんにちは!

重要な選択肢を選んで解説していきます。
読んで考えるだけで択一・記述ともに実力がつきます。
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Q 正誤問題

AがBから土地を借りてその土地上に建物を所有している場合において、Aは、その建物上に甲抵当権を設定したが、Bから土地を取得した後に、さらにその建物に乙抵当権を設定した。その後、Aは、甲抵当権の被担保債権について弁済できなかったので、甲抵当権が実行され、その土地は買受人Cが取得した。この場合、この建物のために法定地上権は成立しない。

2011(H23)-30-3




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A 妥当ではない

本問の場合、法定地上権は成立します。

よって、本問は誤りです。

事案を把握した後、要件にあてはめます。


1 事案の把握

① AがBから土地を借り、建物を建て所有(建物はA所有)

② Aが建物に甲抵当権を設定(建物に甲抵当権設定)

③ AがBから土地を取得(土地建物共にA所有)

④ Aが建物(のみ)に乙抵当権を設定(建物に甲抵当権と乙抵当権設定)

⑤ 甲抵当権が実行され、建物のみ買受人Cが取得(建物はC所有、土地はA所有)


2 あてはめ

要件1 「土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合」

要件2 「土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至った」

本問には抵当権が複数あるため、各抵当権ごとに要件をあてはめていきます。


(1) 甲抵当権について

事実①②をみるに、甲抵当権が設定された当時、建物はA所有である一方土地はまだB所有です。

よって、甲抵当権を基準に考えると、要件1を満たしません。


(2) 乙抵当権について

事実③④をみるに、乙抵当権が設定された当時、土地建物ともにB所有です。

よって、乙抵当権を基準に考えると、要件1を満たします。

また、その後に競売にかけられ、建物はC所有、土地はA所有になっています(事実⑤ 要件2を満たします)。

よって、法定地上権は成立します。

従って、法定地上権が成立しないとしている本問は妥当ではありません。

なお、実行されたのは法定地上権の要件を満たす乙抵当権ではなく、要件を満たさない甲抵当権ですが、どの抵当権が実行されても法定地上権の成否に影響しません。


(3) 結論の妥当性について

結論が妥当かどうか、検討してみます。

抵当権者と落札者の立場になって考えます。

甲抵当権の設定当時、土地建物は別人所有です。

よって、甲抵当権者(X銀行とします)は法定地上権が成立しないと予測しています(もっとも、(あるであろう)既存の借地権にも抵当権が及んでいますが・・・)。

低価格での落札を予測したX銀行は、Aへの融資額を低額にします。

一方、
乙抵当権の設定当時、土地建物は同一人(A)所有です。

よって、乙抵当権者(Y銀行とします)は法定地上権の成立を予測し、Aへの融資額を高額にします。

そして、建物の競落人であるCは、登記記録を見て、甲抵当権については法定地上権が成立しないものの、乙抵当権については法定地上権が成立する認識を持っています。

よって、建物は高値で落札されます。

X銀行としては低く見積もった建物が高く落札されたのですから不満はありません。

また、Y銀行としても高く見積もった建物が高く落札されるわけですから、やはり不満はありません。

誰も予想外の不利益を被ってません。

以上より、この結論は妥当です。



ではまた!