昔から不思議な話を集めるのが好きでした。
長じていろいろな体験談を四方八方手当たり次第に聴き集めてきました。話を聞いていると、心は行き止まりのどん詰まりに入ってしまったように、不安になっていきます。

今日も導かれた先は袋小路。袋小路のさらにどん詰まりへ、ようこそ――。


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例外なし

 北海道のある都市に公園がある。その公園に大変よく当たる女性の占い師がいた。
 占う時に代金を請求しない。普通であれば相場が書いてあるものだが、幾らかと訊ねると、お代はお気持ちで結構ですと言う。
 占ってもらった側は、自分の気持ちと財布の都合で五百円や千円といった代金を支払う。どんなに安い金額でも、その占い師は別段腹を立てることもなく、ただ「ありがとうございます」と頭を下げる。
 しかもこれが大変良く当たる。知る人ぞ知ると、女子高生やOLに評判だった。
 ただ、この占い師は普段は座っているだけなのだが、時々公園で遊んでいる人の元に駆け寄って来る。その時はわざわざ肩を叩いてこう告げるのだ。
「あなた、死にますよ」
 あなたは死相が出ている。身辺整理をした方が良いとアドバイスをする。実際このアドバイスを受けた人は、ごく短期間で亡くなってしまう。例外は一件もなかったという。

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――如何でしたでしょうか。
また次回も不思議な話をお聞かせしたいと思います。
それまでお互い息災でありますように。



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bozu
文・アイコン作画 神沼三平太

神奈川県出身。
代表作は共著に『恐怖箱 蝦蟇』(竹書房恐怖文庫)、『恐怖箱 百聞』、『恐怖箱 百舌』(竹書房ホラー文庫)等、
単著に『恐怖箱 臨怪(竹書房恐怖文庫)、『恐怖箱 崩怪』(竹書房文庫)。
大学の非常勤講師の顔を持つ。


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2015-02-28