「アンテベラム」　★★★☆～謎の氷塊が気持ち良い良作スリラー

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2021』の掲載にあたって」

謎の氷塊が気持ち良い良作スリラー ★★★☆

（2020年／アメリカ／106分／Antebellum） 【　監督　】 ジェラルド・ブッシュクリストファー・レンツ【　出演　】ジャネール・モネイ
エリック・ラング
ジェナ・マローン
ジャック・ヒューストンガボレイ・シディベ

【あらすじ】

　南北戦争時代のアメリカ。とある綿花農場“プランテーション”では、黒人たちは奴隷のように扱われ過酷な重労働を強いられており、そこで働く女性エデンは、仲間たちとここから脱出を図ろうと機会をうかがっていた。

　現代のアメリカ。博士号を持つ社会学者のヴェロニカは、やさしい夫と幼い娘と幸せな毎日を送っていた。しかし、ある日、ニューオーリンズでの講演会の後、何者かに拉致される。

　時代が交錯する中、思いもよらぬ真実が判明する―

【コメント】

　新型コロナもやっとこさ落ち着き、映画館もレイトショーが再開とあって、映画館に足しげく通っている僕としては嬉しい今日この頃。仕事も落ち着いた週末、映画でも観て帰るかと鑑賞したのが本作です。

　ポスターがとても印象的でちょっと気になっていた作品だったのですが、ほぼほぼ事前情報を入れずジャケ買い的な勢いで「立川キノシネマ」に足を運んだ次第です。

　いや～面白かった！仕事の後は疲れているので寝てしまわないかと心配だったんですが、片時も目を離せないくらい集中して観ちゃいましたね！本作はいわゆるどんでん返しモノ、ラストですべての謎が解けるスリラー映画なんですが、ラストでなるほど！と気持ち良く謎が氷解する、スリラーの良作だったと思います。

　展開としては、黒人が白人に奴隷のような扱いを受けているアメリカの南北戦争時代と、黒人が確固たる地位を築き人種が共存している現代が交差するように話が進んでいく。一見何の関係もないそれぞれのストーリーが抑揚なく淡々と進んでいって、この2つの物語が一体最後どう終息していくのかと気になってしょうがない。南北戦争時の黒人の酷すぎるくらい酷い扱いに顔をしかめてしまうストーリーと、何の変哲もない日常が淡々と進んでいく現代。下手すると寝ちゃいそうになるくらい、しばらく何も起きない展開が静かに進んでいくわけですが、後半、南北戦争時代に“ある物”が登場することで、一気に映画に釘付けになり、クライマックスで一気に2つのストーリーが一つに繋がっていく。

　しょっぱなで思いこんでしまうミスリード、そして2つの話の時系列操作によって、クライマックスで解けていく謎の気持ち良さが最高、とても楽しめました。

　まあ正直、ネタ的にはM・ナイト・シャマランの作品『ヴィレッジ』に酷似、と言ってしまうともう分かっちゃう人はいるかもしれません。そもそもあんなことやってたらすぐバレるだろというツッコミも無きにしも非ずですが、最近のニュースから見てもアメリカにおける白人VS黒人の対立はまだまだ根深いものがあるでしょう。本作も決してフィクションとして観られない部分はあるんじゃないかなーと感じます。

【2021年度 Myランキング】（11/5時点）

　本作は、本年度のベスト10ワースト3ともにランキング外。

　上司とはいえ操作できない部下もいる。

（ベスト）…　★★★☆以上が基準

　　１位：ファーザー ★★★★★

　　２位：護られなかった者たちへ ★★★★☆

　　３位：孤狼の血 LEVEL2 ★★★★☆

　　４位：すばらしき世界 ★★★★

　　５位：ヤクザと家族 The Family ★★★★

　　６位：空白 ★★★★

　　７位：ザ・スーサイド・スクワッド “極”悪党、集結 ★★★★

　　８位：Mr.ノーバディ ★★★★