「炎の少女チャーリー」　★★★～完全な予算不足

※※※　注意　※※※

　「シネマ報告書」は、映画鑑賞後の率直な感想を伝えるため、映画の内容や核心・結末に触れる、いわゆる“ネタバレ”が多分に含まれる場合があります。

　これから観ようと思っている方は、本報告書の趣旨についてご理解のうえ十分注意してお読みくださるようご了承願います。

「『シネマ報告書2022』の掲載にあたって」

完全な予算不足 ★★★

ザック・エフロン

ライアン・キーラ・アームストロング

シドニー・レモン

カートウッド・スミス

ジョン・ビーズリー

マイケル・グレイアイズ

グロリア・ルーベン

【あらすじ】

　かつて政府の軍事機密実験により超能力が身に付いてしまったアンディとヴィッキー。2人は結婚し、一人娘のチャーリーを授かる。チャーリーには、念によって火を発生させることができる“パイロキネシス”の力を持っていた。

　パイロキネシスは成長するにつれ強力になり、時に感情の変化により暴走するようになる。

　チャーリーの存在を知った政府の秘密組織は、軍事利用するため手中に入れようと軍隊を送り込み、アンディはチャーリーを守るため必死に逃亡するのだが―

【コメント】

　さて、今回TSUTAYA DISCASでお取り寄せしたのが、ご存じホラー小説家の巨匠スティーヴン・キング原作である本作。原作は「ファイアスターター」です。

　本作は1984年に同タイトルでマーク・L・レスター監督ドリュー・バリモア主演で映画化され大ヒットを記録しており、僕もかなり昔にTVで拝見した記憶があります。とにかくほぼほぼ内容は覚えてないくらいにはるか昔。炎の中をブチ切れた少女が歩いているシーンだけは記憶に残っていますが。というかポスター、昔のやつを丸パクリですやん。

　劇場公開当時、懐かしいなーと思って観に行こうかとも思っていたんですが、ネットでの評判は著しくなく、それに振り回されてしまった僕は劇場での鑑賞をスルー。今般めでたくレンタル開始ということで鑑賞してみた次第です。

　お話としては面白いんです、お話としては。だってスティーヴン・キング原作だもん。今でこそ超能力を持った人間の苦悩といったSFドラマは擦られまくった典型フォーマットですが、そもそもそのフォーマットの原型がスティーヴン・キング原作のこれですからね（多分）。超能力をコントロールしつつ、一般人と平和に静かに暮らしたい能力者と、それをいいように軍事利用しようと企む秘密の政府機関の追いつ追われつの逃走劇。そしてやり過ぎた機関にブチ切れた能力者のカオスと化した大暴走。王道中の王道的展開ですな。

　とは言え本作、天下のブラムハウス製作にもかかわらず、なんかとっても安っぽい。本作の製作に予算出してもらえなかったのかなーと思ってしまうくらいチープ、題材は完璧なのに完全なる予算不足ですね。1984年版を超えられるような映画作れるの？じゃあやってみなってんで、結果超えられなかったという残念な作品です。前半は悪くなかったんですけどね、クライマックスの大暴走がまるで盛り上がらなくてね。チャーリーがラストでブチ切れてパイロキネシスでもってあらゆる建物や政府の人間どもを燃やしまくるカオスが最高に盛り上がるシーンなのに。お話が面白いだけに非常にもったいない作品でした。