オーストラリア中央銀行声明全文(2021年12月7日)

2021年12月7日

本日12/7(火)に行われたオーストラリア政策金利発表後のオーストラリア中央銀行声明全文です。(ロイターより転載)

 本日開催された理事会で以下の通り決定した。
1)キャッシュレートの目標値を10ベーシスポイント(bp)に維持し、為替決済残高の金利を0%に維持する。
2)週40億ドルのペースで国債を購入し、少なくとも2022年2月中旬まではこのペースで購入を継続する。

 オーストラリア経済は、デルタ株流行による後退から回復しつつある。高いワクチン接種率と充実した政策支援がこの回復を支えている。家計消費は力強い回復を見せており、企業投資の見通しも改善している。オミクロン株の出現は新たな不確実性の原因となっているが、回復を妨げるものではないと予想される。景気は2022年前半にはデルタ株感染拡大以前の軌道に戻ると予想される。

 先行指標は、労働市場の力強い回復を示している。求人は歴史的な高水準にあり、企業が人員の採用に難航しているという報告もある。賃金の伸びは回復しているが、全体としては、パンデミック前に見られた比較的低い水準に戻ったにすぎない。労働市場が引き締まるにつれ、賃金の伸びはさらに回復すると予想されるが、回復は緩やかなものになるだろう。失業率が歴史的な低水準にまで低下していることから、賃金の動向には不確実性がある。

 インフレ率は上向いたが、基調ベースでは2.1%となお低水準にとどまっている。総合消費者物価指数(CPI)の伸び率は3%で、石油価格上昇や新築住宅価格の上昇、世界の供給網の混乱により影響を受けている。基調インフレ率は今後さらに加速するが、ごく段階的なものになるだろう。中心的な予想では、基調インフレ率は2023年に2.5%となる見通しだ。

 住宅価格は過去1年間で大幅に上昇したが、上昇率はここ数カ月で緩やかになっている。住宅ローンは過去1年間で6.7%増加したが、より最近では住宅ローン契約額は高水準から減少している。金利が歴史的に低い水準にある中で、貸出基準を維持し、借り手が十分なバッファーを持つことが重要だ。

 世界的には、オミクロン株への懸念から、過去1カ月間に債券利回りが低下した。豪ドルレートは下落し、過去1年間の最安値付近にある。オーストラリアの金融環境は引き続き非常に緩和的で、ほとんどの貸出金利は過去最低水準付近となっている。

 2月の会合では、債券購入プログラムについて検討を行う。豪中銀は2月中旬までに、オーストラリア政府および州・準州が発行する債券を合計3500億ドル相当保有することになり、これらの保有は経済を大きく支える。2月の決定に際しては、プログラム開始時と同様に次の3つの点を考慮にいれる。すなわち、他の中央銀行の行動、オーストラリアの債券市場の状態、そして最も重要なことだが、完全雇用と目標に合致したインフレ率という目標に向けた進捗状況だ。

 理事会は、オーストラリアの完全雇用の回復と目標に合致したインフレ率という目標を達成するため、高度に景気支援的な金融環境を維持することを約束する。インフレ率は上向いたが、基調ベースでは引き続き低水準だ。豪州の賃金の伸びがごく緩やかであることから、インフレ圧力は他の多くの国ほど強くはない。実際のインフレ率が持続的に2─3%の目標範囲内に収まるまで、キャッシュレートの引き上げは行わない。このためには、労働市場が引き締まり、賃金の伸びが現在の水準から大幅に拡大する必要がある。これには時間がかかると思われるが、理事会は忍耐強く対応する用意がある。

 

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