令和4年11月29日(火) 【旧 一一月六日 仏滅】・小雪・朔風払葉(きたかぜこのはをはらう)

天《あま》飛ぶや鳥にもがもや都まで送りまをして飛び帰るもの
  ~山上憶良 『万葉集』 巻5-0876 雑歌

空を飛ぶ鳥になりたいものです。都まであなたをお送りして飛んで帰るものを。

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 太宰府に赴任していた大伴旅人が任期を終えて奈良に帰る時の宴席で、筑前守であった山上憶良が詠んだ送別の歌です。人が鳥のように空を飛びたいと考える理由には色々あるようです。同じ山上憶良も、「貧窮問答歌」では今の境遇から逃げ出したいという庶民の気持ちを、鳥のように飛べたらいいのにと詠んでいます。

世の中を憂しとやさしと思へども飛びた立ちかねつ鳥にしあらねば
  ~山上憶良 『万葉集』 巻5-0893 雑歌

世の中を辛いとか生きているのも恥ずかしいとか思うけれど、ここから飛び出すことはできないよ、鳥じゃあるまいし。

 飛ぶといえば、朝ドラの『舞いあがれ!』は前作から視聴率も持ち直しているといいます。何よりも主人公の成長と前向きな生き方が好感を得ているうえに、登場人物のセリフもよく練られていて、この番組が高評価を受けているのも頷けます。原作とメインの脚本担当は「塔」短歌会にも所属されているという桑原亮子さん。ドラマの中でも登場人物に自作の短歌を詠ませているのも憎いところ。11月21日からの航空学校編は嶋田うれ葉さん、更に佃良太さんへと脚本担当が変わるそうですが、それぞれ脚本家の個性が見えるのも一つの楽しみですね。

飛びたいと思うこころのきらめきに群がってくる金色の鳥
  ~山田雅久(大阪大学短歌会)

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Photo:NHK連続テレビ小説『舞いあがれ!』

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