映画 『ドラフト・デイ』のススメ ~NFLならではのドラフト/戦略バトル~ | アメフト交差点

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日本では、アメリカ最高峰のプロアメフトリーグ、NFLのドラフトの模様を描いた映画が絶賛公開中です!
主演は日本でも人気俳優のケビン・コスナー。
物語に登場するチームやシステム、施設、NFLのコミッショナー以下ちょい役で出てくる人たちはみんなノンフィクションの実在のもの。
ただ主軸となる人物たちは役者さんが演じているし、実在しない人物たちです。
ちょっと境界線が分かりにくいですが、それは是非これを機にNFLに興味を持ってもらって、詳しくなって頂ければ分かってくると思いますw



【STORY(公式HPから引用)】
アメリカン・フットボールのプロリーグ、NFLに所属するクリーブランド・ブラウンズのGM(ゼネラル・マネージャー)、サニー・ウィーバー・Jr.(ケビン・コスナー)は、今まさに人生の崖っぷちに立たされていた。
チームの運営と強化を一手に担う彼は、ここ2シーズンのふがいない成績に責任を感じ、3季目の今年こそは地元ファンの期待に応えたいと願っている。
そのためには12時間後に迫ったドラフト会議で、超大物ルーキーを獲得することが必要不可欠だった。
ところがライバル・チームのGMに苦しい事情を見透かされたサニーは、チームの未来を売り渡す無謀なトレード話に応じてしまい、オーナーの横やりや監督との対立にも心をかき乱されていく。
容赦ないプレッシャーの中で孤立し、キャリア最大の危機に見舞われたサニーは、ついに開幕の時を迎えたドラフトで誰を指名するのか。
サニーの人生のすべてを懸けた決断は、全米を揺るがす大波乱を呼び起こす・・・!

ドラフト・デイ 公式HP STORY↓
http://draft-movie.com/#p/slide8



ドラフト・デイ 公式HP↓
http://draft-movie.com/#p


NFLのドラフトというのは日本のプロ野球などとはまったく違うシステムでして、頭脳戦・情報戦が繰り広げられるところに面白さがあります。

≪NFL独特のドラフトのルール≫
① 前年度弱かったチームから順に選手を指名していける(つまり前年度弱かったチームほどいい選手をとれるから戦力均衡が保たれる)
※指名できるのは1チームのみで、独占的にその選手を獲得できる
② 指名権は、他チームとの交渉で選手や他の指名権も含めてトレードができる(例えば1巡目1位指名権とスター選手3人というトレードや、3年分の1巡目指名権と有能な選手がとれるその年の1位指名権とのトレードも可能)
③ 選手を指名する時間、トレードを検討&申し入れできる時間はわずか10分間

ドラフト・デイ 公式HP イントロダクション↓
http://draft-movie.com/#p/slide7

こういう面白い仕組みでドラフトも成り立ってて、それを分かりやすく面白く描いている映画なので是非劇場でご覧ください!

ただ、日本ではなかなか馴染みがないシステムだし、途中でごちゃごちゃにならないためにも少しだけ解説をしておこうと思います(=゚ω゚)ノ
(物語の本筋に関わるネタバレはないので、まだ見られていない方もご安心下さい)


まず主人公の
サニー・ウィーバー・Jr.(ケビン・コスナー)と指名前の調査について紹介しておきましょう!


彼はクリーブランド・ブラウンズというチームのGM(ジェネラルマネージャー)として登場します。
NFLのGMは主に選手やコーチの獲得・解雇、ドラフト指名の分析と決断がメインの業務。
チームによってはオーナーや球団社長・副社長、HC(ヘッドコーチ)が兼任するケースもあります。
ただ基本的にはGM職として独立しているケースが多いかな。
もちろんGM一人では全米中の指名候補の大学生たちを調査しきれないので、作中でもサニーから「調べろ!」「不安要素を探せ!」とゲキを飛ばされていたような人たち、スカウトチームの面々が1年中候補となる学生選手たちの調査を行っています。

特に指名候補になりそうな選手たちに関しては、選手としての能力を測るために試合のビデオを見たり、40ヤード走やベンチブレスなど身体的な能力を勘案するためのデータを集めたり、素行に問題はないか、チームの中で不和を起こしていないかなどあらゆるところまで徹底的に調べ上げます。
最終的な決断はGMやオーナーに一任されるところが多いですが、彼らスカウトチームの働きがなければ有効なドラフト指名ができないので陰の主役と言ってもいいかもしれません。

もちろんこれだけですべてが決まるのではなく、ドラフト本番(4月末~5月上旬の3日間に分けて開催:初日‐1巡指名/2日目‐2巡・3巡指名/3日目‐4巡~7巡ラストまで指名)までに様々な形で選手の能力や人格を見れる・見せれる機会があります。
例えば、2月に行われるスカウティングコンバイン
これは候補生たちのいわば「体力測定会」。
40ヤード走・ベンチブレス・垂直跳び・立ち幅跳び・3コーンドリル・シャトルランなどを行いそれぞれ記録を取られます。
これで評価を一気に上げる選手もいれば、有力候補だったのに下げてしまう選手も。
あとは手のサイズや身長・体重も記録されたような気がします。
とにかくここでは身体的な能力を洗いざらいみられる場になるということですね。
(もちろん試合になれば良くなる選手/悪くなる選手も多くいるので、コレだけでは測れませんが)

さらに指名候補者が多い各大学では、「プロ・デイ」と呼ばれるイベントが開催されます。
これは各チームのGMやスカウトチームなどを呼んで、大学が独自に体力測定や各ポジションの選手のアピールが行います。
特にパスのアピールなどは、やり慣れたQB(クォーターバック:パスの投げ手で攻撃の司令塔)とWR(ワイドレシーバー:パスの受け手)の間でパスプレーの展開が出来るのでより「良く」見せれるということもあります。
1巡目上位指名の候補者がいる大学ほど、NFL32チームの中から多くのGMやスカウトチームが訪れます!

そしてそして、大事なのが個人面談。
NFLの各チームがそれぞれ興味のある選手を呼んで、様々な質問をしてその受け答えや理解力からその人物がどういう意識を持っているのか、何か指名を確信づけるもの・指名したら危険だなと思わせるような問題点があるかないか、などを調べます。
チームによっては具体的に試合のシチュエーションを想像させて、どういうプレーをするか、などを尋ねたりもするようです。

これらを経て、あのドラフトの場面に移るわけですからこの間にも色んなドラマがあるということです!!
(正直映画の中ではどのチームも調査不足と言わざるを得ませんがww、あんまり深入りするとNFLを知らない人が見れなくなっちゃうのであれぐらいが適切かと思います。)


さて、ここまでがNFLドラフトの概要とGM職・スカウトチームの仕事の紹介。
映画の紹介というよりはドラフトについての軽い解説になりましたね(笑)
では、最後にちゃんと映画に出てくる有力な指名候補者3人を紹介しておきます!


最有力指名候補:QB ボー・キャラハン ⇒ オフェンスの選手


NFLでも活躍間違いなしと太鼓判を押されている、身体能力の高いQB。

作中では「アンドリュー・ラック以来の逸材」とも言われていますが、このアンドリュー・ラックという選手は2012ドラフトで実際にインディアナポリス・コルツというチームに1巡目1位指名された選手でして、10年に1人の超優秀なQBでまず指名して間違いはないというくらい最高の評判を得ていた選手。
入団以来この3年間連続でプレーオフまでチームを率いており、評判通りの大正解でした。
そんなラック以来の逸材との評判なわけですから、1位指名候補でも納得ですね。
しかしながら、このキャラハンという選手には人格的な問題が…?
QBというポジションはチームの司令塔にもなるので、人としての問題が無いかどうかというのも大きなポイント。
ただここまで人気が出ている選手だと、ファンも喜んで試合を見に来るので弱小チームにとってはチケットの売り上げとかそういう経営面でも助かる選手なのでオーナーは気に入りますよね(笑)
人気の指名候補者はそういうことも評価の対象になってるかも。
さて、各チームは彼をどう評価するのでしょうか!


有力指名候補:RB(ランニングバック:主にボールを持ってラン攻撃をする役割) レイ・ジェニングス ⇒オフェンスの選手


快速がウリのこの年1番のRBという評価。
ただこの人は大学時代にケンカで人を殴ったという騒動を起こしており、素行不良が心配されています。
あとケンカで殴っちゃうと手や腕を痛めるおそれもあるから、その辺も気にされているところ。
ブラウンズHC(ヘッドコーチ)のペンという人が彼の獲得を強く推していますが、それによりGMのサニーとの対立も。
ちなみに、このジェニングスという選手を演じているのは現役で実在のアメフト選手、エアリアン・フォスターという人。
ヒューストン・テキサンズ所属ですが、彼自身はドラフトで指名された経験がありません。
というのも、ドラフトで指名が漏れた選手の中で見込みがある選手は「ドラフト外入団」という形でチームに入れることもあるのですが、ほとんどは試合に出させてもらうこともなく解雇されてしまいます。
しかしフォスターはコーチや戦術との相性が良かったこともあり、いまや現役RBの中ではTop5に入る優秀な選手。
実際の彼は素行も問題ありません(笑)
さて、そんなフォスターですがレイ・ジェニングスとしてはちゃんとドラフトで指名してもらえるのでしょうか?


指名候補:LB(ラインバッカー:守備の二列目からパスラッシュやラン攻撃のストップなど、マルチに働く役割) ボンテ・マック ⇒ ディフェンスの選手


彼は1巡目の中旬までに指名されるかな?というくらいの評価のようですが、おそらくこの年のニーズとかの兼ね合いもあってLBというポジション自体がそれほど指名されそうにないのでしょう、あのチームから指名されなかったら2巡目3巡目に落ちてくる可能性もあるね、という専門家の評価のようです。
華があって集客面でもプラスになるオフェンスの選手ではなくディフェンスの選手であるということも、弱小チームが揃う上位指名では取られないかもっていう懸念材料になっているのでしょう。
ただ人物としては非常に素晴らしく、死去した姉の息子たちの世話をしたり祖母の移動の負担を考えてドラフト会場に行かなかったり、家族思いでプレーに打ち込む姿勢も良い様子。
サニーが1番好感を抱いている選手のようですが、保持している1巡目6位指名権で彼をチョイスするのでしょうか?


この3人の指名候補者をどうチョイスするのか、トレードや現在所属している選手との兼ね合い、そしてオーナーやHCの圧力の中でGMのサニーが誰を選ぶのか、この辺を見て頂ければ面白いです‼

もちろんドラフトがすべてではなく、1巡目上位で指名された選手がまったくの期待外れに終わったり、先ほど紹介したレイ・ジェニングスを演じているフォスターのようにドラフト外の選手が活躍するケースもあります。
これはコーチや戦術との兼ね合い、チャンスに恵まれるか恵まれないか、チームの状況など様々なものが関わってくるから。
しかしドラフトによってチームの明暗が分かれるのもまた事実。
いかにいい選手を取るか、どうやってとるか、リスクをしょってでもその選手を取りに行くのか、安全策を取るのか、など


最高の頭脳戦・情報戦が繰り広げられるのがNFL ドラフトです!!


この映画で興味を持っていただけることを期待しています。
また、当ブログではアメフトを知ってる人・知っていない人どなたでも映画の感想や質問もコメント欄にて受け付けていますので是非是非ご利用下さい(≧▽≦)!