新ババコ戦記6 | BOOGIEなイーブニング!

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自宅のトイレに縦横無尽に設置された、母親の転倒防止用の手すりを見ながら、俺は自問自答を繰り返していた。


本当にこのまま手すりに囲まれて安全に暮らしていればいいのか。


牙だ。

あの時、確かに持っていた、

野生の牙を俺は失っていた。


 新ババコ戦記で俺は新しい敵と出会った。

 新しい敵とは、勤めているビルの共同トイレのドアノブに水滴をつける奴らだ。ジャンボ鶴田にそっくりな3階のおっさんや若いチャラついたあんちゃん、そしてハゲたおじいさんなど、ほぼ全員がオシッコのあと手を洗い、その手をハンカチで拭かずにドアノブを握る。ドアノブにはアサヒスーパードライのような絶妙なしずる感が出るが、次に使う者は、その〝どんな成分が含まれているのか分からない水滴〟が手に付着してしまうという罰ゲームを背負わされる。

 俺はそれをあらかじめ用意したティッシュで拭いて回避していたが、おっさんが俺の目の前でドアノブを濡らした時に脳がパチンと音がして意識が変わった。


 コイツらバカは俺が教育しないと埒が明かない。


 オシッコやウンチをしたら手を洗い、濡れた手はハンカチで拭く。

 こんな幼稚園で最初に教わるようなことから教育して叱ってしてやらないとダメなのだ。ならば、店のルールをベタベタ貼っているあの口うるさいラーメン屋や居酒屋のごとく張り紙をしてやればいい。それもやつらが濡らしていたドアノブのすぐ横に。

 俺はチラシを自作し、それをドアノブに貼り付けた。最初こそこのチラシに水をかけたりと心無い抵抗にあったが、奴らも堪忍したのかいつのまにかドアノブが濡れなくなった。

 そしてついに普段は絶対にハンカチなど持たぬであろう安っいコナカのスーツを着たハゲオヤジまでもが得意げに手を洗いハンカチで手をパンパンと拭きトイレから出て行った。

 俺は感動した。飢饉に見まわれたアフリカの国に支援物資をただ送るだけではなく、現地で農業を教えた青年ボランティアのような気分だ。


 未来へ続く轍。


 明日へかける虹。


 輝ける未来へ。


 そのぐらいの清々しい気分だ。

 居酒屋のトイレのピースボートのポスターより、俺のチラシには効果があったのだ。

 だが、その効果とは裏腹に俺のチラシは確実にダメージを追っていた。想像してみてほしい。毎日、毎日、何度もザ・ベストの表紙のようにハンカチを持たない野蛮なやつらに水をかけられるのだ。

 俺のチラシは不潔なおっさん達の恨み辛みの全てを背負い込み、コンバットアーマーダグラムのように最期は燃え尽きていた。



 これだけダメージを受けるということは、それだけこのチラシが効いてる証拠である。キックボクシングのセコンドみたいに「ロー効いてるよ、効いてる、効いてるよ」としつこくアドバイスしたいほどだ。


 そろそろ新型コンバットアーマーの投入だ。だが、安心してほしい。前のデータは取ってある。

 サマリン博士!太陽の牙ダグラムは量産化に成功したのです。

 そして、これは俺からのプレゼントだ。毎度このドアノブのシズル感に悩まされている諸君らにも無償でこの商品「ドアノブシズル化防止装置しずるくん」を提供しよう。


ドアノブシズル化防止装置しずるくん

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 この画像をすぐさまダウンロードし、プリントアウトしてトイレ内のドアノブの横に貼ってくれたまえ。

 たちどころにドアノブのシズル感は無くなるだろう。

 しずるくんがボロボロになったらまたここに来るがいい。