柳下童子図屏風:池大雅の世界

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「柳下童子図屏風」は八曲一隻の大画面に、粗末な橋の上から水面を覗き込む二人の童子を描いたもの。水面をはさんで、彼岸には柳の葉が垂れ、此岸には笹の葉が繁る。柳の葉は水面に影を落としているが、このような水面の描き方は、従来の日本の絵には見られないところで、大雅の独創性が指摘される。この絵をモネの睡蓮の絵の先駆的作品と言う者もある。

大雅四十代後半の最も油の乗った時期の作品と思われる。ぼかしと点描を組み合わせた大雅特有の技法や、一筆書きでさっと橋を描くところなど、高度な洗練を感じさせる。

落款記に「擬如雪道人筆 瓢鯰図」とある。如雪は相国寺にいた南宋画の画僧で、義持のために「瓢鯰図」を描いた。大雅はそれを真似したというのだが、この絵には如雪らしいところはあまりない。(129.8×343.4cm 紙本墨画淡彩 八曲一隻)

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これは、童子の部分を拡大したもの。童子たちの視線の先にいるのは、小魚だろうか、それとも蝦の類だろうか。大雅はさらりと一筆で描いているので、形は明らかではない。見るものの自由にゆだねているようである。






コメント(1)

壺斎様
 子供が水面を無邪気に覗き込み魚を取ろうとしているの。八曲一隻の屏風の大画面に無邪気な子供を描く、無為自然の姿であろうか。池大雅が憧れる老荘の世界が表現されていると思う。
 2016/9/11 服部

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