引退するパートさんがいて

 

求人募集を始めた店がある。

 

 

 

二人の方が

 

面接に来られた。

 

 

 

うちの会社の

 

求人募集の流れは、

 

本社人事部で、

 

全店の求人応募者の受付をして

 

その後、

 

面接は

 

現場で行われる。

 

 

 

事前の人事部の評価は、

 

Aさん とても志望動機がしっかりしており、良い印象。

 

Bさん 声は小さく、志望動機もあいまいで厳しそう。

 

 

 

わたしは、

 

人事の人間に、

 

Bさんの面接をする意味があるのかと尋ねた。

 

 

 

人事は、

 

いちおう やってみて ダメならしょうがない。という失礼な話だった。

 

 

 

 

どちらの方も若く

 

大学を出ており

 

正社員を目指すほうが自然。

 

日本の闇を感じる。

 

 

 

さっそく

 

人事部の評価の高かったAさんの面接を行う。

 

 

美人さんで

 

会話も流れるような感じ

 

大企業で受付をやっているような

 

素敵な方だった。

 

 

 

わたしは、

 

現場で面接をするとき

 

仕事をする人々に、

 

すべて話が聴こえる場所で行う。

 

 

現場は正直。

 

 

いい人の場合。

 

”ぜひ採用しましょうよ。” と、おせっかいにアドバイスしてくれる。

 

 

今回、

 

その美人さんの面接が終わり

 

周囲を見渡すと、

 

みなさん

 

。。。。。。

 

 

黙々と仕事をされていた。

 

 

 

次に

 

人事部の評価の非常に低かったBさんがやってきた。

 

 

履歴書を拝見すると、

 

大学を卒業後、

 

職を

 

1年以内に転々と渡り歩き

 

現在は、

 

清掃会社に勤めている方だった。

 

 

表情は暗く

 

声は、聞き取れないほど小さかった。

 

 

 

 

 

なぜ

 

清掃会社から

 

まったく

 

違う仕事をしようと思ったのかを質問する。

 

 

 

小さい

 

消えてしまいそうな声で

 

 

 

”もっと

 

 自分を成長させたいと思ったからです。”

 

 

 

わたしは

 

この一言で

 

Bさんの採用を決めた。

 

 

 

面接後、

 

ぐるりと周囲を見渡すと、

 

 

○○さんなら

 

きっと採用したいと

 

言うと思いましたよ。

 

 

○○さんは、

 

チャレンジャーが好きですからね。(笑)

 

 

 

 

不採用のAさんに電話を入れる。

 

 

電話は

 

つながらなかった。

 

 

 

ほっとした。

 

 

お見送りの電話は、

 

つらいから。

 

 

 

現場のスタッフに

 

採用する子は、

 

みなさんの子供くらいの年齢で

 

まだ

 

仕事の成功体験が無く、

 

仕事の面白さを味わっていない。

 

 

みなさんの力で

 

仕事の楽しさを

 

若い彼女に伝えてあげてほしい。

 

 

自分の子供だとおもって

 

育ててほしい。

 

そして、

 

彼女のご両親を安心させてほしい。

 

 

 

その後、

 

人事にBさんを採用、

 

Aさんは不採用だと伝える。

 

 

と、

 

 

人事の人間は理解できず

 

Aさんを不採用にした理由と、

 

志望動機が希薄で、声の小さいBさんを採用とした理由を、

 

細かく聞いてきた。

 

 

さすがに

 

人事に

 

人を見る目が無い。とは言えないので

 

Aさんは、その後、連絡が取れなくなってしまった。と話すと、

 

人事も、それ以上、Aさんの不採用理由を聞くことはなかった。

 

 

 

こうやって

 

人事に

 

逆らっているから

 

いつも

 

社長から

 

お前は、

 

社内で敵が多く、嫌われているな。と言われる。

 

 

 

 

 

 

松下幸之助(現在のパナソニック創業者)の

 

人材育成の話が深い。

 

 

 

1960年、

 

米国の未来学者、


ハーマン・カーン氏が来日することになった。



 

”21世紀は日本の時代になる。”と主張していたアメリカの学者だった。


 


ハーマン・カーン氏は来日するにあたり、

 


松下幸之助と対談する予定が組まれていた。



 

松下幸之助は、

 

部下に訪ねた。


 

”きみ、 

 

 ハーマン・カーンさんという人が今度くるんやけどな、どういう人物か知っとるか?”



 

部下は答える。

 

”その人は、アメリカのハドソン研究所の所長さんで、未来学者です。


 21世紀は日本の時代になると言っている人です。”


 


部下の説明を聞き終わると。。。

 

 

松下幸之助は、


 

”ああ、そうか”


みじかく

 

答えた。



 

そして

 

次の日


また

 

松下幸之助は、

 

同じ部下に、

 

同じ質問をした。


 

”きみ、 

 

 ハーマン・カーンさんという人が今度くるんやけど、どんな人物か知っとるか?”

 

 

 

部下は、

 

また、

 

昨日と同じように答えた。

 

 

 

 

すると、


また

 

次の日も

 

松下幸之助は。。。

 

 

” きみ、ハーマン・カーンという人が来るんやけどな。。。”




 

部下も、

 

さすがに、

 

イラッときた。

 

”ですから。。。

 

 未来学者で。。。

 

 21世紀は日本の時代だと言っている人です!”



 

 

松下幸之助

 

”そうか”


幸之助は

 

小さくつぶやいた。



 

 

そのあと、

 

部下は、

 

ふと

 

考え込んだ。



 

なんで、

 

社長(松下幸之助)は、

 

なんども、なんども、な~んども

 

わたしに

 

同じ質問を繰り返すのだろう。。。



 

。。。まてよ、

 

もしかしたら

 

私の答えが不十分だからではないか。。。

 


きっと

 

そうだ。

 

そうに違いない。


 

部下は、

 

さっそく

 

ハーマン・カーンの書いた分厚い本を書店で買って、

 


その日、

 

深夜3時までかかって読み込んだ。

 

そしてレポート用紙3枚にまとめあげた。


 

さらに

 

高齢の松下幸之助のことを考えて、

 


テープレコーダーに、

 

まとめたレポートの内容を録音した。


 

すべての作業が終わったとき。。。

 

 

空は明るくなっていた。



 

部下は、


なんとか

 

社長(幸之助)が、

 

また

 

同じ質問をしてくれないものだろうかと祈った。。。


 

すると、


出社して、

 

まもなく、

 

 

松下幸之助が近寄ってきた。

 

そして、


 

”きみ、今度、ハーマン・カーンという。。。。”



 

すると、

 

部下は、


 

待っていましたとばかり!


 

”ハーマン・カーンさんですね!”



 

すると、幸之助

 

”そやっ ”


 


ハーマン・カーンについて、まとめたレポート用紙を取り出して、

 

部下は30分ほど説明した。


 

松下幸之助は、部下の話を聞き終わると、


 

とても

 

大きな声で


”ようわかった。” と言って笑顔で深くうなずいた。


 

そして、

 

部下は、

 

もし、

 

よろしければ。。。


と言って、

 

松下幸之助に

 

レポートの内容をまとめた録音テープを手渡した。


 

 

翌朝、

 

部下は、

 

社長(松下幸之助)が車から降りてくると元気よく挨拶をした。


 

すると、

 

松下幸之助は、

 

開口一番、笑顔で、



”あんた、いい声しとるなあ~ ”




部下は、

 

この瞬間


 ”この人のためならどんなことでも努力しよう。”と思ったという。


 


松下幸之助は、

 

部下に。。。

 

”もっと詳しく調べてみろ!と言ってもよいところを、

 

 あえて

 

 何度も、何度も、同じ質問を繰り返し部下の”気づき”を待っていたのだった。


 

 

 

松下幸之助の有名な言葉がある。

 

 


   ”松下電器(現在のパナソニック)は、

 

   人をつくる会社です。

 

   あわせて

 

   家電も作っております。”