長靴登山家の山之介です。

 

 2月最後の土曜日は晴れ予報。

 

 当日朝までどこを登ろうか悩んでいました。

 

 しっかり5~6時間ほどスノーシューで登るか、3時間ほどを自作のわかんで登るか。

 

 ただどちらの山に行くにしても最近登っている方は居ないようで全く様子がつかめません。

 

 朝の天気予報を見ていると県東部は午前中は曇りだけど、県西部は晴れやすいとの事で元々考えていた「高坪山」に決定しました。

 

 曇りどころか朝から西の方は晴れています。

 

 「五箇山トンネル」前の「高落場山」の冬の登山口駐車場にはすでに10台ほど。

 

 ここは晴れれば大人気ですねー。

 

 「たらいスキー場」の一番奥に車を止めます。

 

 「お!先行車が1台か。」

 

 ここから先は除雪されていないのでこの雪の壁を乗り越えて行きます。

 

 9:45 今日も遅い出発。コースタイムは夏で5時間ほどだから今の季節なら6時間強で帰りは16:30頃か。

 

 トレースが付いていますね。車は1台しか止まっていないけれど足跡から3~4人ほど入っている感じです。

 

 スノーシェッドの中にブル。このブルは毎年ここで冬を越しています。

 

 ここ一般道なんだけどね。無料の車庫になってるよ。

 

 預けておくんなら登山口まで除雪して欲しいよ。

 

 このブルのところで今日は早々にスノーシューを履きました。

 

 「さあ、がんばるぞ。」

 

 と、意気込んだら雪が降って来た。分かります?

 

 さすが「五箇山」だ。

 

 ここを進めば「高坪山」に登って周回コースを回れるんですが、今日は別から登ろう。

 

 ちなみに昨年の今頃はここから普通に登っていけました。

 

 雪融け水で地面が露出している所も。少ない場所でも50cm積もっていますねー。

 

 たぶんここが夏の登山口。

 

 一応、デジタルマップで確認してここから登ります。

 

 

 見た目あれだけどもの凄い急傾斜です。スノーシューの爪が全然効かない。

 

 ガシガシ必死に登ってここまで。分かりますあの茶色い所が登山口のある高さです。

 

 さらにがんばってもう1段高みまで上がりました。ずっと向うは「高落場山」です。

 

 ガスっているんじゃなくて雪が降っています。

 

 ようやくひと息つける平坦な場所。

 

 休んでいたらまた雪が降って来ました。写真では少ないみたいですが普通に吹雪状態です。

 

 ウサギすら歩いていないバージンスノー。これ左はきっと雪庇だね。

 

 風も強くてとにかく寒い。温度計は2℃ですが体感温度はそれ以下です。

 

 スノーシューに付いた雪はサラッサラのパウダースノー。

 

 右手に見えているのは冬場に人気の「道谷山(どうだんやま)」。

 

 登山道がなく積雪期にしか登れないのですが、あの山は雪崩とクレバスの巣窟となっています。

 

 自分の技量では無理。

 

 あの木を越えれば林道に合流出来るはず。

 

 影と向うの木の角度でここの傾斜が分かるかな?

 

 RVスコップはサクッと15cmくらい雪に入って止まります。

 

 これってあれですよね。下に硬い層があってその上に新雪が15cmほど積もっている。

 

 2層になっていて斜度45~50°近く、今の状態は表層雪崩が起きやすいってことです。

 

 10:35 このリボンが林道との合流点です。

 

 夏場いつも左に見えていたこの稜線の右先が

 

 今日目指す「高坪山」です。

 

 「高坪山」の真下の谷は雪崩の巣窟でした。

 

 さあ、ここから1時間ほどは林道歩き。

 

 その林道がここにあるのですが右手の斜面からの雪で斜めになってしまっています。

 

 カチカチに凍っていてここを約1時間もトラバースして行くのにはスノーシューでは到底無理。

 

 ピッケルまでは必要無いにしても最低アイゼンが無いと無理。

 

 滑り落ちれば約200m下の谷まで一気です。

 

 さあ、どうする?

 

 はい、すぐに撤退です。無念ですが撤退です。

 

 ソロの今の自分の技量ではこの先は無理っす。

 

 さあて引き返すとしても元来た道を戻るのも嫌なので右手の林道を降りようと思いましたが、たぶんこっちもこの先で斜めになってトラバースだと思います。

 

 1番安全なのは登って来た坂を下る事ですね。

 

 振り返ってあの山が「たいらスキー場」のある山で、

 

 真下の谷の蛇みたいに見えるのが小川でしょうね。

 

 10:45 ここまでたった1時間の山行でしたが帰ります。

 

 命あってのものだねです。

 

 「高落場山」を見ながら下山です。

 

 もう一度言います。命あってのものだねです。

 

 登って来る時の左手、今は右手に当たる部分はやはり雪庇でところどころ雪崩れて崩れていました。

 

 しかし寒い。温度計はどんどん下がって1℃切りました。

 

 さあて、ここから先はスノーシューを脱いで下る事にしました。この斜面スノーシューで滑ってしまうと200mくらい下まで真っ逆さま。

 

 壺足なら膝まで埋まるので滑り落ちる事もありません。

 

 この斜度ですからね。

 

 命からがら降りてなんとか登山口まで戻って来ました。

 

 

 ただ、このまま帰るのはもったいないので「道谷山」の取り付き点を見に行く事にしました。

 

 谷の左手が「道谷山」なのですがトレースは向うの山の方に向かっています。

 

 10分程進むと向うから1人戻って来られました。

 

 『あんちゃん、今から行くんかね?』

 

 「もう行って来られたんですか。取り付き点はどこか分かります?」

 

 『それが分からなかったから引き返して来た。』

 

 「でもトレースはまだ3人ほどありますよね?」

 

 『その人たちはスノボーで先に入ったんだけど分からんと言って早々に帰って行ったよ。』

 

 「じゃあこっちに進んでも取り付き点はどこか分からないって事ですか?」

 

 『あんちゃんがもうちょっと早く来てくれたら一緒に登れたのにな。初めての場所を独りで登るには無理やったわ。』

 

 と、ここで一緒に引き返すことになりました。

 

 その方は65歳くらいの人なんですがこの山域には詳しくて、冬の「高坪山」の登り方を教えて下さいました。

 

 『あ~あの先林道行ってたらあんちゃん落っこちていたよ。あそこはもう1段上の稜線に登って迂回するんだ。」

 

 せかっくだから2人で「道谷山」の取り付き点を探しにちょっとウロウロしましたが、イマイチ分かりませんでした。

 

 ネットでは細尾根を登ってクレバス見ながら進むらしいのですが・・・。

 

 このようにところどころ雪崩れて地面が露出していますからね。

 

 どうにも寒くなって来たので帰ります。

 

 あのおじさんはまだ諦めきれないようでずっと向うを見ています。

 

 仕方ないので1人で帰って行くと今度はスノボーを背負ったソロの方が「道谷山」を目指して進んで行かれました。

 

 あの山はスノボーで下るのは無理なのに。

 

 12:00 下山です。

 

 下山までのログ。青矢印が敗退した林道合流点で、黄色丸が「道谷山」山頂。赤矢印2ヶ所がおじさんと取り付き点を探しに行った場所です。

 

 

 敗退した「高坪山」のログ。

 

 

 下山すれば晴れて来るの”あるある”は今日も健在。

 

 車の中にいれば暖かいほどの陽射しですが、外は風がとても冷たかったです。

 

 

 

 今日は敗退しましたがこれは次につながる経験と決断だと思います。

 

 

 

 明日28日(日)は今日以上の晴れ予報で最高気温も15℃近くまで上がるようですが、家の雪囲いを外したり融雪ホースを仕舞ったりしなきゃいけないので今月の山は今回が最後です。

 

 

 

 

 山之介

 

 

 

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