医師の皮を着た金の亡者⑩

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3度目の手術入院がやってきた。
いつものように大学病院に、術前1週間、術後2週間である。

いつも同じ階の同じベッドに入院しているため、担当看護師が新人以外変わらないので、入院の日の挨拶は「おかえり〜」である。

なんとも不謹慎な言葉を使うなあ…と呆れはするが、軽くかわしていた。

表向きはくよくよしない明るい性格を装っているため、誰にも私の内はわからないので、こういう言葉を簡単に発するのだ。


入院時、私はあまりというか、ほとんどテレビは観ない。

もともと家でもテレビを観ることはあまりない。

今回もそれは変わらなかったが、この時初めてタブレットを持ち込んでいた。


弟が使わないものを貸してくれたからだ。

私はそれを用いて、調べ物をしつくした。

自分の身体のことだ。


手術を受けても固くならない肩をはじめ、膝や足首なども簡単に外れる。

I医師にかかっている限り、他の医師は、性格に難はあるが、診立てや腕は間違いないというのである。


私はやり直しの言葉を聞いた時、間違いがないかどうかに疑問を持っていた。

だから、ネットで調べられるだけの論文を読んだりして、自分の身体の柔らかさは他の何らかの病気ではないかと疑問に思ったのだ。


調べていくうちに、だんだん病名が絞れてきて、ある難病に行き着いたのであった。


エーラス・ダンロス症候群。


遺伝性の難病で、組織の脆さが主な病態で、合併症の種類もなかなか多く、もちろん治らない厄介なものである。


いろいろ読んでみた限り、合併症と思われる症状もいくつも当てはまり、何より関節の症状はピタリである。


私はこの病気に間違いないであろうと当たりをつけ、医師に問うてみた。


しかし、返ってきた言葉は「絶対あり得ない。そんなことを僕が周りの医師に話したら馬鹿にして笑われる。患者はすぐにネットやなんかで自分で調べて医師の言うことをきかない。そんなことでわかるくらいなら僕らはいらないんですよ。」だった。


ここまで完全に否定されると、手術前だったこともあり、へそを曲げてなにかされても困るから、その場は笑って誤魔化すしかなかった。


馬鹿げたことを考えず、手術後のリハビリのことを考えろと言われて終わったのだった。


その後、疑いが晴れることはなかったが、看護師や理学療法士などに話してみても、I医師が違うと言うなら…と、誰一人として私の話は聞いてくれなかったのだ。


そうして3度目の手術が行われ、普通の倍の10箇所をガチガチに縫われたのだが、それでも固くなったという感覚は皆無で、不安しか残らなかった。


普通の人は術後の装具固定は4週と決まっている。

だが、私は前の手術後それでは全く固まらなかったため、10週装具固定となり、今まで以上に飲食店の復帰も遅くなってしまうこととなった…。


相変わらず関係ない部位のリハビリに終始し、肩自体は可動域訓練は必要なしで、筋トレに重点をとなっていた。


装具を外せば、どこの術後なのかわからないリハビリばかりをしていたのだ。


もちろん10週の固定がなんなのか?というくらいに、すぐに可動域は普通以上になり、理学療法士はそれを止めるための筋トレを強化していった。


理学療法士としても、動かないのを動くようにすることが主な仕事なので、動きすぎるものをどうこうするというのは、教科書にもないようで、毎回私のために何かしらの筋トレだったりを考えてくれはするが、ネタはすぐに尽きてしまったのだった。


そんなとき普段は大学で教鞭をとっている理学療法士が、たまたま後輩の指導にやってきて、みてもらうことになった。


肩や足の関節の状態や、筋肉を触っていろいろ動かしてみて、「いくら筋トレしても筋肉も固くなることはないだろう」と言ったのである。


それほどに柔らかいのだが、全身がその状態だと立つこともできない。

私はそれを背中を固めることで保っていると初めて言われ、一度どうなるか片方だけほぐしてみようと言われて、右側だけ丁寧にほぐされた。


固めていると言っても、根本的に硬いわけではないので、ほぐすとすぐに柔らかくなる。


その日の帰り道、私はまっすぐ歩くことができなくなった…。

どんなにまっすぐ歩こうとしても、左に進んでしまう…。


片方だけほぐしたから…そちらに力が入らず、バランスがくずれてしまったのだ。


とても怖い思いをしながら、なんとか家に帰り着いたが、その頃から、リハビリが怖くなってしまった。


それでも行かなければと、頑張りすぎて…精神が疲れた。

そして、気がつけば言葉が出なくなっていた。


精神的に病んでしまったことに、母がさすがに病院までついてきて、I医師に抗議したが、「それは精神科に行ってください。僕の分野ではありませんから」とバッサリ切られてしまったのだ。


でも、リハビリ病院の医師は親身になってくれて、遠くまで来ることが重荷なら、近くを紹介しますと、近院を手配してくれた。


I医師の手前、大っぴらにできないが、そうしてくれて、月一だけはうちに来てくれるかな?と優しくはなしてくれた。


やがて言葉ももどり、なんとかリハビリにも通い続けていたが、大学病院の医師は右肩も緩んできているのでやり直さないといけないと言い出したのだ。







あ〜も〜最低〜!!!

こんな医師のいうこときかなきゃいけなかったなんて……どこが腕のいい医師なのよ?

何の辺が診立てがいいの?

難病って私が気がついたのに、なんで頭から笑うんだよ!!!

医師の資格ないよ。

やめてしまえ!!!

と今では心底思ってますよ。


大学病院でも手術したおして、他の病院でも同じくで

金儲け金儲け………

患者は誰でも手術適応なんだから…

そんなことあるわけない。


私我慢しすぎ、もう嫌、周りもひどい。

みんな嫌い。

って感じな。