医師の皮を着た金の亡者⑬

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装具を外す期限がやってきた。

休日の関係で。結局13週固定していたのだが………


やはり全く硬くなっておらず、装具を外すなり、ぐ〜んと腕は上げられる状態であった。


医師はその状態を見てとるや、途中で上から押さえつけて、腕を上げるのを阻止し、今後のリハビリで一切の稼働訓練はしないことと述べた。


術後のリハビリと言えば、固定していて硬くなってしまった関節や筋肉をほぐして、可動域の改善をはかるが、それが必要ないとなれば、今までの術後のリハビリも全て否定されたも同然だ。


4年間も何をやっていたのか……


しかも、筋トレと称するリハビリも必要ないと、リハビリそのものが無駄だからやめると言われた。

今後また肩が脱臼することがあったとしても、これ以上は何をすることもない、外れたら外れたで、そのまま放置だと言われたのだ。


投げやりのように放り出されたようなものなのに、医師の診察は続く………

何ら変わることなく、毎月大学病院へと通わされていたのだ。


その状態が数ヶ月続いた後、いきなり「次の診察からはこっちに来てもらうから」と紙を渡された。

それはI医師の実家の、元産婦人科病院であった。


I医師は、ずっと教授の座を狙って大学病院に残っていたのだが、准教授まではいけても、その上の教授には何度王手がかかっても届くことはなかった。


自身の性格や態度が災いしているとは全く考えず、順番がきても教授に上がれないことに業を煮やして、一国一城の主であることに切り替えたのだ。


周囲のI医師を知る人間は、影で教授になれなくて逃げた、と笑っていた。

そういうことをされるような人格の持ち主なので、教授になど推薦されるわけもないのである。


産科を整形外科に変えて開院したその病院で、I医師はそれまで教授になるべく、大学病院では我慢してきたことを、一気に解放することになるのであった。










ここからやで〜

金の亡者の本領発揮はね(笑)