新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

日本陸上選手権を見て考えた

2023-06-06 07:53:09 | コラム
何故日本の100m走者は常に10秒を切れないのか:

先週末に箱根の山中で静養中は、高さのためか台風のためか知らないが、テレビが綺麗に写らないので、正常に受信できるNHKかBSだけを見ていた。

そこに男子の100m走の予選が出てきた。一緒に見ていた元Xリーグコーチ(フットボールのである)と異口同音に「出てくる者出てくる者が皆ほっそりした体格だ。あれでは全力で走っているときに受ける空気圧(風圧?)に抵抗しきれないだろう」だった。そこで言いたくなったことは「トレーニングと練習は違う」ということだった。

100mのような短距離を走る場合には余程体幹を鍛えてがっしりした体格に仕上げ、ある程度以上の体重にしておかないと、空気圧の抵抗で上体が多引き起こされて、中々前に進まなくなるのだ。例えば、当方のように高校時代には50kgあるかないかの体重だったのでは全力で走ろうものなら、その抵抗に圧されて苦労したのだった。

この競争の世界記録保持者のウサイン・ボルト(ジャマイカ)や1988年にドーピングで失格したベン・ジョンソン(カナダ)のあの凄い体格を思い出して欲しい。岩壁のような上半身だったではないか。あれならば、空気を切り裂いて走れるのだ。

彼と一致した意見の一つが「練習やトレーニング不足ではなく、その方法が誤っているのかも知れない」だった。それは、我が国では未だに指導者の中に「筋トレ無用論」や「ウエイトトレーニングをやりすぎると筋肉が固くなってしまう」と信じている人がいる事もあると思う。それは誤った観念ではなかろうかと危惧するのだ。言いたいことは「練習量の問題ではない」という点なのだ。

論より証拠。これまでに何度か触れたことで、アメリカのIMGアカデミーで鍛え上げられれば、錦織圭のよう体格でも世界的な選手に育った例もあれば、MLBでトレーニングを積んだ大谷翔平のあの鍛え上げられた凄い体格を見れば「合理的なトレーニング」の効果のほどが解るとおもう。我が国では豊富な練習量が良い結果を出す、即ち「練習は嘘をつかない」と言う選手が多い。これが誤りであるとまでは言わない。

だが、「トレーニング」と「練習」は違うにも拘わらず、屡々混同されていると思う。練習する前にトレーニングを重ねてからか、その競技に適した筋肉を鍛えておくべきなのである。また英語が言われるのを覚悟で取り上げれば“training”とは“the process of preparing to take part in a sports competition by doing physical exercises”とOxfordにあるのだ。即ち、皆で集まってティームとして訓練するのとは違う事なのである。

20年ほど前に通っていたジムには、屡々アメリカ人のK-1の選手が来ていた。彼には常にトレーナーが付いてきていて、沢山の異なる種類のウエイトトレーニングの機器を使って文字通りトレーニングをしていた。その際にはトレーナーが時間を計りながら細かい指導をして、ずっと記録を取り続けていた。「なるほど」と思ってみていた。本当だと思うが、関西学院大学ファイターズでは40人の一軍の学生には、それぞれ学生コーチが付いて、細かく記録を取りながらウエイトトレーニングから何から指導しているそうだ。

「間違っていたらご免なさい」で言えば、100m走の選手たちもボルトやジョンソンのような体格に仕上げるようにトレーニングをすれば、より優れた体格に仕上がって、常時10秒を切る能力が付いて「オリンピック参加標準記録」を突破できるようになるのではないのかと思いながらテレビを見ていた。



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