新宿少数民族の声

国際ビジネスに長年携わった経験を活かして世相を論じる。

矢張り経済は回っていなかった

2022-01-18 08:59:28 | コラム
現場を見れば予測していた以上だった:

先週は思いがけぬ事情があって、何十年振りかで都内の一流(御三家以外だが)に数日間泊まっていた。緊急に連泊の予約ができたので、ある程度は閑散としているだろう事は予測できていた。それは、マスコミ風に言えば「コロナ禍のためにインバウンドが不調であるから、ホテルのような観光業(サービス業か)は苦境に立たされている」状況にあるからだと解釈していた。

だが、都内に居住する者としては、デルタ株だろうと新規のオミクロン株が猛威を振るっている最中に、何も危険を冒して現状を視察に行く事もないだろうから、現実を目の当たりにする機会などは滅多に訪れないだろうと思っていた。即ち、経済が回っていない状態は、マスコミ報道を信ずる以外にはないのだ。

それが、実際に午後4時過ぎに正面玄関を通って広いロビーの状況はと見てみれば、2~3人が所在なげにソファーに座っていただけで、リセプションには4名ほど勤務していただけだった。それは、今日まで都内だろうと他の国内の大都市のホテルだろうと、見たこともないが景色だった。「なるほど。これは聞きしに勝る低迷振りだ」と痛感した。ページボーイはいなかった。

6階まで上がって、ややエレベーターホールから遠い客室まで行く間に見えてきたことはと言えば、空室が目立っていたことだった。正直に言えば現今の経済情勢では、この様子は特に驚くべき事ではないのだろうが、ホテル業界の苦境の程が良く解ったのだった。早朝でも何時でもチェックアウトして行く人々には、明らかにビジネスと見える男性もまた少なかった。

宿泊している間に何度もロビーに出たのだが、ホテルと言えばお定まりの目的がビジネスだろうと観光だろうと、数多くいるはずの白人の姿は見かけなった。我々が宿泊した料金も我が国独得の(だと、私は解釈しているが)「一泊一人当たり幾ら」という建値ではなく、一室一泊幾らという非常に経済的というか、かなり格安のお買い得の料金だった。ここにもホテル業界の懸命の不況対策が見えていると痛感した次第だった。

このホテルからは、最寄りのJRの駅までを他のホテルも回っていくシャトルバスが毎時1本出ているのだった。特に気をつけて観察した訳でもなかったが、この利用者も精々2~3名という状態のように見えた。我々もチェックアウト後に午前9時40分のバスを利用したが、利用者は我々夫婦を含めて3名で、しかも2軒目からの利用者は皆無だった。

ホテル内のレストランの案内板を何気なく観察すると、2~3店に「閉鎖中」の貼り紙があった。それもそのはずというか何というか、地下にあるコンビニには時分時ともなるとかなりの数の人が夕食を買いにて来ているのも目立った。とは言うが、我々のその一人だったと言うこと。

先日はかの「世界の十大レストランの一つ」と聞いていた台北の鼎泰豊の汐留カレッタ店が閉店していたことに触れたが、現在のCOVIDに荒らし回られた状況の下にあっては、何も蔓延防止等重点措置を講じるまでもなく、外飲食業界の上位にある店でも閉じざるを得ないようだ。私には果たして所謂飲み屋が感染源となっているかどうかなどは知る由もないが、人々が「正しく怖れ、正しく対策を自発的に講じるか否か」が先決のように思えてならない、経済を早期に回していく為には。

愛媛県の中村時弘知事は蔓延防止等重点措置を要請しないのは「既に発令された沖縄他2県で実効が上がっていないことと、外飲食街を規制することが最善の策とは思えないから」と述べておられたのには、何となく納得できるなと感じていた。

私は「矢張り、COVID制圧対策が先であり、経済が回る(回せる)ようになるのは、その後のことではないのか」と都内のホテル宿泊で学んだと思っている。

コメントを投稿