Aigues Vivesというフランス語をバンド名とする彼らは70年代初頭にドイツで結成されたFolk Group。België国境近くの街で結成された彼らは80年末から81年にかけて1枚のアルバムを残して消滅してしまったと思われる。Aigues Vivesというのは、Latin語で‘繁栄の源/泉’を意味する‘Aqua Vivae’からきていて、FranceにいくつかあるCommunesの名前だそう。元々は英国のProgressiveな音楽に影響を受けていたという彼らであったが、唯一残された本作ではFluteやViolinとAcoustic Guitarの爪弾きに、英語で歌われる男女による素朴で外連味のないVocalとChorusが欧州らしい抒情的で、時に神秘的な世界を描き出していく。とはいえ、曲の展開など凝ったころもも時折顔を出したり、所謂Folk Rock Bandとは少々趣きが異なるのが面白い。おそらく彼らの出自からくるものがあり、演奏/間奏が歌よりも長かったりするところも彼らの特徴である。ドイツには初期のHoelderlinや、Emtidi、Broselmaschineといった浪漫溢れるAcousticでFolkyな音楽性を持ったGroupが70年代初頭に幾つかの作品を残しているが、このAigues Vivesもまた、少々遅れてきたそういったGroupのひとつといってもいいだろう。欧州らしい陰影と幽玄が香り立ち、幻想の扉を開けて聴く者をゲルマンの森に誘い出す。アルバムのリリースが80年代に入ってからというのが、彼らにとっては不幸なことであった。とはいえ、AcoustucなFolk Groupとして味わい深さや、心地良い微睡を与えてくれる本作は無視してしまうには惜しい作品である。BassとGuitar、VocalのKarl Beck、FluteとBaritoneのVocalが魅力のFranz Kremer、GuitarとBassのRoland Enders、Guitarと鍵盤とVocalのMaik Wolff、ViolinとVocalのPaul Possart、そして紅一点のFluteとVocalのHendrikje Hornという6人組。
『Water of Seasons』はがAigues Vivesが81年にリリースしたアルバム。
アルバム1曲目は“The Accident”。Acoustic Guitarの爪弾きに素朴な男女VocalとViolinが哀感に満ちた欧州の抒情全開の世界を描き出す。しっかり地に足が付いた生命感漲るChorusもイイ感じ。
“Heroes”は幻想的なAcoustic GuitarのArpeggioで始まり、ここでも抒情的なViolinが、切々と歌い上げていくVocalとChorusを盛り立てていく。
“Dent Du Géant”は清冽かつ生命感に満ちたAcoustic Guitarで始まりFluteと絡み合いながら、Imaginativeな空間を生む出していくインスト曲。
“Night”は翳りを帯びたVocalChorus、そしてチョイと寂しさを感じさせる曲調が正にゲルマンの森の夜のイメージを目の前に浮かび上がらせる。EndingにかけてのFluteが素晴らしい。
“Flying Fortress”もイントロの哀感溢れるMelodyを歌い上げるVocalと寄り添うChorusがイイ感じ。6/8拍子で曲の展開の仕方も実に心地良い。ここでもViolinとFluteがイイ味を出している。
アルバム・タイトル曲“Water of Seasons”は落ち着いた声質で語りかけるように歌うVocalが良い。
“Mediterranean Journey”は優美なAcoustic Guitarから始まり、GentleなVocalや歌うViolin、Fluteが雰囲気タップリに幻想の森に誘い込む。
アルバム最後をシメるのは“Planet Of Dreamers”。こちらも夢見心地のEnsembleとVocalが楽しめる。男女VocalとChorusも決して上手いとは言えないが実に味わい深い。
(Hit-C Fiore)