Trajetória/Raiz de Pedra | BLACK CHERRY

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JAZZ, BRAZIL, SOUL MUSIC

 Raiz de PedraはBrasilのInstrumentalを中心とした(一部Vocal入りもあるが)5人組のGroupで主に80年代前半から90年代にかけて活動してきたようだ。何枚かアルバムをリリースしているが、何といっても彼らが96年にリリースしたアルバム『Diario De Bordo』にはPianoでEgberto Gismontiが参加しているのである。Porto Alegre70年代後半に結成されたというRaiz de Pedraは確かに各メンバーが高い演奏技術を持っており、メンバーの何人かは現在も活動を続けている。その音楽性をジャンル分けするのはあまり意味があるとは思えないのだが、70年代後半から80年代前半にかけては、いわゆるCrossover/Fusionなどと呼ばれる音楽が世界的に流行していた時期で、JazzやRock、Funk、Blues、Classical Music、R&B、Traditional Musicや世界各国の民族音楽、現代音楽、電子音楽などさまざまなジャンル分けされてきた音楽を自らの血肉として昇華したMusicianたちの音楽も、そういったジャンルに問答無用で分類されてしまう場合が多かった。現在のように多様化した音楽性がそれなり評価を受けつつある時代とは違い、さまざまな音楽性を持った音楽家は不遇とも言うべき扱いを受けていたように思える。しかし、彼らが最も不運だったのは世に出たのが80年代という時代であったことである。楽器の音色サウンド録音といった点において、この時代に生まれた作品はどうしても分が悪い。そしてGismontiが関係していたGroupとなった場合、演奏の技量だけではなく、Ensemble、Composition、Arangementにおいて、どうしてもハードルが高くならざるを得ないところもRaiz de PedraというGroupにとって不運としかいいようがない。本日ご紹介するのは85年にリリースされた彼らのデビュー・アルバム。Porto Alegre出身で後にドイツで活動するギターのPedro Tagliani、Santa Maria出身でAlto SaxとFluteを演奏するMárcio Tubino、Porto Alegre出身の鍵盤奏者Marcelo Nadruz、ベースのCiro Trindade、ドラムスのCezar Audiという腕達者な5人組である。

 

 『Trajetória』はRaiz de Pedra85年Musi'Sulからリリースしたアルバム。

アルバム1曲目“Prisma”は良くも悪くも、如何にもな80年代Fusion的な色が強いナンバー。Synthesizerやギターの音色Alto Saxさすがにサウンド的には30年以上も前の古くささは如何ともしがたいが、曲調や構成はそれなりに練られたものになったいるのが救いではある。

ドラムスのRollから始まる“Quatro Cores”はChord Progressionキメ構成フレーズが前曲より、さらに洗練され、音色はともかく結構頑張っている。、幻想的なパートの盛り込み方Caetano Veloso似のMárcio TubinoのVocalもイイ感じ。

ギターのPedro Tagliani作の“Trajetória”は謎めいたイントロから惹きこまれる。途中のSaxのフレーズで少々Fusionっぽくなってしまうがもったいない。ギターの技量も中々のモノだ。

鍵盤奏者Marcelo Nadruz作のFluteが舞うMovimento”もドラムスの音色が如何にもなアレではあるが、フレーズや構成は構成は決して悪くない。

Slap Bassギターのカッティングがカッコイイ“Carnaval Dos Aflitos”。Saxのフレーズも良い。アルバムで一番のお気に入り。

Céu, Espelhos E Cristal”はギターのPedro TaglianiのVocalが登場する歌モノ。凝った構成などチョイCanterburyな香りも感じさせる。

Acoustic GitarFluteEnsembleが優美な“Alameda Das Orquideas”。

Cavalgada”はFluteが活躍緩急自在の構成も悪くない。Acoustic Guitarもイイ味を出している。

アルバム最後をシメるのはドラムスのCezar Audiと鍵盤のMarcelo共作の“De Passagem”。Saxなど多少のFusionっぽさはあるがフレーズや構成はMagicalな部分が感じられて悪くない。

(Hit-C Fiore)