キングアーサー | 海をみていたい

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日常。思ったこと、メモがわりだったり、テンションあがって発信したかったり、観劇、観戦、鑑賞日記です。
濱田めぐみさん、町田樹さん、パナソニックワイルドナイツ好き、現在連日HIDEKIさんを思い出しています。
趣味は携帯写真。

こんな話だったんだ、と観ながらちょっとびっくりしました。

冒険活劇を予想していたんです。しかしながら楽しい話ではなく、中身は気の毒な王さまになってしまったアーサーという青年の哀れ。

それでも健ちゃんアーサー王はカッコいいです。

正直に言って、ひいてしまうような内容です。あらすじ含みますのでネタバレお嫌なかたはスルーしてくださいませ。


私利私欲のためにアーサーをキングに祭り上げたマリーンという訳のわからない奇術師(?魔術師?)に導かれ苦悩の物語がスタート。

此処で特筆すべきはナレーション(または神)の声。…たぶん、鹿賀丈史さんだと思います。

重く響きの良い、わかりやすい言葉が客席の配置が酷い新国立劇場中劇場を辛うじて演劇の場として誘っているようです。

禅さんは相変わらず飄々としたおとぼけ調でこの物語を不幸にする怪人を演じています。そこに鹿賀さんの声は絶対必要不可欠だと感じました。

そのマリーンによってかなりの悪巧みが展開されるのでうっかり騙された感のアーサーはこの先、何をしあわせと感じるんだろうかと心配になります。

さらに愛している妻はアーサー王についてきてくれた騎士(ランスロット)と恋仲になり、当のアーサーは完全に蚊帳の外。

しかも彼はふたりを責めることはせずに自分が悪かったと反省までしてしまいます。

また、突然現れた実の姉は弟アーサーの不幸を願って画策する気持ち悪い魔女のような人物で、彼女に全く共感するところがありません。


(もし、この姉がメグサマだったら…

そのくらい歌う場面も多いのですが、ただ歌いましたという印象。

みどころは、そのアーサーを苦しめぬいた姉に対する最後の弟の優しさが凄いです!)


そのなかで誰も傷つけたくないアーサーは平和的に解決しようと努力する健気な青年。

アーサーの兄さんだと思っていた兄ではないケイは道化師の役割でちょこちょこ出てきますが、客席はクスリとも笑いません。日本語のわからない演出家に日本人を笑わせる芸当が可能なのかわかっているんでしょうか?ホリプロの能無しプロデューサーは?

そして、このような暗い展開にハッピーエンドはありません。ただそれだけで3時間もの長い舞台が終わってしまいます。


曲も心に残りませんでした。

やたらと高音だったり、逆に歌いにくい低いラインのメロディだったり。歌う側はかなり大変だと思いますが、その大変さが楽曲の良さにつながっていないので、ただただ大変だろうな、とか、よく皆さん頑張って歌っているわ、としか感想が生まれないんです。

そのなかでもやっぱり健ちゃんは楽曲をものにしているので心地良いです。


群舞の振り付けがKポップみたいで、演者さんたちはアクロバティックな身体を使うキツイパフォーマンスにもかかわらず安っぽい感じにしか見えないのも気の毒です。

世の中の人たちは韓国っぽさ(?)が大好きみたいですが、私には感性が全くわからずむしろ好みではありません。あれってダンスなの?何を喋っているのかわからない手話にしか見えないんですが!

何故、日本で演じられるのに、演者も日本人が多いのに日本人の持つ感性で私たちが観たくなるような舞台を作らないのか、本当に不思議でなりません。



鹿の工藤広夢さんは今回も魅せてくれています。セチ(王家の紋章)の健気さ、ネーレウス(メリーポピンズ)も良かったですよね。そして今回も狼はメイクがマンカストラップみたいでしたが、鹿は独特なんです。何かに似ているとか何かみたいなものじゃなく、不思議な鹿なので眼に、記憶に残る存在感です。


グィネヴィアは歌う曲が多く、それも歌うまの小南さんがそのままソプラノで歌う曲もありますがデュエット曲では低めのパートを歌わなければならなかったり相当な技術が必要かと思われますので、これを佐江ちゃん歌えるの?と疑問でもあります。(佐江ちゃんバージョンを聴きに行くのがちょっと怖いです😅)


相手役のランスロットが少しもカッコ良くもオーラもないのでほかの騎士の小林亮太さんの方が遠目にも(あの酷く遠い2階席の端っこ←あそこは半額以下でも良いんじゃないでしょうか?S席の値段の価値がありません!何故S席の設定なんでしょうか?これもホリプロに文句言いたいです。)目立ってました。キャスティングも?です。

健ちゃん以外オーラが無さすぎ…


メレアガンもバカみたいに高音の楽曲があったり、逆にとんでもなく低音のメロディだったり。これって裏を返せば、楽曲がその人物を表すような工夫が無いんです。ものすごく大変なのに、あぁ苦しそうだな、無理して歌ったんだね、としか感じません。

役者がそんな苦労する歌唱のわりに、このメロディを聴けば誰それみたいなキャラクターが伝わってこない残念な構成でもあります。

残念な物語だけじゃなく楽曲も創意工夫が感じられませんでした。


それでももう一度言います。健ちゃんは素敵です🤴

皆さん頑張っていらっしゃいます。

ただ、お金を払う側は"頑張っている事実"を観に行っているんじゃないんです。高いお金を払うのは"良いものを観たい"からなんです。

ホリプロさんはいつになったら客席の気持ちがわかるんでしょうか?