昨シーズンは最下位に沈み、2023年シーズンは巻き返しを狙う中日ドラゴンズ。
チームの大きな課題となっていたのは、攻撃陣。
チーム打率、本塁打、得点、得点圏打率はいずれもリーグ下位に低迷し、今オフの補強課題であることは明確でした。
既に今オフは新外国人としてオルランド・カリステ、3年ぶりに中日へ復帰する事が発表されたソイロ・アルモンテを獲得。
しかし外国人野手補強は終了しておらず、中軸を担う大砲候補の獲得を調整している事も報じられていました。
そんな中で11月28日、今シーズンシンシナティ・レッズでプレーし、メジャー通算41本塁打を記録しているアリスティデス・アキーノ外野手を獲得したと発表しました。
【中日】MLB41発アキーノ獲得「持ち前のパワー発揮し勝利に貢献したい」(日刊スポーツ)
中日は28日、シンシナティ・レッズで今季10本塁打、通算41本塁打のアリスティデス・アキーノ外野手(28)と契約したことを発表した。
同外野手はドミニカ共和国出身で、契約金は120万ドル(約1億6800万円)プラス出来高30万ドル(約4200万円)の1年契約(金額は推定)。
アキーノは18年にメジャーデビューし、19年には19本塁打を放った。同年8月は打率3割2分、14本塁打、33打点と爆発し、月間MVPを獲得している。同年はダルビッシュ有から2本塁打を放った。
今季は80試合、打率1割9分7厘、10本塁打、30打点、2盗塁。現在はドミニカ共和国でウインターリーグに出場している。
メジャー通算では244試合打率2割1分1厘、41本塁打、108打点。195センチ、108キロ、右投げ右打ちのパワーヒッターで、今季は外野の全ポジションを守っている。
アキーノは「中日ドラゴンズと23年シーズンの契約ができたこと、とてもうれしく思います。日本の野球に適応し、持ち前のパワーをグラウンドで発揮しドラゴンズの勝利に貢献したいです」とコメントを発表した。
中日は20年まで3年在籍したソイロ・アルモンテ外野手(33)とオルランド・カリステ内野手(30)の獲得を発表済み。来季はビシエドに、アキーノを含めた外国人野手4人で課題の得点力不足解消を図る。
今回は、中日が獲得を発表したアリスティデス・アキーノについて紹介します。
メジャー通算41発を放った抜群のポテンシャル 100マイルを計測する強肩も持ち味
アリスティデス・アキーノはドミニカ共和国・サントドミンゴ出身の28歳。右投右打の外野手です。
2011年1月に17歳でシンシナティ・レッズとマイナー契約を結び、プロ入り。同年5月に傘下ルーキー級でプロデビューし、60試合打率.188、3本塁打、21打点、4盗塁を記録した。
2012年はルーキー級でプレー。65試合打率.197、3本塁打、26打点、5盗塁を記録した。
2013年はルーキー級でプレー。61試合打率.262、7本塁打、48打点、5盗塁を記録した。
2014年はルーキー級でプレー。71試合打率.292、16本塁打、64打点、21盗塁を記録した。
2015年はルーキー級/1Aでプレー。74試合打率.247、7本塁打、40打点、6盗塁を記録した。
2016年は1A+でプレー。125試合打率.273、23本塁打、79打点、11盗塁を記録し、同リーグのMVPを受賞した。またオフには40人枠入りを果たした。
2017年は2Aでプレー。131試合打率.216、17本塁打、56打点、9盗塁を記録した。
2018年はMLB公式のプロスペクトランキングで球団内16位にランクイン。シーズンでは2Aで114試合打率.240、20本塁打、55打点、4盗塁を記録。
8月17日にメジャー昇格を果たし、19日の試合でデビューし、三振に倒れた。メジャー出場はこの試合だけで終わった。
2019年8月1日にメジャー昇格し、同日の試合でメジャー初スタメンを果たした。また8月6日から4試合連続本塁打、10日の試合ではルーキーでは初の1試合3本塁打を記録し、メジャーデビュー17試合で11本塁打という新人最速記録を達成。
この年はメジャーで56試合打率.259、19本塁打、47打点、7盗塁を記録した。
2020年はメジャーで23試合打率.170、2本塁打、8打点、1盗塁を記録した。
2021年はメジャーで84試合打率.190、10本塁打、23打点、2盗塁を記録した。
2022年はメジャーで80試合打率.197、10本塁打、30打点、2盗塁を記録した。
シーズン成績
上記は、アリスティデス・アキーノのシーズン成績です。
メジャーでは5シーズンプレーし、244試合打率.211、41本塁打、108打点、OPS.719を記録しています。
非常に大きなインパクトを残したのは2019年。
8月1日にメジャー昇格を果たすとデビューから10試合で7本塁打を放ち、10日の試合ではルーキーで史上初の1試合3本塁打をマークし、14日にはデビューから14試合で9本塁打という新人最速記録を樹立し、ナ・リーグ新人記録の月間14本塁打を放ち、鮮烈なデビューを飾りました。
しかしこの年以降は期待されていたほどの成長曲線は描くことは出来ず、2022年は80試合打率.197、10本塁打、30打点、OPS.609を記録したものの、オフにはフリーエージェントとなっています。
ただ凄まじい爆発力を秘めている事は間違いなく、メジャーで3度の2桁本塁打を記録するなど長打力は抜群と言えます。
一方で粗削りな打撃の影響は大きく、ここ3年はいずれも打率1割台、全打席の3分の1以上で三振を喫し、キャリア通算の三振率は33.4%、今シーズンは36.5%と凄まじい三振率です。
持ち前のパワー面が発揮されるのか、荒々しい打撃スタイルが改善されるのかが課題となりそうです。
曲がり球系の変化球に脆く、ゾーン管理に難あり 打球速度は抜群のポテンシャル
上記はアリスティデス・アキーノの球種別成績です。
球種別ではストレートに対しては率も残せていて、ISOやSLGに関しても全球種の中で一番の好成績と言える数値が残っています。
ただそれ以外の球種に関しては、かなり悪い数字が並んでいます。特にスライダー、チェンジアップ、カーブといった、曲がる系の変化球には特に脆い傾向があります。
この3球種だけの空振り率は今季43.4%と非常に高い数字で、気がかりな点と言えそうです。
またゾーン管理にも課題があり、Chase%は通算35.7%、Whiff%も通算37.6%となりふり構わずスイングを仕掛けている傾向が強いことになります。
ただ持ち前のパワーを示しているのは打球系の指標。
打球速度は今季平均137.7キロですが、今季最速の打球速度は182.8キロを計測し、これはMLB全体上位10%に入る記録で、2019年には190.3キロという圧巻の数字を叩き出しています。
またHardHit%やBarrel%もMLB平均を上回る数値を叩き出すなど、パワーポテンシャルに関しては屈指と言えそうです。
160キロを計測する強肩とセンター起用も可能な脚力で広い守備範囲を誇る
上記はアリスティデス・アキーノの守備成績です。
外野3ポジションをこなすことが出来ますが、メインでこなしているのはライト。
キャリアを通して通算155試合/1179.2イニングで13捕殺、UZR5.7、150試合換算でUZR7.1とかなり良質な数字です。
特にアキーノの武器と言えるのは肩の強さで、今季は12捕殺(ライト10、レフト2)を記録し、ARMはライトで8.1、レフトで3.6を記録しています。今季の送球速度の平均値が96.9マイル(約155.9キロ)でMLBの右翼手の中で第4位になり、MLBの外野手でトップクラス級の評価を与えられています。
この肩の強さはすさまじく、今シーズンは8月の試合でライトからホームへの返球で100.9マイル(約162.2キロ)を計測し、二塁走者を本塁でアウトにした事もあります。
また脚力に関してもSprintSpeedではMLBの右翼手の中では第7位と高い脚力を示していて、脚力を生かした守備範囲の広さも大きな魅力と言えます。
プレー映像
↑2022年シーズンのプレー集
↑2022年のホームラン集
映像を見ると、打撃フォームはバットを寝かせた構えで、大きく開いたオープンスタンスで打席に入っています。
やはり特徴的なのは、打球速度。捉えた時の打球というのは凄まじいものがあり、本塁打が出にくいバンテリンドームであっても、十分柵越えが狙える印象であると言えます。
守備に関しては、ボールを追うスピードは非常に素早く、守備範囲の広さは十分と言えそうです。また肩の強さに関しても抜群の強度を感じさせる印象で、ここまでの強肩というのはNPBでもそうそういないのではないかと思われます。
粗削りな打撃スタイルという点では苦労する可能性は否定できませんが、当たった時の打球速度というのは抜群の物で、現在のチームに欠けている長打力を補うには十分な存在でしょう。
守備に関しても80試合で12捕殺という自慢の強肩があり、右中間でコンビを組む可能性がある岡林は142試合で7捕殺(リーグ1位)と強力なコンビとして、守備力でもチームに貢献できる可能性があります。
28歳とNPBで結果を残せば、MLB復帰を見据える事が出来るだけに、そういった点のモチベーションにも期待したいところです。