始めれば　楽しいわけで

 

なんだかんだと

 

勘を取り戻すとか

 

操作に慣れるとか

 

途中からどうでもよくなって

 

気付けば

 

約束した時間

 

目前で

 

 

…そういえば

 

入れた連絡に返信なかったなぁ

 

と

 

まだもう少し

 

自主練という名の

 

単独行動

 

続けていたかった…が

 

正直

 

今のテンションのまま

 

対戦するなら　悪くないかも

 

って手応えもあって

 

 

俺の方から再度

 

見慣れたアイコン

 

俺の私物のスマホから

 

コール送るの

 

本日二回目…とか

 

思いつつ

 

 

やっぱり出ない

 

おかしい

 

イケボの彼が先に

 

俺のスマホに寄こしてきた

 

連絡時のアイコンを

 

そのまま　使っている

 

…のに

 

 

と　そういえば

 

SNSの方にルームナンバー

 

送ったとか言ってなかったっけ？

 

なる

 

ゲームやっててあやふやになった

 

記憶　手繰りながら

 

 

彼とSNSで

 

繋がっているのは

 

仕事関連の連絡ツール

 

だから…って

 

まさか　そっちに

 

しれっと送ってたりするのか？

 

等と

 

コール鳴らしても

 

繋がらない相手

 

一端見切りをつけ

 

その端末で

 

別ルートからの接触

 

 

直接

 

彼のフィールドへ

 

乗り込んでやろうと

 

 

ショートメール　チェックすれば

 

思った通り

 

 

数件の仕事関連の

 

一斉送信に紛れ

 

 

突然　暗号のような数字

 

 

一目見て

 

 

…厄介なことに　これ

 

まさに　暗号じゃん

 

と

 

不特定多数になる

 

グループ内の誰もが見ることのできる

 

掲示板的場所で

 

俺個人に向けてのメッセージ

 

 

…これが遊びの誘いなんだよなぁ

 

と

 

 

ひとまず

 

イケボ彼の暗号に

 

返信するような　やらかしはせぬまま

 

ルームナンバーにしては

 

多すぎる数字で

 

何かしらの　公式のような表記に

 

 

数字だけ抜き取って

 

打ち込んでみても

 

エラー表示され

 

 

単純に

 

この数式を応えれば

 

出た答えがルームナンバー

 

…だったりして…

 

等と

 

 

めんどくせぇ事考え始めつつ

 

周囲の反応に

 

注視すれば

 

 

今のところ

 

“なんだこれ？”

 

って　突っ込みもなく

 

 

正解を導き出せず

 

乗り込むこともできぬまま

 

時間ばかりが

 

過ぎてく中

 

 

イケボ彼のアイコンで

 

また送ってよこされた

 

メッセージには

 

 

『遅れたら　昼飯ゴチな』

 

 

…なんとも

 

俺に何の了承もなく

 

始まってる…ぽい対戦

 

言ったもん勝ちな　

 

イケボ彼からの賭けに

 

 

…いや俺不利でしょ…

 

と　いつの間にか

 

挑戦を強いられている現状から

 

 

俺の“いけるかも？”感覚は

 

しゅしゅしゅ…と　小さく

 

萎え始めた

 

 

　　つづく