九十九【53】 | ラテックスは妄想中

ラテックスは妄想中

暴走ギミな妄想をチラカスBananaです。
甘味世界を目指し オリジナル小説書いてます。
腐 要素 多くなってきちゃいました。苦手な方ご注意ください。

 

 

そもそも

 

モニター画面に流れてる

 

古き良き名作は

 

王道のワンパターンで

 

猫にちょっかい掛けるネズミを

 

猫が追いかけまわす…

 

ってのを

 

あらゆるアイデアで

 

面白おかしく

 

表現されてるドタバタ劇…

 

じっと見てても面白いが

 

正直

 

夢中になって見るには

 

擦りすぎた展開

 

結果はわかっているわけで

 

つい

 

 

俺たちは

 

子供のころ

 

クラスメイトとは出来なかった

 

思い出のアニメの話を

 

始めてて…

 

 

「…人と話せない分

 

 見逃すと教えてくれる人

 

 いなかったからさぁ

 

 ちゃんと毎週録画してて…」

 

月末に届く

 

来月放送予定のINDEX

 

見逃し無いよう

 

確認してた…って

 

記憶から

 

 

きっちり

 

俺名義で届いてたの

 

お年玉貯金の俺の通帳から

 

毎月引かれてた視聴料

 

 

…そういうとこ

 

俺の親はしっかりしてたなぁ…

 

とか 

 

シビアな思い出にも

 

振り返りつつ

 

 

「同時期にアニメ作品だけど

 

 大人が見る様なの やってたじゃん?」

 

 

同居人の

 

あぁ…結構そういう話するんだ

 

って

 

勝手な俺の印象から

 

その手の話は苦手っぽいと

 

思ってた分

 

頭の中で

 

彼のデーターを書き換えつつ

 

 

「…まぁエログロサイバーな作品は

 

 アニメだと スンと

 

 世界観に入れたね

 

 実際 仮想世界は “匂い”が無いから 

 

 結構 何でも平気なところはあるけど…」

 

 

実際の経験から

 

匂いが放つ印象の強さ

 

口にしながら

 

無意識に 同居人の匂い

 

記憶しようと

 

嗅覚をフルで稼働してた自分に気付いて

 

ふと

 

 

「…ねぇ鍋大丈夫?」

 

 

わずかに

 

さっきまでと違う室内の印象から

 

同居人にキッチンへの意識

 

向くよう仕向ければ

 

 

「あっそうだったね」

 

熱が加わることで

 

強くなるのか

 

それとも

 

吹きこぼさないよう

 

蓋をずらしていたからか

 

心地いい香り

 

…カレーでこんな匂いしたっけ?

 

確かこれは

 

「…ローリエって

 

 カレーにも入れるんだぁ」

 

 

料理しないくせに

 

香りには敏感で

 

シチューや煮物で

 

馴染みのある香りに つい

 

知った風な口をきけば

 

 

「…どうだろう

 

 煮込み物の時

 

 入れちゃう癖があって…

 

 …っていうか 

 

 ちゃんと

 

 ご飯作ってくれる人 居るんだね」

 

 

あぁ…しまった

 

誰かが

 

料理作ってくれるってシチュエーションで

 

作らない俺が 余計な知識の披露は

 

好感度が下がる…

 

と 言う訳で

 

また無意味な笑いで

 

とりあえずその場を

 

やり過ごせば

 

 

「…今ならシチューに変更できるけど」

 

はぁ?

 

って事 同居人が言いだして

 

どういうこと?

 

って思いつつ

 

 

俺はその選択には関わらない様

 

首を少し捻るだけで

 

隣に座ってた同居人が

 

キッチンへ戻るのを

 

黙って見送った

 

 

  つづく