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    親子チョコ💗(500冊以上の良質な書籍のご紹介)

    子どもたちの教育のため、また、その親である私たち自身が学ぶための、読まれるべき良質な書籍のみをご紹介させていただきます。

     >  ユダヤ >  ユダヤ人がウクライナ人と手を握るには無理がある!

    ユダヤ人がウクライナ人と手を握るには無理がある!

    A storm is coming 439

    本日のキーワード : ガリツィア、ウクライナ、ポーランド、ユダヤ人、ユダヤ教、キリスト教、シュトラウス派、文明の衝突



    Russia declares war on the Straussians
    ロシア、シュトラウス派に宣戦布告 ⑥

    Russia is not waging war on the Ukrainian people, but on a small group of people within the US power that has transformed Ukraine without its knowledge, the Straussians. It formed half a century ago and has already committed an incredible amount of crimes in Latin America and the Middle East without the knowledge of the United States. This is their story.
    ロシアが戦争を仕掛けているのはウクライナ国民ではなく、ウクライナを知らぬ間に変質させてきたアメリカ権力内の小集団シュトラウス派である。半世紀前に結成され、すでにアメリカ合衆国が知らないうちにラテンアメリカや中東で信じられないほどの数の犯罪を犯している。これは彼らの物語である。

    レオ・シュトラウス
    レオ・シュトラウス

    A BRIEF HISTORY OF THE STRAUSSUIANS
    シュトラウス派の略史

    …Some individuals, such as Bernard Lewis, have worked with all three groups, the Straussians, the Neoconservatives and the Revisionist Zionists. A former British intelligence officer, he acquired both U.S. and Israeli citizenship, was an advisor to Benjamin Netanyahu and a member of the U.S. National Security Council. Lewis, who halfway through his career assured that Islam is incompatible with terrorism and that Arab terrorists are in fact Soviet agents, later changed his mind and assured with the same aplomb that the religion preaches terrorism. He invented the strategy of the “clash of civilizations” for the US National Security Council. The idea was to use cultural differences to mobilize Muslims against the Orthodox, a concept that was popularized by his assistant at the Council, Samuel Huntington, except that Huntington did not present it as a strategy, but as an inevitability that had to be countered. Huntington began his career as an advisor to the South African secret service during the aparteheid era, and later wrote a book, The Soldier and the State understanding national security needs.
    バーナード・ルイスのように、シュトラウス派新保守主義者 (ネオコン)修正シオニストという 3 つのグループすべてと行動を共にしてきた人物もいる。元英国諜報部員で、彼は米国とイスラエルの両方の市民権を取得し、ベンヤミン・ネタニヤフの顧問であり、米国国家安全保障会議のメンバーであった。ルイスは、そのキャリアの途中まで、イスラム教はテロと相容れない、アラブのテロリストは実はソ連のエージェントだと断言していたが、後に考えを改め、この宗教はテロを説いていると同じ調子で断言した。彼はアメリカの国家安全保障会議のために 「文明の衝突」 という戦略を考案したそれは文化の違いを利用してイスラム教徒を正教徒に対抗させるというもので、評議会での彼の助手であったサミュエル・ハンティントンが広めた概念であったただしハンティントンはそれを戦略としてではなく対抗しなければならない必然として提示したハンティントンアパルトヘイト時代の南アフリカの秘密警察の顧問としてキャリアをスタートさせ、後に国家安全保障の必要性を理解した 『軍人と国家』 という本を書いている

    バーナード・ルイス
    バーナード・ルイス

    ベンヤミン・ネタニヤフ
    ベンヤミン・ネタニヤフ

    サミュエル・P・ハンティントン
    サミュエル・P・ハンティントン

    文明の衝突 (上)(下)巻セット 

    ハンチントン 軍事と国家 上 

    ハンチントン 軍人と国家 下 

    After the destruction of Iraq, the Straussians were the subject of all sorts of controversies. Everyone is surprised that such a small group, supported by neoconservative journalists, could have acquired such authority without having been the subject of a public debate. The U.S. Congress appointed an Iraq Study Group (the so-called “Baker-Hamilton Commission”) to evaluate its policy. It condemned, without naming it, the Rumsfeld/Cebrowski strategy and deplored the hundreds of thousands of deaths it had caused. But Rumsfeld resigned and the Pentagon inexorably pursued this strategy, which it had never officially adopted.
    イラクが破壊された後、シュトラウス派はさまざまな論争の標的となった。新保守主義 (ネオコン) のジャーナリストによって支持されたこのような小さなグループが、公的な議論の対象となることなく、そのような権勢を獲得できたことに、誰もが驚いているのである。アメリカ議会は、その政策を評価するためにイラク研究グループ (いわゆる 「ベーカー・ハミルトン委員会」 ) を任命した。それは、ラムズフェルド/セブロウスキー戦略を名指しせずに非難し、それが引き起こした数十万人の犠牲を憂慮するものであった。しかし、ラムズフェルドは辞任し、国防総省はこの戦略をひたすら追求したのだが、公式に採用されたことはなかった。

    ドナルド・ヘンリー・ラムズフェルド
    ドナルド・ヘンリー・ラムズフェルド

    アーサー・セブロウスキー
    アーサー・セブロウスキー

    Is Zelensky a Cousin of George Soros?

    Hitler.jpg 習近平思想の着想者であり、中国的特徴を持つ社会主義の提唱者である習近平総書記

    Russia declares war on the Straussians



    本日の書物 : 『ガリツィアのユダヤ人 (新装版) : ポーランド人とウクライナ人のはざまで』 野村 真理 人文書院



    戦後の日本人は、正しい歴史を学校で教わって来ませんでした。

    そして、現代のメディアもまた、嘘の情報を流し続けています。

    私たち日本人は、親日的な立場に立ち、正しく認識し直し、

    客観的に情勢を判断する必要があります。

    それでは、この書物を見ていきましょう!




    『 【ユダヤ教の聖典タルムード】は、ユダヤ教徒にとって有用な知恵が詰まった壮大な書物である。そこでラビ、ハナニヤの戒めはいう。

    「国の平和のために祈りなさい。なぜなら、それに対する畏れがなければ、人は互いに生きたままで相食むであろうからである。」

     ここでの 「国」 は古代ローマ帝国をさしているがこれをハプスブルク帝国に置き換えればガリツィアのポーランド人とウクライナ人は、ハプスブルク帝国に対する畏れを棄てたとき、東ガリツィアの支配権をめぐって相食み始めようとしていた】。ハナニヤの戒めは同時に、ある地域でこれまでの権力が消滅した後、次にユダヤ人がその平和のために祈るべき権力が定まるまで、権力の空白期間こそ、ユダヤ人にとって最も危険なときであることを示唆している。【ポーランド人とウクライナ人のはざまに立たされたユダヤ人は、ハナニヤの言葉の真理を実感することになった】

    ガリツィアの地図(20世紀)
    ガリツィアの地図 ( 20 世紀)

     一九一八年一〇月、ポーランド精算委員会が設立される直前にルヴフで開催された【ガリツィアのシオニストの代表者会議】では、【ポーランド人とウクライナ人のあいだで戦闘が始まった場合にユダヤ人のとるべき態度が議論される】そのさい【ポーランド人が多数を占める西ガリツィアから来たシオニスト】がポーランド人のあいだで暮らすユダヤ人の安全を考慮し【ポーランド側につく態度を見せた】のに対し【ウクライナ人が多数を占める東ガリツィアのシオニスト】は【敵対的中立を主張】した。むしろ彼らのなかには、これまでのポーランド人の他民族に対する抑圧的支配に反感を持ち、ユダヤ人の民族的権利の主張と並行して、ウクライナ人の独立運動に共感をよせる者もいた。しかし、ユダヤ人ウクライナ人と手を握るには無理がある】ユダヤ人】全体を見ると【熱烈なポーランド同化主義者のユダヤ人が多数いる】のに対して【ウクライナ同化主義者のユダヤ人はほとんどいなかった】からである。』

    日の丸

    ユダヤ人と異邦人と犬


    いかがでしょうか?

    今回ご紹介させていただく書物は、ユダヤ人オリガルヒの手によって戦争を引き起こし国内が荒廃する一方のウクライナで、その南西部を中心 (ポーランド南部も含む) とした 「ガリツィア」 という地域におけるポーランド人・ユダヤ人・ウクライナ人の非常に複雑な関係を、歴史的事実に基づいて解説がなされている良書で、本書を御覧になれば、「なぜ、ユダヤ人が嫌われるのか」 が理解でき、現在のウクライナにおける戦争をもたらしたユダヤ人オリガルヒらの戦争目的も正しく推測することができるようになる当ブログお薦めの書物となります。少なくとも、「ユダヤ人は一方的な被害者である」 とか、「ウクライナがかわいそう」 という的外れな考え方が、本書一冊だけで消し去れること間違いなしで、ユダヤ・キリスト教的善悪二元論でしか物事を思考できなくなっている多くの日本国民広く読まれるべきだと考えます。

    読書 女性 4-36

    それでは本日も、いつものように、直近の「致死率」を確認しておきましょう。

    (死亡症例数)÷(感染症例数)=(致死率)

    ※(  )内は前回の数値

    ffheikevga.jpg
    Coronavirus COVID-19 Global Cases by Johns Hopkins CSSE

    アメリカ : 1,033,102(1,032,506)÷92,047,002(91,876,548)=0.0112・・・(0.0112) 「1.12%(1.12%)」
    ffheikevga1.jpg

    イタリア : 172,904(172,729)÷21,251,774(21,213,559)=0.0081・・・(0.0081) 「0.81%(0.81%)」
    ffheikevga2.jpg

    日本 : 33,390(33,176)÷13,851,692(13,618,037)=0.0024・・・(0.0024) 「0.24%(0.24%)」
    ffheikevga3.jpg









    さて、これまでの流れを、簡単に確認しておきますと、まず、出発点として、カール・マルクス (1818 - 1883) が生まれる約 200 年ほど前の時代 (日本で言えば、戦国時代から江戸時代初期にかけての時代) に、ドイツの神秘主義者であるヤーコプ・ベーメ (ヤコブ・ベーメ、1575 - 1624) という名の人物がいて、その後の 「ドイツ思想」 に決定的な影響を与えた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 なるものが世に生まれることになります。(詳しくはこちらから💓

    ヤーコプ・ベーメ(ヤコブ・ベーメ)
    ヤーコプ・ベーメ(ヤコブ・ベーメ)

    そのベーメの言っていたことというのは、次のようなものでした。

    世界は本来壊れているものであり、それを直すことができるのは正しい者だけである詳しくはこちらから💓

    そして、その影響を受けたのがプロイセン (ドイツ) の哲学者イマヌエル・カント (1724 - 1804) で、彼が言っていたことは、次のようなものでした。

    イマヌエル・カント
    イマヌエル・カント

    たとえ世界を直すことができなくても、私たちは常に世界を直すことができると仮定して行動しなければならない詳しくはこちらから💓

    また、ドイツ観念論を代表する思想家ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル (1770 - 1831) も影響を受けていて、そんな彼が言っていたことは、次のようなものでした。

    ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル
    ゲオルク・ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲル

    世界が固定されていたとしても、私たちは無意識のうちに分裂を起こし、世界が再び崩壊し始めることになる詳しくはこちらから💓

    で、この流れを受け継いでいるのがカール・マルクスであり、ウラジミール・レーニン (1870 - 1924) で、彼らが言っているのは次のようなことです。

    カール・マルクス
    カール・マルクス

    私たちには、世界を壊したいという衝動はない。もし私たちが世界を壊すとすれば、それは私たちが社会とその主人たちからそうすることを学んだからである

    ウラジーミル・イリイチ・レーニン 1
    ウラジーミル・イリイチ・レーニン

    われわれは、世界を固定するために、意識の統一を強行しよう詳しくはこちらから💓

    このように、ドイツで生まれた 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 を出発点として、その後、人為的に造り出された “幻想” であるところのマルクス主義・共産主義・社会主義という類の妄想が生み出されることとなります。ここで重要な点は、そもそも全知全能なる神が創り賜うた世界にあって、なぜ悪が存在するのか、という疑問から生じた 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 が、ユダヤ・キリスト教的 “善悪二元論” をより一層強化し、世界を完全に良くするために 「悪なるもの」 を消し去らねばならない、といった浅はかな思考へと陥る人々を生じさせたことです。多くの一般的な人々も陥りやすい誤った思考ですが、特に 「極左おパヨク」 と呼ばれる連中はその影響をもろに受けてしまうほどの 「おバカ」 で、さまざまな “アイデンティティ” を次から次へと粗製濫造することで、ユダヤ・キリスト教的な 「贖罪(しょくざい)」 の対象物として “罪” を創り出し、その罪に対する償 (つぐな) い・贖 (あがな) いを果たねばならない、と妄信させることによって、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 の下で人々に対して自己抑圧的な態度の徹底を促し ( ← これが、ポリコレw)人々の “自由” を奪う極めて 「権威主義的な統制社会の再構築」 を目指す連中の思う壺となっていて、それはまさに現在私たちが普通に目にすることができる状況にあります。つまり、もはや隠そうともしていないという状況にあるということです。

    Hunter Biden Soros Linked to Biolabs in Ukraine





    その 「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー)」 については、ドイツ出身の社会学者・歴史学者かつマルクス主義者であり、エリート理論の信奉者で、さらにはファシズム (全体主義者) でもあったロベルト・ミヒェルス (ロベルト・ミヘルス) が提唱した仮説である 『寡頭制の鉄則』 (iron law of oligarchy) を確認をしてきましたが、そこにもやはり 「キリスト教神智学 (Christian theosophy) 」 ・ 「ベーメ神智学 (Boehmian theosophy) 」 の影響を見ることができます。(詳しくはこちらから💓

    ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)
    ロベルト・ミヒェルス(ロベルト・ミヘルス)

    また、「寡頭制 (oligarchy/オリガルキー) 」 と同根の言葉である 「オリガルヒ (oligarch) 」 につきましても、ロシア詳しくはこちらから💓) やウクライナ詳しくはこちらから💓) の事例から、そこには少なからぬ 「ユダヤ人 ( = ユダヤ教徒)」こちらもご参照💓) が存在していることも判明しました。

    A storm is coming 245





    さらには、ウクライナとユダヤ人 ( = ユダヤ教徒) と特異な関係を、ウマン (ウーマニ) 巡礼の形成の歴史を通じて確認しました。 (詳しくはこちらから💓

    ウーマニ

    そこで、現在 “ユダヤ人” (民族としては定義され得ない、単なる宗教信者のグループ) という存在に着目し、より一層理解を進めるために様々な論文を見ているところとなります。

    fhdeusid.jpg
    『初期ユダヤ教と原始キリスト教団における解釈と受容 : 「霊」と「天使」の概念の変遷を辿る』大澤 香

    それでは早速、続きを見て参りましょう。

    『 2 章 初期ユダヤ教
     「初期ユダヤ教」 という時代区分は、狭くは前 2 ~ 後 2 世紀広くは前 6 ~ 後 1、2 世紀など研究者によって様々に定義されるが (69)、ここでは捕囚後の第二神殿時代に再建した神殿とモーセ五書 (トーラー) を柱とする改革が行われトーラーの絶対的な重要性のもとに特徴的でしかし多様な聖書解釈がなされていった時期を指してこの用語を用いたい (70)。TovTov (71) は 「逆説的だがモーセ五書への関心の高まりが紀元前最後の数世紀間に多種多様な本文形式の創出に寄与した」 と指摘する (72)。本章では聖典としての聖書テキストの解釈が著しく発達した初期ユダヤ教の時代状況の中での具体的な読者・解釈者の視点に焦点を当てつつテキストと彼らとの間に成立した特徴的で多様な解釈を分析する。解釈者の視点を想定することによって、特にこの時期に発達した 「霊 (聖霊) 」 「天使」 の概念がいかに重要かつ特徴的な形象であったのかを示すことができるだろう。

    2 - 4 初期ユダヤ教における文学技法

     ここでは初期ユダヤ教の時代特徴的な文学技法を確認することで、この時代の聖書解釈の特徴を検討する。


    2 - 4 - 3 実例 ‐ トビト記における読みの層 ‐
     ここでは実際に、クムランからもその写本断片が見つかっているこの時代の外典文学の一つであるトビト記の分析を通してトビト記に想定される内包された読者がトビト記の物語を通してその向こうにどのような allusion を読み取っていたと想定することができるのか考察をする。ここでの方法論は、従来のような歴史批評か文芸批評かという二分法的 ( dichotomic ) な議論を避けるため、歴史批評と文芸批評とをそれぞれが対象とする事項に正しく適用する 「折衷主義 ( eclecticism ) 」 を取ることを試みる。具体的には、テキストの書かれた時代背景および内包された読者を想定するために歴史的研究を適用し、その次の段階としてテキストの内的世界を分析するために 「物語批評」 を用いる。「読者」 に焦点を当てた 「読みの層」 を想定することによって初期ユダヤ教時代の聖書解釈をより立体的に捉えることができるだろうトビ ト記の物語は 「天使」 が物語の重要な登場人物として生き生きと描かれた第二神殿時代の文学である


    (2) トビト物語を読む (204)

     物語の歴史的状況に思いを馳せつつ、物語そのものを味わい読むことへと進みたい。というのも、この物語を語り継いできた人々の思いは、「物語の中」 にこそ息づいているはずだからである。トビト記のあらすじは、ナフタリ族アシエルの家系に属するトビトという人物がアッシリアの支配の下で捕囚となり同族の人々に慈善の業を続ける中で失明する死を願って祈られたトビトの祈りによって神から天使ラファエルが遣わされラファエルに導かれてトビトの息子トビアは旅をし旅において同族のサラとの結婚が成立するそして旅から帰還したトビアによってトビトの視力も回復される物語であるトビアは死の前にニネベの滅亡を知らされ神を賛美しながら物語は終わる


    『トビアとサラの結婚式の夜』 ヤン・ステーン
    『トビアとサラの結婚式の夜』 ヤン・ステーン

    トビアの旅に同伴する犬の役割について
     トビアの旅には犬が同伴しているのであるが、この犬に関して、素材となった民話の痕跡と見なす、あるいは物語を和ませるほほえましい脇役であるとするなど、研究者によって様々な説明がなされているが (215)、定着している解釈はない。犬はトビアがラファエルに伴われて旅に出る時および旅から帰ってくる時に二度 ( 6:2、11:4 ) 登場するのみで、物語の中で何らかの役割を担っているのかどうかということにおいてさえ、研究者を困惑させてきた。しかし、トビト記を最終形態で完成した一つの物語として見る時には物語の中で意味のないものは一つもなく犬も重要な役割を担っていると考えられる2 つの可能性を提示する。どちらの解釈もトビアの旅に犬が随伴していることが重要な点である。


    B. すべての人々が帰還するエルサレムのヴィジョン

     第一の想起は、しかし残念ながら物語がアラム語、ヘブライ語から他の言語へと翻訳された時点で失われてしまう運命にある。ギリシャ語その他の言語に訳された物語において 「犬」 はもはや 「 כלב 」 の音による連想を失い、「意味」 による連想のみが残される。それではトビアの旅に随伴する 「犬」 から人々はどのような連想を抱き得たのだろうか西洋において犬は忠実さのシンボルまた人間の最良の友と見なされてきた (219) のに対 して旧約聖書においては犬は汚れた動物としてネガティヴなイメージで言及されている (220)。しかし Schwartz は、第二神殿時代のユダヤ人社会においてギリシャ・ローマ世界やペルシア文化において犬への好意的な態度が強まるにつれ彼らのレベルに達することは決してなかったにしろ、牧羊犬、牧畜犬、番犬などの犬の社会貢献的役割への評価が高まり伴侶やペットになる場合もあったと報告する (221)。
     トビト記に登場する犬からはネガティヴなイメージを読み取ることはできない。犬はトビトたちの生活のとても身近なところにいて、トビアが旅に出る際も、飼い主を慕い寄り添うような姿で自然に後を追い、そして旅の最後に至るまでそこに伴っているのである。ディアスポラの民にとってこのような 「自分たちと決して同類ではないけれども、非常に身近にいる存在」 とは誰であっただろうかそれは 「異邦人」 ではなかっただろうか (222)。
     ネガティヴな意味合いで異邦人を 「犬」 と言う場合もあったことが文献資料から窺える (223)。すべてのユダヤ人の共通認識であったとは思えないがそのような言説は人々の知るところであっただろうユダヤ人にとって犬はネガティヴなイメージを拭い去りきれない動物であった。しかし、現実には生活のとても身近なところにいる存在でもあった。「異邦人」 もまたそのような存在であったのではないだろうか (224)。そしてトビト記は、物語の中で、神に導かれる救いへと出て行く旅に、そっと 「犬」 も随伴させるのである (225)。
     物語の結末部分で、トビトはエルサレムについて 「大いなる光が、地の隅々にまで、輝き渡る。諸国の人々が遠くから、お前のもとにやって来 る。地の果てのすべての人々が、聖なるお前の名を慕い、天の王のために、もろもろの献げ物を携えてやって来る」 ( 13:11 ) と歌い、「世界のあらゆる国とその人々は主に立ち帰り、心から神を畏れ、偽りをもって彼らを欺き惑わす偶像をすべて捨て去る」 ( 14:6 ) と述べ、イスラエルの民ばかりでなく 「すべての人々」 が大いなる光に導かれ、主に立ち帰ることを語っている。


    (219) Moore, op.cit cit., p.197.

    (220) 「犬」 は旧約聖書において、死体の回りをうろつく動物、あるいは象徴的に侮蔑的な意味で、概してマイナスイメージで言及される。

    (221) Joshua Schwartz, “Dogs in Jewish Society in the Second Temple Period and in the Time of the Mishnah and Talmud Talmud”, JJewSt 55 - 2, 2004, pp. 246 -77.

    (222) Gowan は、ヘレニズム世界の影響が聖典のギリシャ語への翻訳や新しい概念・実存理解の導入など、ディアスポラにパレスティナ・ユダヤ教とは異なる特徴 をもたらしたことが、ギリシャ語で書かれた外典・偽典文書などに窺える と指摘している。そしてディアスポラのユダヤ人のシナゴーグにおいてギリシャ語で行われた礼拝は、時にはかなりの数いたに違いない異邦人の訪問者にも理解可能であったこと、そのことがパウロのキリスト教の宣教の成功の下地となったと述べる ( Donald E. Gowan, Bridge between the Testaments; a reappraisal of Judaism from the Exile to the birth of Christ ianity [3d ed ed], Allison Park, Pa.: Pickwick Pub, 1986 [rev. pp. 121 -2)。土岐もまた、ユダヤ教シナゴーグ (ないし共同体) が初期キリスト教の伝播の重要な拠点となったこと ( 47 ) 、ヘレニズム時代にエルサレム神殿を離れたディアスポラにおいてシナゴーグの重要性が高まり、制度として整えられ、シナゴーグがキリスト教の会堂 (礼拝堂) と礼拝の原型を提供したことを指摘する (土岐健治 『初期ユダヤ教研究』 、新教出版社、 2006 年、36 頁)。

    (223) Targ um Neofiti の出 22:30 「野外で野獣によって裂かれ、殺された肉を食べてはならない。それは犬に投げるべきだ。あるいはそれを異邦人に投げるべきだ。異邦人は犬と同等であるからだ」 ([tr.] M. McNamara, The Aramaic Bible, v2, Targum Neofiti 1: Exodus Exodus, T&T Clark Clark, 19941994, p. 98 )。 Fragment Targum (The Fragment-Targums of the Pentateuch vol.1 , Michael Klein (eds/trs), Rome: Biblical Institute Press, 1980 ) においても 「それを犬に投げるべきだ。異邦人にそれを与えるべきだ。異邦人は犬に例えられる」 (P,86) 、「…それを食べてはならない。それを異邦人に与えるべきだ。異邦人は犬に例えられる」 (V, 177 ) とあ る。しかし、バビロニア・タルムードにおいては、食物の禁止事項に関して、「 (ユダヤ人がそれを) 食べること」 は禁じられるが、「 (それによって) 利益を得る」 ことは禁じられないことに関する議論の中で、食べてはならないが、(他のものは犬にやることも禁ぜられるが、その肉を犬にやることで) 利益を得 ることは許されるとの主旨で、出 22:30 が引用されている ( v1 [Daf Yomi Ed], Abba Zvi Naiman and Eliezer Herzka, Moshe Zev Einhorn, Brooklyn [ed eds], N.Y.: Mesorah, 20 2005 , Pesachim 22b22b-22a )。

    (224) 土岐は、トビト記の中に存在している、異民族の中で民族の宗教的伝統を守ろうとする姿勢と、周囲の異邦人との平和な関係を模索していたように思われる記述を指摘し、各地に広がっていったディアスポラの歴史的状況とも合わて考えると、民族の伝統を忠実に守ろうとする一方で、彼らが常に他民族の敵意に囲まれていては存続しえず、そこには基本的な友好関係があったことを示唆する (土岐 、前掲書、 29、31、69 -70 頁)

    (225) ギリシャ世界における 「犬」 についての補足であるが、ソクラテスが愛用した誓言法に 「犬に誓って( νήτόν κύνα ) 」 という表現があり、神の名を挙げることを憚る場合に、神の代わりに 「犬」 と言っている。犬は神の隠喩である。最も高貴である 「神」 の名を口にする代わりに、最も卑しい 「犬」 と言っているのであるが、ここに最も遠いがゆえに近いという逆説が生じている。』


    ということで、本日はここまでとさせて頂きます。











    続きは次回に♥




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