自作エフェクター その3 「MXR フェイザー Phase90」 | とれすけのブログ

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第3弾はMXRのPhase90になります。

 ドライブ系メインで作ってきましたが、ここいらで揺れ系にもチャレンジしてみたいと思っていました。ですが、遅延素子を使ったコーラスやフランジャーといったエフェクターは回路の規模がどうしても大きくなってしまって、ミニペダルサイズでは収まらないんですね。そんな時、回路図をネットで探しているなかで目に留まったのがフェイザーというエフェクターです。

 

 フェイザーというのは位相を変えた信号を原音と混ぜることで独特のフィルター効果を得るエフェクターです。位相を変えた信号をLFOで揺らすことでシュワシュワといったサウンドが得られます。

 

 回路図を見ると、やはりそれなりの規模で、ミニペダルでは厳しいかなと思いましたが、よくよく眺めているとデュアルタイプのオペアンプ3つとFET4つなので、なんとか基板サイズに収まるなと当たりがつきました。抵抗が27個と多めですが、コンデンサーは12個程度なので、レイアウトさえ工夫できれば出来るはず。

http://www.kobra.hr/Schematics/Phaser/MXR%20Phase%2090.jpg

 

 基板図は何度も書き直し、なんとか基板サイズに収められるというレイアウトが出来ました。

ちなみに、基板図を書くときにはフリクションボールという消せるボールペンを使っています。この方が鉛筆よりも消した後が綺麗なので、何度も書いたり消したりする場面では必須ですね。

 

 ミニペダルサイズではユニバーサル基板のホールで11×24が上限と以前書きましたが、今回はさすがにこれでは収まりきらず、12×24サイズで作成することとなりました。

 

  12ホールということになると、オペアンプで4ホール使ってしまうので、その上下で4ホールずつ空く計算ですが、FETが4つあるので、その配置側に5ホール、反対側3ホールという配置でGNDライン、電源ラインを引くことが出来ました。

回路的には同じセクションが4つあるという形なので、うまくオペアンプの割り振りをすれば、綺麗に収まります。

 

 12ホール使うということで、ケースに納めるためにはかなりぎりぎりまで基板を削らないといけません。こんな時も例のミニルーターが活躍します。

 

 Phase90はコントロールがSPEEDだけなので、ボリュームも通常サイズのものが使えます。

4つ使ったFETは2SK30ですが、情報によるとなるべく性能の近いもので揃えた方がいいということで、簡単なFET測定器を作成して値を測りました。手持ちのFETがそんなに多くなかったため、ある程度のばらつきが出てしまいましたが、それでも測定することである程度は近づけることが出来ました。

 

 さて、一旦組み終わって音を出してみます。

で、音は出るのですが音に変化がありません。

基板上に半固定抵抗が一つあるので、それを動かしてみますが、やはり変化がなく。

さて困りました。こういう時が一番困りますね。どこに問題があるかがまったく分かりません。

回路チェックも行いましたが、おかしいところもなく。

 

 使用する部品の中で、ツェナーダイオードが一つあるのですが、回路図での指定は3.6V〜4.7Vとなっており、選定したのは3.6Vのツェナーダイオードでした。もしかしたらと、これを手持ちの4.3Vに替えてみたところ、なんか音に揺れが出てきています。半固定抵抗を回して揺れが最大になるようにセッティングしてみます。ただ、これだとフェイザーとしてはちょっとかかりが弱い感じです。そこで、新たに4.7Vのツェナーダイオードを調達して交換してみました。その結果、なんとかフェイザーとして使える感じになりました。FETも、もっと揃えられたらもう少し効きはよくなったような気がします。なんかこの辺が面白いですね。

 

 塗装はやはりオレンジ一択ですね。これもアクリルカラーを選択しました。ケーヨーホームセンターなどですと、DCMブランドの製品が安いです。ただ、このオレンジはオリジナルのカラーと比べるとやや薄めで、ともするとイエローに近いような感じでした。

 

 エフェクトONのLEDはグリーンを採用。イメージとして歪み系はレッド、クリーンや揺れ系はグリーン、コンプレッサーやブースター系はイエローという感じで統一してきています。

 

 回路的にはやや複雑かなと思われたPhase90ですが、レイアウトさえ出来てしまえばそれほど難しいものではなく、割と普通に出来てしまいました。

 

 さて、音ですが、これも本物を使ったことがないので、なんとも言えませんが、クリーンによく合うフェイザーという感じです。リー・リトナーのサウンド、と言ったら分かるでしょうか。

フェイザーというのはフェイズシフター、要するに位相をシフトするエフェクターですが、その位相の偏移が90度なのがPhase90です。MXRですとこの他にPhase45などがあって、これは位相の偏移が45度ということになります。フェイザーというと、かかりの深さやレゾナンスなどのコントロールもあるのがポピュラーになっていますが、Phase90のようなシンプルなマシンもまた他にはない味わいがあっていいものです。やはりこれでないと出ない音があると思います。