自作エフェクター その8 「BOSS オーバードライブ/ディストーション OS-2」 | とれすけのブログ

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 第八弾はBOSSのOS-2。実はこれが最大の困難に直面した一台になります。

 名称の通り、オーバードライブとディストーションを一台に詰め込んだエフェクターになります。

コントロールはDRIVE、COLOR、TONE、LEVELの4つ。回路を見ると、ドライブはオーバードライブ、ディストーションの両方のゲインを一つの2連ボリュームで調整する仕組みになっています。ですので、オーバードライブ、ディストーション個々にドライブを調整することはできません。そのせいもあってこのボリュームまわりの定数はかなり特殊です。

 

 カラーはオーバードライブとディストーションのMIX割合の調整、あとはトーン回路を通って最終レベルのボリュームに行っています。

 

 パーツですが、オペアンプはJRC1458が二つ。これは入手可能です。抵抗は、4.1MΩなんていうのが出てきて、これは3.3MΩと1.8MΩを直列で使用、コンデンサーは0.018μFなんかが入手に手間取ります。最大の問題はゲイン用のボリューム270kΩです。しかも2連。これはもう探した限り無いので、200kΩの2連ボリュームと100kΩの半固定抵抗2つで実現します。

 

 回路は典型的なオーバードライブとディストーションのもので、しかもシンプルなので部品数もそう多くありません。ただ、オーバードライブとディストーションそれぞれの回路の出力をまとめていくような形の基板図の作成はなかなか大変でした。

ゲイン用の半固定抵抗2つは基板には載せず、ケース上部に貼り付けて、外からコントロールできるように考えます。

 

 ミニペダルサイズの基板で、いつも通り作ります。

さて、基板が出来たところでテストです。と、これが音が出ません。トラブルシューティングということで、入力にシグナルジェネレーターをつなぎ、オシロスコープで信号を追いかけていきます。すると、オーバードライブとディストーションの信号がMIXされた後のオペアンプのところで音が消えていることが分かりました。

 周辺の回路を眺めて、回路図と照らし合わせ、間違いがないと確認したので、音の出ない理由が分かりません。もしかしたらオペアンプが発振しているのではないかと思い、発振止めのコンデンサーをいくつか入れたりしてみたのですが、ダメでした。

 試しに、シグナルジェネレーターの信号を、そのオペアンプの入力につないで確認してみると、ちゃんと音が出ます。さっぱり原因が分からず、一旦ここで頓挫。

 

 後日、気を取り直して、再度レイアウト図から作成しなおして、もう一度基板を組みます。

テストしてみると、やっぱり同じところで音が消えます。

こうなると、回路そのものに問題があるという結論に至らざるを得ません。何がいけないのか、その時の私には推測不能でした。

 

 さて、一旦は諦めていたのですが、他の回路図をネットで探していて、ふと思い立ってもう一度OS-2の回路図を探してみました。すると、今まで行きあたらなかった回路図に遭遇。

 

早速印刷して、今までの回路図と比較してみました。

すると、音が消えてしまうオペアンプの手前にバイアス電圧を付加する抵抗が1本足りないことが分かりました。

 納得の結果で、バイアス電圧が付加されていないので振幅が現れないことになってしまっていただけでした。

早速基板に抵抗を1本付け足します。そうすると、見事音が出るようになりました。

 ここまで来るのに2ヶ月くらいかかってしまいました。ネットの回路図も、メーカーオリジナルのものではなくて、有志の方が作成したりしているものは、こういうことがあり得るということなんですね。ただ、それを解決するのもやはり有志の方の回路図だったりで、これはもう段々と勉強や経験を積み重ねる以外に解決方法はないような気がします。

 

 ケース加工は、2つの半固定抵抗をどう配置するかです。固定方法も問題です。いろいろ試行錯誤の上、4つあるボリュームで挟むような形でホットボンドで固定することにしました。

 塗装は、本来イエローなんですが、イエローばかりになってしまうので、今回はダイソーのシルバーにしてみました。

 

 音出しですが、カラーをオーバードライブ側いっぱいにしてみると、オーバードライブらしい音がします。ディストーション側にすると、ディストーションなんですが、あんまりいい音ではありません。どちらかというとブーミーな感じで、正直ディストーションという形ではあまり使いたくない音色です。

 ただ、このエフェクターの持ち味であるオーバードライブとディストーションをミックスした音で言うと、オーバードライブメインでディストーションを少し混ぜると、ややいい感じになってきます。トーンも絞り目の方が落ち着いた音になります。

問題はドライブで、オーバードライブ、ディストーションがいっしょにゲインアップするので、オーバードライブのいいところとディストーションのいいところを両方取るのが難しいんですね。

なので、気持ちがいいドライブの範囲が狭くなってしまっているという感じです。ただ、今回の自作では、それぞれに半固定抵抗が付いていて、ボリューム+αの調整が出来るので、ある程度自由度があります。また、せっかく自作なので、この際それぞれのゲイン増幅率を自由に変えてしまってもいいかも知れません。

 

 使い勝手としては、一台でオーバードライブとディストーションのどちらにもなるというものではなくて、オーバードライブとOS-2の歪みの2通りには使えるといったイメージでしょうか。

しかし、苦労しただけに、たまには使ってみたくなるエフェクターということになりましょうか。

 

 今日は、先日のエフェクターボードのノイズ対策を行っていました。ひとつはリレー入りオレンジスクイーザー。どうも電源ノイズっぽいのが乗るので、リレー信号のラインのアースを接続したり、ケース内にアルミ板で仕切りを作ってシールドを強化したりしていました。二つ目は、パラバッファー。どうも若干クリップしているような感じなので、オペアンプで電源部の安定化をはかるのと入力インピーダンスの修正をはかって再度回路を設計しなおして、基板を新たに作成しました。テストはこれからです。

完成まではもう少しかかりそうです。