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NATO東方拡大の結果としてのツィルコン体制

2022-01-15 18:31:56 | WW1&2
今日の西側パロパガンダは、ロシアがウクライナ侵略のために偽旗作戦を計画しているとかいうのだった。

偽旗作戦はアメリカの得意技だろうとみんなに笑われることに気付かないのか、それとも、馬鹿なのか。どっちかわからないけど、もはやアメリカの情報機関、政府およびその小手先の西側の主要紙ネットワークは、末期症状といった趣。


で、ロシアが提案したのはウクライナ問題じゃなくて、NATOの東方拡大をやめて欧州、ユーラシアの安全保障の枠組みを考えましょう、というもの。

東方拡大問題:ロシア、米+NATOに書面を要求


それに答えたくないから、ウクライナがウクライナがと騒いでいる。

どうして答えられないのか。

それは、ポーランド、ハンガリー、ウクライナなどをミサイル基地にしてロシアの心臓を打ち砕く!、モスクワまで5分だ!!とかいう構想を追求した結果、アメリカ国民の生命財産はかつてないほど危険にさらされました、という結果となったことをアメリカ国民に知らせたくないからではなかろうか?

時々、アメリカがそう出るならロシアはキューバやベネズエラにミサイルを設置しろ、とかいう人がいるわけですが、問題は、その必要すらない、という状況だと思う。

つまり、ロシアには潜水艦もあれば、上に浮かぶ船舶もあって、ここに極超音速で精密なミサイルを積めば、別に地上に置く必要はない。

そして、潜水艦は最後の手段だけど高価。だがしかし、ロシアは極超音速のミサイルをフリゲート艦サイズで積めるようにしているので、デカい戦艦みたいなのを作ることもなく小型でいけて、それはつまり安価なので数も用意できる。

アメリカ人が、よーし、ポーランドからモスクワを破壊する!となったら、ロシア人はアメリカ近海からアメリカ本土を破壊する。

速度が速いということは、距離をかせげるから、多少離れていても、つまり、公海上から十分アメリカ本土を狙える。対艦ミサイルの雄だし。


ロシアはNATO拡大を止めろと何年もず~っと言っている。それはみんな知ってる。みんな知ってるが、NATO諸国はやめなかった。

そこで、このままではやられるばかりだと用意を進めて、ロシアの今日があるわけです。何度も書いてるけど、もう、準備とか、研究という状態ではなくなったわけです。

2週間前、フリゲートと潜水艦からの極超音速ミサイルの発射実験に成功したというニュースが出回った。ロイターの記事がこれ。

Russia test-fires new hypersonic Tsirkon missiles from frigate, submarine

そして、3,4日前、その試験結果を受けてロシアの国家の安全保障機関がこのミサイルを海軍が使うことを推奨、承認した。

見てもはじまりませんが、一応こんなの。

UNSTOPPABLE! - RUSSIA TEST-FIRES NEW HYPERSONIC TSIRKON MISSILES || 2022  


乗せてる船は、アドミラル・ゴルシコフ級のフリゲート艦。

日本語のwikiは船そのものはいいけど情報が古い。北方艦隊だけでなく、この船は太平洋でも作ってる。


ということで、何と申しましょうか、NATO東方拡大の「成果」は、かつてないほどアメリカ本土はターゲットになりました、だったわけです。

いってみれば、ウクライナを取ってロシアを我が物にするとかいう馬鹿な試みのために、アメリカ人を危険に陥れ、さらに、今後の成り行き如何ではヨーロッパは抜本的にエネルギー政策を変えなければならなくなる。変えると、今までの倍ぐらいのお金を払って天然ガス、石油をどこかから買うことになる。

こうした事態を、アメリカの政権、欧州各国の政権はどう申し開きするんだろう? まぁペンタゴンも軍産もみんな同罪だが。


そもそも、コルベットとか普通のトラックにクラブ系のミサイルを積める事態になった時点で、これはもう、馬鹿なことをすべきじゃない、と思えよ、って話でもある。結局、ツィルコン体制を挟んで、下にクラブ系、上に潜水艦、地上発射型が重ってきたし、もちろんその上の空間も対応してる。


■ 劣化

実際、これは初めてではなくて、1980年あたりのソ連海軍が究極的に想定してたことが出てきているというだけのような気もする。

ロシア人は、追いつめられると屈する人たちではなく、どうやって切り抜けるかを考えて立ち向かう人たちなんだというのを、結局西側の人間はわからなかったということでしょうか。

でも、70年代から80年代初頭までの西側にはそれを納得できる人たちがいて、ソ連を実存的危機に追いやることは我々の利益にはならない、と考えることのできるリーダー層ってのが一応いたわけでしょ。そこから、ソ連と軍縮交渉みたいなのをするある種の「正常」さがあったわけだけど、西側の現在にはそんなことをできる人たちが見えないので、このまま恐怖の時代は続くわけです。


そして、ロシアは、こうまで言っても俺たちを破壊すべき敵であるというのなら、それはもうパートナーではない、と言って西側との関係をロシアの側から少なくする選択肢もあり得る。

そんなことってないわ、と、なにか予定調和を信じている向きは、世の中には、アメリカとヨーロッパと日韓しかないと思ってる人、下図を世界だと思ってる人だと思う。




今日も今日とて、ロシアのエネルギー担当副大臣のノバックが、ヨーロッパのエネルギー危機は、ガスプロムのせいでもロシアのせいでもない、と発言していたけど、

Neither Gazprom nor Russia responsible for energy crisis in Europe - Novak

こういうのを聞くと、もう仕方がない、という準備はしてるだろうなぁとか思う。ロシア国民の被害をどうやって下げるかを考えながら、様々なシナリオを考えてると思う。


■ Never March on Moscow

しみじみと、これだなと思ったのは、イギリス陸軍のバーナード・モントゴメリー元帥の有名な発言。




「Never March on Moscow」

モスクワに進軍するな、ということですね。今、never marchと入れたら検索のサジェスチョンに、never march on moscowがあった。有名な語句。

この語句は、モンゴメリー将軍が1962年にイギリスの上院で、これからの戦争について語ったものが有名で(他でも言ってる)、そのスピーチは全体として無茶なことをしてくれるなといった趣旨だとは思うけど、そこで、

戦争の本の最初のページにあるルールその1は、「モスクワには進軍するな」です。いろんな人がやりました、ナポレオンやヒトラー、でもダメだった。

Rule 1, on page I of the book of war, is: "Do not march on Moscow". Various people have tried it, Napoleon and Hitler, and it is no good.


と言ったというもの。まぁ第二次世界大戦を現役でやった人たちの世代の多くはただ、まぁそういうこと、と納得できたことでしょう。

もういいよ、こういうのは、と。



実際、冷静に考えればわかる通り、いずれの場合でも、別にヨーロッパの多くの民が望んだことじゃない。であるからこそ、モンゴメリーがイギリス上院で語ったことは、思えば意味があったなと思ってみたりもする。




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8 コメント

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Unknown (かつまた)
2022-01-15 21:57:59
とてもイイ記事ですね、腑に落ちるというかスッキリしました。
それにしても、いったいぜんたいどこの誰っていうかどんな奴らなんでしょうかね?すっごい昔からロシアを征服したいというか、世界を征服したいと思っているのは。
仲良くしようとすればイイのに、って思うのは甘いのでしょうか?
誰か or 無責任 (ブログ主)
2022-01-15 22:44:15
かつまたさん

そう言っていただけてうれしいです。ありがとうございます。

誰なんでしょう、とも思うんですけど、かつて日本が事態を大きくしていった過程のように、みんな目先の争いだけ考えていていて(主に内部の)、大枠でいくとどうなるのか誰も考えられなくなっているというメカニズムも無視できないと思います。


どうなることやら。
Unknown (楽)
2022-01-16 07:16:55
アメリカもそうですが国家をコントロールしている奴らやそれらに資金を出している連中(厳密にはその仕組み)を叩かなければ国家を叩いても終わらないでしょうね。

勿論ロシアはやられたら核でやり返すぞというのもやっているけれど、凄いのは同時に連中の力の源の一つであるドル決済にメスを入れて(それだけではないが)力を削ぐ方針。
今までもそれを単独でやろうとした国はあっても潰されてきたが今度は潰せないでしょう。

そして責任者(政治家・官僚だけでなく報道機関等の責任者も)が安易に感情で国民を煽らないで、質問されたら逃げずに説明するから詐欺や挑発に騙されない国ができているんだと思う。
十字軍戦争を継続する西側病! (ローレライ)
2022-01-16 11:00:48
十字軍戦争を継続してインカからリビアまで文明破壊して来た西側には物理的長城で相互破壊の結果を解らせる必要がある!
新しい陰謀 (金 国鎮)
2022-01-16 12:40:44
カザフスタンの暴動で先ず驚いたのは政府軍兵士が
数十名亡くなっているという事実だった。
これは民衆の暴動ではない。
クーデターだろう。
ロシア軍がクーデター抑え込んだのはいいが誰が
この陰謀を企画しているのかが問題だ。
ウクライナの問題とも関係しているようだ。
何処までいっても懲りない連中がいる。
クーデターの全容が明らかになればウクライナの
問題も解決すると思うのは思いすぎだろうか?
ドイツ人学者の嘆き (石井)
2022-01-16 17:40:44
ロシアの新兵器の登場でロシア絡みの戦争は起きないと思ってきましたが、最近の西側の狂い方を見ているとそうでもない気がしてきました。一昨日のラブロフの会見はショックでしたし、このドイツ人学者の憔悴ぶりは尋常ではありません。
https://www.youtube.com/watch?v=Js0PcbaW738
・知り合いのドイツの記者の間では、プーチンを戦争により止めなければならない、ウクライナにはもっと武器援助を、という話になる。
・エネルギー専門家は危機状況を理解しているが、マスコミは新たな制裁措置でロシアからのガスを止めろ、アメリカからのLPGで十分だと考えている。
・ウクライナで戦争になった場合、武装難民が欧州に押し寄せるが、そんなことは一切想定していない。
・前外相が言うには、ロシアには核ミサイルがあるが、我々には金融武器があり、ロシアを閉め出すことができ、怒った民衆が蜂起するだろう。
・1812年、1941年もそうであったように今も全くロシアのことが分かっていない。ロシアは攻撃的であるが、我々にはアメリカが付いており強い経済があると言っている。
・私はドイツのマスコミでロシアの立場、その正しさを説明するが誰も聞く耳を持たない。もう疲れた。
・次週訪露予定の女性新外相の目的は、国内向け自己宣伝だけであり、ナバリヌイとかメモリアルの件を持ち出し、対露強硬派というポーズをとるだけだろう。首相はもっと思慮深くプーチンとの対談になれば何らかの妥協を見出すかもだが。
・私の考えでは、欧州は1945年以降、欧州ではない。アメリカとソ連に分割された後、アメリカがロシア国境まで占領し、自国の文化、思想、金融、軍事システムに組み込んだ。
・戦争回避の唯一の方法はその結果を意識することだろうが、話を聞いていると、ドイツはその教訓を忘れ、次世代にも伝えていないのか。(司会者)
・ドイツ人は、米中露の核兵器は、玩具みたいなもので、自分たちには無関係だと思っている。

このロシア系ドイツ人ラール氏は、頻繁にモスクワのテレビに出演しドイツ情勢を伝えている一方、ベルリンのテレビにも出ていてロシアの考えを説明しているけども、全く理解されないと嘆いているわけです。しかし、ドイツには彼以外にも正確にロシアのことを伝えているメディアはあるし(メインストリームではないけど)、AfDにはロシア語を喋る議員も居て、東独を中心にロシア理解は少しはあると思います。それに対し、この国では、皆無でしょうね。
夢見るドイツ (ブログ主)
2022-01-16 19:58:17
石井さん

サマリーを書いていただきありがとうございます。

わかります。だいたいこんな感じのことを言い続けているドイツの学者、ジャーナリストの人たちが少数ながらいる。

だけど、いやもう、ドイツのメインストリームはスゴイです・・・。

12月の終わりに、ドイツ国営メディアDWで、「ドイツはロシアの侵略に立ち向かわねばならない」とかいうのを見ました。この1本じゃなくて、あまりにも代表的なので取っておきました。

Opinion: Germany must face up to Russia's aggression
https://www.dw.com/en/opinion-germany-must-face-up-to-russias-aggression/a-60206085

私がここでくどくど書いている通り、本当の戦争の記憶がドイツ(西)にはなかったですね。

で、戦争問題もそうだけど、制裁合戦でエネルギーを含めてロシアと切れるドイツ経済になる可能性にドイツ人が気づいてないのも、すごいことだと呆れてみてます。

問題意識が絶望的におかしい。

ということなので、ロシア政府はこれはドイツの問題だという態度で見守るでしょう。
タラス・クジョーとか言うサイコパス (特命希望)
2022-01-18 21:30:03
こんばんは。ウクライナ情勢でこんな阿呆が出てきました。
なーにがクリミアタタール虐めのレイシストですか、ロシア人がモンゴルを侵略したんじゃなくてその逆でしょうが。
どうやったらこの虚言癖野郎を黙らせられると思いますか?
https://www.ukrinform.jp/rubric-polytics/2531211-tarasukujoarubata-da-xuekanadaukuraina-xue-yan-jiu-suo-shang-ji-yan-jiu-yuan.htm
そもそもどういう組織なんですかね、ここは。

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