みけの物語カフェ ブログ版

いろんなお話を綴っています。短いお話なのですぐに読めちゃいます。お暇なときにでも、お立ち寄りください。

1351「小さなおじさん」

2023-01-24 17:27:31 | ブログ短編

 彼女は念願(ねんがん)の高校(こうこう)に入学(にゅうがく)した。これから楽しい学生生活(がくせいせいかつ)が始まると、彼女は思っていたはずだ。ところが、入学してしばらくたった頃(ころ)、彼女に異変(いへん)が起(お)きた。見えるはずのないものが見えてしまうのだ。最初(さいしょ)は、目の錯覚(さっかく)かと思った。しかし、たびたび目の前に現れるようになって…。もう、無視(むし)できなくなってしまった。
 それは…、可愛(かわい)い妖精(ようせい)とは似(に)ても似つかない、小さなおじさん。しかもそのおじさんは、どうやらいたずら好きのようだった。彼女の周(まわ)りにいる人にいたずらをしては楽しんでいる。彼女は止(や)めさせようとするのだが、どうにも上手(うま)くいかない。
 小さなおじさんは彼女にしか見えないので、下手(へた)に止めようとするとおかしなことに――。せっかく仲良(なかよ)くなった友だちに変(へん)な目で見られてしまうかも…。そう考えると、何もできなくなってしまった。
 小さなおじさんのいたずらは、日を追(お)うごとにエスカレートしていった。このままだと怪我(けが)をする人がでかねない。彼女は意(い)を決して、一番仲良しになった友だちに打ち明けた。その友だちは、なぜか目を輝(かがや)かせて彼女の話を聞いてくれた。そして、二人で小さなおじさんを捕(つか)まえようと話がまとまった。二人で始めた捕獲作戦(ほかくさくせん)の噂(うわさ)は学校中に広まった。先生(せんせい)や生徒会(せいとかい)を巻(ま)き込んで、今や学校行事(ぎょうじ)にまでなってしまった。
<つぶやき>おじさんは、かまってもらいたかったんだよ。これで学校が楽しくなるかも。
Copyright(C)2008- Yumenoya All Rights Reserved.文章等の引用と転載は厳禁です。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 1350「しずく185~潜入」 | トップ | 1352「いつもの電車」 »

コメントを投稿

ブログ短編」カテゴリの最新記事