「看護の力」(川嶋みどり、岩波新書) | 近鉄八尾駅前にある鍼灸整骨院 東洋医学の事なら、いど鍼灸整骨院。

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最近何故か看護師さん中心の会に招かれてお話をする機会が多いです。

まぁ、我々のような鍼灸師や柔道整復師は医療と看護を両方兼ね備えた部分も多いのですが……。

 

今回は最近読んだ看護関係の本の中で、なかなか中身の濃い好著を紹介したいと思います。

 

 

『看護の力』川嶋みどり、岩波新書)

 

著者の川嶋さんは、1931年 京城(現・ソウル)生まれ。

看護師として現場を経験しながら看護学の確立に尽力され、患者にとって有益な様々な方法を研究し、また看護師の地位向上にも努められたパイオニアのような方です。看護の世界では有名な方です。

 

彼女の看護の根底には「看護は看護であり看護以外の何物でもないという思想。つまり看護師はどこまでも看護師であり、医師でもなければその助手でもないという考え方」があります。

 

『看護の力』は、注射や薬のような外部からの力ではなく、その人に本来備わっている治る力を上手に引き出すことにあります」と彼女は言います。

日々患者さんを診ていると、治すこと(医療)治る力(自然治癒力)は車の両輪のように切り離すことの出来ないものだなぁと思います。

 

1.看護の技術

温かいタオルをおしりの上方に当てて便通を改善する「腰背部温罨法」、パーキンソン病に効果のある「看護音楽療法」、寝たきりを防ぐ「背面開放型座位保持補助具」等々……昔からの生活の知恵や患者を「みる」(観る、看る、視る)ことの大切さを改めて感じます。と同時に看護の可能性も……。

 

2.看護の歴史

カール・マルクスはナイチンゲールの活動を「勇気あるたった一人の女性」としてこう紹介しています。

『(クリミア戦争の)現地にいたものの誰ひとりとして、しきたりの網を破り、当面の必要に応じて規則を無視して自分の責任において行動する気力のあるものはいなかった。これをあえてやったただひとりの者はひとりの女性、ミス・ナイチンゲールであった。必要な品物が倉庫にあることをいったん確かめると、彼女は幾人かの屈強な男を連れて実際に女王陛下の倉庫に押し込んで強奪行為を働いている。』…こうして多くの負傷兵を助けたのです。

 

またナイチンゲールについてはこうも書かれています。

『ナイチンゲールの著作の中には、現代でも通用する論理が豊富です。彼女は「看護とは新鮮な空気、陽光、暖かさ、清潔さ、静かさを適切に保ち、食事を適切に選択し管理すること。こういったことのすべてを患者の生命力の消耗を最小にするように整えること」という』

 

3.看護の心

著者である川嶋さん、すでに多くの勉強会を開き活躍されていた頃、武谷三男氏(理論物理学者)からこう問われました。

「看護師としてお医者さんに拒否できることはあるのですか?」

川嶋さんは絶句せざるを得なかったと言います。そして、『そのことがずっと私の中で看護の専門性を問い続ける問題意識になっています』と。

そのことが基になり、のちに「患者中心の医療」の大切さを説くようになるのです。

 

そしておわりに「手でさわること」の重要性を述べます。

私も学生時代に『医学概論』の講義で故 中川米造先生(医学概論学者)から「看護の看は手と目で看る」と教えられたことがあるのですが、当時(約30年前)からしてもますます医師も看護師も患者のからだにほとんど触れなくなっています。

我々鍼灸師もそうです。従来は五感をフル稼働して、時には「おや!変だな、いつもと違う」といった直観にも頼っていた「観察」といった行為が少なくなりつつあります。

大脳生理学者の時実利彦氏も『人間であること』(岩波新書)の中で「肌の触れあいは、百万言を用いるよりもどんな視聴覚の方法よりも、より効果的にお互いの心を一体化し心の連帯をつくってくれる」、「意識も定かでない重篤な病人と、何とか心を通わせたいと願うとき、知らず知らずに行うことは、手を握りしめたり足を摩ったりする」こと、と書いています。

 

看護師のみならず、すべての医療関係者に読んでいただきたい一冊です。

おすすめします。

 

 

 

 

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