「ご苦労様ですっ‼︎」「お疲れさまです」goo | tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

tobiの日本語ブログ それ以上は言葉の神様に訊いてください

 フリーランスの編集者兼ライターです。
 主として日本語関係のことを書いています。

 下記の仲間。
日本語アレコレの索引(日々増殖中)【29】
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1982886133&owner_id=5019671

mixi日記2022年08月29日から

 テーマサイトは下記。
【ヤクザやってる人って、自分より位が上の人に 「ご苦労様ですっexclamation ×2」って言ってるけど、ワザと ですか?】
https://oshiete.goo.ne.jp/qa/13061890.html
===========引用開始
質問者:熊のプーてぃん質問日時:2022/07/25 11:57回答数:10件
ヤクザやってる人って、自分より位が上の人に
「ご苦労様ですっexclamation ×2」って言ってるけど、ワザと
ですか?

だって、本来なら「ご苦労様」は、上の人が使う言葉。
【です】を付ければ尊敬語(?)になるのですか?

私は「お疲れ様ですっexclamation ×2」だと思うのですが。。
===========引用終了

 コメントを回収する。

No.11

回答者: 1311tobi 回答日時:2022/07/25 21:15
「お疲れ様」「ご苦労様」

 近年は、
「目上以上にはお疲れ様(です)」
「目下にはご苦労様」
 が一般的になってしまったようです。
 文末に「です」をつけると丁寧度が上がり、「でございます」ならもっと丁寧度が上がる……とされているようです。
 でもこれって、ちゃんとした根拠があるのでしょうか。マナー講師あたりが広めたエセマナーの類いでは。近年、こういう例が増えている気がします。

 厳密にいうと、目上の人に「ねぎらいの言葉」をかけること自体が失礼なのでしょう。
 本来は、「ご苦労様」は目上が目下にかける言葉だったような。「お疲れ様」なんて用法はなかったのでしょう。
 時代劇でお殿様が家来をねぎらう「ご苦労であった」が典型的です。これだって、本来は「大儀であった」だったという説も聞いたことがあります。実際のところはわかりません(笑)。
 先行コメントに「これが一般の表現になってくるのは昭和10年代から戦後にかけてと思われます」とあります。根拠は不明ですが、そんなものなのでしょう。
 ぐっと現代に近づくと、任侠映画であの筋の方々が刑務所にお迎えにいったとき「お務め、ご苦労様で(ございま)す」が決まり文句だったような……。業界の慣習とでもいいましょうか……。
 要は、元々は「ねぎらいの言葉」としてはどちらも使えたのでしょう。
 それがいつからか、目上以上には……、目下には……という説が有力になり、いまでは常識のようにいわれているだけなのでは。


 2014年に同様に質問があり、下記のようにコメントしました。
【違いを教えてください「ご苦労様」 と「 お疲れ様」】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12189924850.html

 基本的には、同格以下には「ご苦労さま(です)」、目上には「お疲れさまです」でいいでしょう。国立国語研究所も文化庁もそう言っているようですから。

 ただ……。
 諸説あって、厳密に考えるとメンドーなことになります。
 詳しくは下記をご参照ください。
【よくある誤用22──微妙な言葉の取説2 ご苦労さまです お疲れさまです ご苦労さまでございます】
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-2527.html
 以下は一部の抜粋(重言)。

ご苦労さま/ご苦労さまです
 相手の苦労や労力に対するねぎらいの言葉とされます。諸説あるようですが、目上に対しては基本的にNG。どうにも上から目線のニュアンスがあります。
 時代劇でお殿様が家来をねぎらう「ご苦労であった」が典型的。
 実際にはそんな使われ方はしなかったという説もあります(笑)。
(略)

お疲れさま/お疲れさまです
 では目上にはどう言えばいいのかが悩ましい。
 会社内なら、「お疲れさまです」あたりが一般的でしょう。これも本来はねぎらいの言葉だから目上に使うべきではない、という説もあります。そのとおりですが、ほかに適切な言い回しがないもので。「ありがとうございます」をすすめる人もいますが、これは何かをしてもらったとき限定でしょう。
 たとえば、時間外に廊下で重役と出くわしたとします。「ありがとうございます」は明らかにヘンなので、黙礼するくらいでしょうか。「お疲れさまでございます」などと言うと、「それは本来は……」と説教される可能性があります。
「お疲れさまです」は、同格以下に対しても使えます。
「お疲れ」→「お疲れさま」→「お疲れさまです」→「お疲れさまでございます」
 くらいの順で敬度が高くなります。

ご苦労さまでございます
 目上に対しては丁寧に「ご苦労さまでございます」と言えばいい、という説も見聞します。
 あまり鵜呑みにしないほうがよいでしょう。「目上に対してご苦労なんてけしからん」と考えているお偉いさんが、目下の者に「ご苦労さまでございます」と言われたら、「その言い方なら丁寧だから許す」と考えると思いますか?
 つまり、「ご苦労さまでございます」ならOK、というのは身勝手な論理です。
 昔は任侠映画などで、出所した幹部を迎えに行って「お務め、ご苦労さまでございます」と言うシーンがあったような……。あれが許されるのはどういう理屈なんでしょう。現代の言葉にうるさい幹部に言ったら殴られるんでしょうか(笑)。


 詳しくは下記をご参照ください。
突然ですが問題です【日本語編2】──「お疲れさまです」「ご苦労さまです」  解答編
http://1311racco.blog75.fc2.com/blog-entry-1300.html

 国立国語研究所のサイトや、「敬語の指針」もこの問題にふれている。
 全文は↑のリンク先参照。
 結論部だけ転載しておく。

●国立国語研究所 ※リンク切れ
https://kotobaken.jp/mado/27/27-05/
================引用開始
最近では,派遣会社の社員研修などで職場の常套(じょうとう)的なあいさつ言葉として,「お疲れさまです」を教えていると聞きます。朝会ったばかりの人やメールの書き出しに必ず使う,ということのないよう,状況を考えて場面により使い分けることが必要です。出先から戻った同僚に気持を込めて「お疲れさまでした」と言えば,疲れも癒(いや)されるということではないでしょうか。
================引用終了

●「敬語の指針」(P.45~46)
https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkashingikai/kokugo/hokoku/pdf/keigo_tosin.pdf
================引用開始
 要するに,時間外に仕事を教えてくれた上司に対しては,「御苦労様でした」とい うねぎらいの言葉ではなく,「ありがとうございました」と感謝の気持ちを表す言い方に変えた方が良く,一緒に書類作成に追われていた上司に対しては,「お疲れ様で ございました」と,気持ちを込めて表現すれば良いわけである。
 ただし,このような定型的な表現ではなく,例えば「おかげ様で仕事が少し分かる ようになってきました。」などと,別の観点に立った表現を使うことで,上手に自分の気持ちを相手に伝えることも可能である。
================引用終了

「敬語の指針」の最後の段落部は正論だけど、わざわざこんなことを書く意味があるのですかね。
 それができるなら誰も苦労はしません。「可能ではある」けど、独自の言い方をするのがむずかしいから、こういう「定型的な表現」が求められているのでは。その「定型的な表現」のなかで何が適切か、何が無難かということを説明した結論がこれって……。 


※エセマナーに関してご興味があれば、詳しくは下記をご参照ください。
【一助】
https://ameblo.jp/kuroracco/entry-12723518742.html

 

#日本語 #敬語 #誤用 #慣用句 #言葉 #問題 #間違い #二重敬語 #参考書 



語学(日本語) ブログランキングへ

#坊主#念仏#参考書#日本語